俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

追悼・アントニオ猪木様

巨星堕つ 昨日圓楽 今日猪木

 

などと川柳を詠んでみたものの、ショックは大きい。

僕も来年50になるのだが、青春時代のスターが一人、また一人と旅立ってしまうのがなんとも悲しい。

ましてやアントニオ猪木・・・。そりゃないよ・・・

アントニオ猪木さん、8月に最後のテレビ出演「本当は起きれる状態じゃない、みんなに元気貰います」(イーファイト) - Yahoo!ニュース

高島彩に闘魂注入! - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

 

少年時代、金曜の夜8時は新日本プロレスを見ながら晩御飯を食べるのが我が家の習慣だったもので、もちろん猪木さんのことは子供の頃から知っていた。

ただ当時は初代タイガーマスクが好きで観ていたのであって、アントニオ猪木は特別ファンというわけではなかった。70年代のモハメド・アリ戦、ウィリー・ウイリアムズ戦はまだ観ていなかったし、アントニオ猪木の凄さ・強さはほとんどわからなかった。気づいた時にはハルクホーガンのアックスボンバーで舌を出して失神していたし、その後もナックルパンチやチョークスリーパーで勝っていたがよくよく考えればどちらも反則技だ。実況の古館さんにだまされていたが、今見ると引退ロードなんかはずっと忖度の道だった。

引退後もたびたび新日本のリングや他の格闘団体のリングに上がったが、正直面倒くさい感じだった。引退したくせにたびたびしゃしゃり出て現場のことに口を挟むし、指図した内容は支離滅裂で時代錯誤だった。リングに上がってもマイクパフォーマンスはグダグダだったし、あの有名な”猪木問答”を出すまでもなく、猪木に絡むとみんな損をするという状態だったが、新日本プロレスの”神”をだれも邪険には扱えなかった。

猪木問答に秘められた各人の想いとは!?【明かされる謎】 - YouTube

じゃあアントニオ猪木はただの勘違い野郎だったのかと言えば、それは違うと言える。

やはり天性のスター性を持っていたし、キャラクターも抜群だった。だからこそ引退後もずっと話題に事欠かなかった。

アントニオ猪木のモノマネ芸人は思い出せるだけでも鈴木末吉春一番アントニオ小猪木アントキの猪木、そして有田哲平

「元気ですか!」ではじまり「1・2・3・ダー!」で締めるマイクパフォーマンスはなんだかんだ言って名物コーナーとなり、グダグダになればなるほど観客は盛り上がり、くりぃむ有田さんのモノマネでさらに反芻された。

「闘魂注入ビンタ」は誕生の瞬間から話題になり、芸能人の罰ゲームを経て最終的には縁起物とされ、猪木さんにビンタをしてもらって「ありがとうございます」とお礼をいうのが日本人の常識となった。

こんなプロレスラー、世界中のどこを探してもいないし、今後も生まれてこないだろう。

参議院選挙の当選インタビューで政策について問われれば「これから考える」と笑顔でスルーしちゃうし、格闘技のイベント・団体はことごとく滑って借金を増幅。なのに猪木さんは破天荒であり続けた。自分で大量にばらまいた地雷の上を目隠しをしたままスキップで歩き続けたアントニオ猪木

金銭問題やスキャンダル、政党の離脱・落選を繰り返しながらも、要所要所では猪木さんにしかできない成果(湾岸戦争での日本人救出、北朝鮮でのイベント等)を出し、敵も味方もたくさん作ってきた稀代の変人。

この道をゆけばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし、踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ 行けばわかるさ。(一休宗純

「道」と題されたこの詩は猪木さんのお気に入り。

やはりアントニオ猪木はおもしろいのである。

訃報】新日本プロレスの創設者・アントニオ猪木さんが逝去 | 新日本プロレスリング

ちなみに僕が一番好きな猪木さんのエピソード。

 南米のある国にプロレスの巡業に来ていた猪木さん一行。試合の後、あるホテルでビュッフェが振舞われ、新日本の選手とたらふく食べて帰ろうとしていた時だった。ホテルの前に待機していた送迎バスの前で呼び止められた猪木さんはバスに乗り込まずそのまま背広を着た男性たちに連れていかれてしまった。男たちは地元の名士で猪木さんにぜひともご馳走したいということだった。しかし連れていかれた場所が先ほどと同じ会場で、まさかと思ったが出された料理はさきほどのビュッフだったという。ちびちびと食べていると名士たちが「あれ?あまり箸が進んでいないようですな」といぶかるので、猪木さんは「面倒臭ぇ」といってビュッフェ料理を片っ端から平らげたという。

 

いいね。最後の「”めんどくせぇ!”と言って片っ端から平らげる」っていう豪快さが本当に大好き。面倒臭いから全てを投げ出すのではなく、考えるのが面倒だから全部を引き受けてしまうというのが猪木さんらしい!

で、僕もこれまで食事の時はもちろん、仕事の時でも猪木さんのエピソードを思い出しながら「めんどくせぇ!全部やっちゃる!」と引き受けたことがある。これぞ猪木イズムだ。

縁起物】アントニオ猪木の闘魂注入ビンタとは?始まり元ネタは?|プロレスバイブス

ちなみにジャイアント馬場さん(享年61歳)がなくなって今年で23年になるらしい。もうそんなに経つのか。Z世代は知らないんだろうな。関根さんもモノマネしなくなるはずだよ。

巨星堕つ2 - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

馬場さんも猪木さんもいなくなったプロレス界か・・・

ふぅ・・・