『アベンジャーズ』という映画を観た。
嫁が「どうしても観たい!」というので、一緒に観に行ったのだが、正直、観たいと思える映画ではなかった。
それをCMでは仰々しく「日本人よ、これが映画だ!」なんて、日本人が本物の映画を知らないみたいに言われては、むしろ反発すらしたくなる。
で、期待値ゼロで観たのだが、悲しいかな意外に面白かったのだ。
もちろん、揚げ足を取ろうと思えば取れる場面はいっぱいあったが、娯楽映画としては悪くない出来だったのだ。
ん~~、残念。
中でも「アイアンマン」と「ハルク」が気に入ってしまった。
アイアンマンがあんなに強いとは知らなかった。
何年か前、アイアンマン単独の映画が日本でも公開されたが、映画の予告編を観ただけで笑ってしまった。
普段、日本のヒーローやロボットに見慣れている多くの日本人は、アイアンマンのあまりにダサいマスクに、失笑したと思う。
が、『アベンジャーズ』で初めて観たアイアンマンは、実に良かったな。
中身の男が実に魅力的だった。我がままで、自分勝手で、どこか親近感が持てた。
日本だと、敵があまりに強くてピンチに立つと地面に這いつくばりながら「くそ!どうすればいいんだ!」とか「俺は、死ぬのか?」なんて弱気になったりするものだが、アイアンマンは最後まで傲慢なのである。
自分が世界一頭が良くて、アイアンマンが宇宙一強いことを疑わず、常に敵を見下している感じなのだ。
いっぽうの「超人ハルク」
人間兵器を作るための実験中、失敗して緑色の怪物ハルクに覚醒してしまった天才学者
その後も主に怒りによって心拍数が上がると超人ハルクに変身してしまうのだが、ハルクの魅力はなんといっても「問答無用」なところ。
ハルクに変身してしまうと敵・味方関係なく暴れてしまう破天荒さがいい。
その強さは、あれほど人間や地球人を下等民族扱いしていた敵のボス(宇宙人)ですら「あいつは怒らすとヤバい」とビビるほど。
いいな、かっこいいな。
「俺を怒らすと、どうなるかわからないぜ」という不良少年の強がりを地で行く超人ハルク
んで、実際にハルクに変身すると本当に手におえなくなる。
宇宙から攻撃に来たムカデのような巨大ロボットも、一人でボコボコにしてしまう。
体の大きさで言えば猫とネズミくらいの差があるっていうのに・・・・。
こういう問答無用の強さって、男の子の憧れである。
ほとんどの男の頭の中にはたいがい、超人ハルクがいるのではないか?
そんでガラの悪い男に「邪魔だボケェ~、殺すぞ」なんてすごまれて、「あ、す、すびばせん!」なんてビビって逃げたりした後にハルクが出て来てその男をボコボコにしたりするものである。頭の中で。
で、アイアンマンとハルクにすっかり魅了された僕は、帰りにTSUTAYAに寄って『アイアンマン』と『インクレディブル・ハルク』を借りることにしたのである。(さすがに『アベンジャーズ』公開中は同じことを考えるやつが多く、借りるのに3週間かかった・・・)
んで、観た結果は『アイアンアン』はなかなかおもしろく『アイアンマン2』を借りてよし、ということになった。
アイアンマンをかぶる男は、超のつく天才で、自分勝手でプレイボーイ。
人を信用せず、話ができるコンピュータにも上から目線で罵倒。
大金持ちで、会社の社長。
それが嫌味なく、ときにコミカルに描かれている。
いいな、あんな男になりたいな、と思わせずにはいられない。
で、アイアンマンのスーツを作る場面が丁寧に描かれている。
あれほどの天才でも失敗をしながら何度も試作を重ねるのだが、その場面がなかなか魅せてくれる。
最終的には“キューピー人形”のポーズで浮き上がるのが結構かわいい。
最期の戦いでは燃料切れで思わぬ苦戦を強いられるのだが、それでもどこか「敵とアイアンマンでは性能に天地の差があるな」と安心して観ていられる。
僕は「アイアンマンが敵に負けることよりも、傍若無人な主人公のプライドが折れることのほうが嫌だな」と思いながら見ていたが、僕が好きな主人公のプライドが全く傷つくことなく終わりを迎えてくれたので、観た後も爽快だ。
女性にはどうかと思うが、友だちのいない男にはお勧めの映画だ。
が、ハルクのほうはイマイチだった。
『インクレディブル・ハルク』はまあ、ストーリーは予想通りなのだが、最期の敵との戦闘がいただけなかった。
映画の最後は、同じように人体実験で薬物を注入された敵と戦うのだが、相手のほうがパワーが上らしく、ハルクはなんか、“うまく”戦ってしまうのだ。
で、しまいにはマンガのように「ハルクなんとか!」と叫びながら相手に技を繰り出したりするのだ。
そうじゃないんだよ!僕が観たいのは!
そんな小手先の格闘術じゃないんだよ。
僕が観たいのは怪物ハルクの問答無用の強さなのだ。
出す技はパンチだけでいいのだ。
相手の体を握りつぶすだけでいいのだ。
じゃないとハルクの怪物性が表現できないのである。
この映画の監督は、『刃牙』の花山薫の戦い方でも勉強するべきである。猛省を促す。