俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

武藤敬司引退Special①

2023年2月21日、僕の大好きなプロレスラー、武藤敬司選手の引退試合が東京ドームで行われ、武藤さんは38年に及ぶレスラー人生に終止符を打った。

本人も試合後「あまり哀しくない」と語っていたし、我々ファンも少し寂しさはあるけれど、今は60歳まで魅力的であり続けた武藤さんを労いたい気持ちでいっぱい。ありがとう、そしてお疲れさまでした。

それにしても引退試合が出来て、ちゃんとファンにお別れのあいさつができるということは幸せなことなんだな。そしてファンとしても好きなレスラーが五体満足で引退してくれることって、こんなに幸せなことなんだと今回改めて思った。

蝶野(右)と対戦した武藤(撮影・江口和貴)

というのは、やはり引退試合ができないレスラーも少なくないからだ。

高山善廣選手、大谷晋二郎選手は試合中の大けが(頸椎損傷)で今もほぼ寝たきりの状態。引退試合はおろか、今後の生活も家族の支えなしでは生きていけないとのこと。

また川田利明選手、蝶野正洋選手は実質的に引退しているが本人の意思で引退試合は行っていない。(蝶野選手は今日の武藤選手の試合後にリングに呼び込まれエキシビジョンマッチを行った。これが引退試合になるのか?)

そして一番悲しい最後は現役のまま亡くなってしまい、引退試合が行えないことだ。僕は昔、次のようなブログを書いたことがある。

巨星堕つ1 - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

巨星堕つ2 - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

有名人、芸能人、アスリートの訃報はどれも悲しいんだけれど、その中でも僕はプロレスラーの死が一番ショックが大きい。橋本真也選手の時も、三沢光晴選手の時も、ショックで二人のことをボーっと思い出すような状態が数週間続いた。馬場さん、猪木さんの死は年齢も年齢だったので収まりがついたが、まだ現役バリバリのレスラーの死は本当に参る。精神的にボロボロにされてしまう。

あれから8年…故三沢光晴さんの悲劇は今に生かされているのか/まとめ/デイリースポーツ online

だから今回の武藤さんの引退試合はとにかく無事に終わってくれて、武藤さんが試合後に笑顔で会見をしてくれたのが何より嬉しかった。

武藤さんの得意技にムーンサルトプレスという技がある。この技を若い頃から続けたことによって武藤選手の膝は現在人工関節が入っていて、医者からも「二度とこの技をやるな!」と止められていた。再度膝を壊せば老後は歩行もできず家族に迷惑をかけることになるからだ。

引退試合で武藤さんは2度、コーナーポストに上ってムーンサルトプレスを行おうとしたが、ポストに上ったところで医者や家族の顔(しかも怒った顔らしい)が思い浮かび、飛ぶのを止めたそうだ。ファンは残酷にも「最後にもう一度武藤敬司ムーンサルトを見たい!」と思っていただろう。しかし武藤さんは五体満足で引退することを選んだ。それでいい!それがいい!その代わりに武藤さんは引退試合ができなかった三沢選手、橋本選手の技を使用して追悼。このあたりはさすがのエンターテイナー。いろんな人の想いを背に最後まで勇敢に戦った。

 「リング上で死ねるなら本望!」と思うレスラーもいるし、それをカッコイイと思ってしまう(僕を含めた)ファンもいる。が、僕はムーンサルトプレスを避けた武藤さんの判断も称賛したい。無事、リングを降りてくれてありがとう。家族も医者も、ファンも仲間もみんなが武藤さんの引退試合を笑顔で見守り続けることができ、みんなで「お疲れ様!ありがとう!」と言えたのは武藤さんの判断のおかげ。

リング上で戦う武藤さんを見ることはできないが、これからはタレント武藤敬司としてもっとメディアで観たいものだ。とにかく38年間、お疲れさまでした。あなたは最初から最後までずっとカッコよかった!

ちなみに武藤さんは60歳。馬場さんは享年61歳。やはり武藤さんはすごい。

長州&武藤ペアはなぜほっこり? - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)