A「あ~あ・・・なんで俺の描いた漫画は売れないのかね?」
B「まあ、先生の作品は絵は下手だし、ストーリーもイマイチ、キャラクターも弱いし、いいところがありませんからね」
A「おお~言うね~。俺はこれでも昔、週刊少年ジャパンで7年半連載して2本もアニメ化させた大先生なんだけどね~」
B「今はエロ漫画雑誌に4コマを連載する落ち目ですけどね」
A「アシスタント君、そういうキミはこの前の作品、どうなったの?」
B「・・・」
A「マンガ大賞を取って連載を勝ち取って、こんな生活から抜け出すんじゃなかったの?」
B「あ、あれは・・・審査員に見る目がなかったんですよ。僕の作品が評価されるのには少し時間がかかるんです」
A「へっへっへ。そうね。あと20年くらいはかかるね」
B「そんなことより、次の作品はどうするつもりです?」
A「おお、よくぞ聞いてくれた。実はヒーローものを描こうと思ってるんだよ」
B「へ~・・・ヘタウマ漫画家のくせにヒーローものですか?」
A「ほら、『Tiger&Bunny』って、あんだろ?」
B「ああ、あの大ヒットアニメ?」
A「あんな感じでさ、企業にスポンサーになってもらったらさ、原稿料以外にも収入になってすんげぇよくない?」
B「・・・なまじ昔アニメ化されてグッズが売れたもんだから、がめつくなっちゃったんですね。」
A「いや、いまどき原稿料だけじゃ食ってけないよ?」
B「第一、先生のスポンサーになってくれる企業なんてあるわけないじゃないですか」
A「いや、わかんないよ。俺だって昔はちっとは知れた男だしね。『Tiger&Bunny』に乗り遅れて悔しがってる企業とかが乗っかかってくれるかもしれないよ?」
B「無理ですって」
A「ま、やるだけやってみようよ。まずはスポンサー探しだ」
B「まずはネームづくりじゃないんですか?」
A「硬いこと言うな。まずは金、金・・・」
1か月後
A「どうだ?スポンサー、集まったか?」
B「ええ、まあ、数社は・・・」
A「数社?なんでそんな少ないの?」
B「先生のブログに広告貼ったってそんなに見てくれる人なんていませんよ。1日200人がいいところなんですから」
A「ん~~~、ま、量より質だ。スポンサー料をたくさん出してくれたところを主役にしてやらなきゃね。」
B「え?それ、まずいかも・・・」
A「なんでだよ。どこなんだよ」
B「『株式会社TENGA』です。」
A「TENGAって、あのTENGA?」
B「はい、革新的な技術で、性とオナニーの未来を切り開く安全な製品を開発する、あのTENGAです。」
A「・・・色的にはいいんだけどね」
B「・・・色的にはね」
A「ほかには?」
B「えっと・・・『さとう食品』です。」
A「さとう・・・って、何作ってたっけ?」
B「切り餅とか、あられとか?」
A「ああ、あれか、何年か前に、越後製菓と特許を侵害したとかなんとかで裁判になってた?」
B「ああ、そうです、そうです。あれの負けた方」
A「え?負けた方?」
B「はい、負けたほうです。まあ、イメージをよくしたいんですかね」
A「でも『TENGA』と一緒だったら・・・」
B「イメージは・・・・微妙っすね」
A「他には?」
A「ちょ、ちょ、ちょっと待て!なんか聞いたことある会社ばかりだぞ?」
B「じゃあいいじゃないですか?」
A「いや、なんか、ニュースで聞いたことがあるような」
B「選んでいられませんよ」
A「もっと、こう、子供ウケのいい会社とかないの?」
B「『共親製菓』ってのもありますよ?さくらんぼ餅の」
A「ああ、なるほどね、って・・・ヒーローのスポンサーを探してんの!もっと強そうなの!」
B「たとえば?」
B「高須クリニックって、強そうですか?」
A「いやまあ、そう言われると・・・」
B「『上野クリニック』なら来てますよ。タートルネックの。あと『赤ひげ薬局』とか」
A「いや、それもちょっと・・・」
B「一つ”ウエノ”ヒーローを目指す、とかね」
A「うるさいよ」
A「もっと大手でさ、ましなところ来てないの?」
B「ましなところって、せっかくスポンサーに名乗り出てくれたのに失礼な・・・」
A「いや、ま、そうなんだけど」
B「Panasonicとか来ても困るでしょう?」
A「なんで?いいじゃん!日本の最新技術を搭載したロボットとか作れそうじゃない?」
B「すぐに倒されそうな感じも・・・」
A「やめろー!」
B「もうTENGAと上野クリニックがヒーローでいいじゃないですか。そんで『角海老』がスポンサーのソープマンを倒す、とかね」
A「だれが見るんだよ!そんなマンガ!」
B「だって、先生が今、連載してるのエロマンガ雑誌でしょう?」
A「・・・・・そ、そうね・・・」
B「ぴったりじゃないですか。スポンサーとしても嬉しいし」
A「・・・・で、このヒーローはどこに向かっていけばいいの?」
B「・・・・一人勃ち?」
A「独り立ちだよ!いい加減にしろ!」