店主「ヘイ、いらっしゃい!何にします?」
客A「そうだな。俺は・・・・カツ丼もらおうか。」
客B「じゃ、僕は親子丼お願い!」
客C「じゃ、僕はうなぎ!」
大学生のときに習ったのだが、「僕はうなぎ!」のような構文を「うなぎ文」と言うそうな。
冗談のように聞こえるが、本当に正式に「うなぎ文」というものがある。
客Cのセリフ、正確には「僕はうなぎを注文します」「僕はうなぎを食べます」というところだが、
前後の文脈からは「僕はうなぎ」だけでも十分意味が通用するので、こういった表現が生まれたのだが、
当然「僕は学生(だ)」とか「僕は20歳(だ)」という文と、
「僕はうなぎ(だ)」という文は、形の上では同じに見えても実際は構造が全然違う。(英語に直すとわかりやすい)
僕はわりと真面目な学生だったので、この講義を聞いて唸ってしまった。
この「うなぎ文」を発見した文法学者さんは、たまたま定食屋かなんかで飯を食べていて、
「むむ!今の注文の仕方、不思議な文の構造をしているぞ!」ということに気づいたんだと思う。
そんで学会か何かで、「私はこの文構造を”うなぎ文”と名づけたいと思います」という感じで
発表したんだと思う。
もしこの学者さんがこの文の構造に気づいたのが別の場所だったら・・・・・
出版社勤務・磯野「ささ、先生、どうぞどうぞ・・・」
伊佐坂教授「いやいや、どうも。悪いね、」
出版社勤務・中島「じゃ、先生、例の文法書の執筆の件、よろしくお願いします。」
伊佐坂「あ~あ~、任せとけ。院生あたりにチャチャチャっと書かせちゃうから」
磯野「また、もう、先生・・・。ちゃんとお願いしますよ」
伊佐坂「大丈夫だって!それより、女の子はどうした?」
中島「もう、先生!好きなんですから!あ!ママ!来たよ!」
学者「ほう」
中島「麗子ママ、こちら花丸大学の伊佐坂教授。今日はサービスしてさしあげてよ!」
ママ「これはこれは先生、ようこそいらっしゃいました。」
伊佐坂「う、うむ。(うぉ~、な、なんてきれいな人なんじゃ・・・・)」
ママ「さ、みんないらっしゃい。先生に御挨拶して」
女ABC「は~い!!」
女A「ランです!」
女B「ミキです!」
女C「スーザンデス!」
磯野「さ、君たち!先生の隣りに座って!」
女A・B・C「は~い!」
宇佐「あ、ちょっと待って・・・・」
ラン「先生、何お飲みになる?」
ミキ「どうされたの?先生。水割りでよろしいかしら?」
スーザン「シャチョウサン、フルーツタノンデイイカ?」
磯野「さ、ママ、乾杯!も~、ママったらいつ見ても色っぽいんだから!」
中島「ほんと、ほんと!」
ママ「まあ、相変わらずお上手ね」
伊佐坂「おい、君たち・・・・」
ラン「さ、先生、どうぞ」
ミキ「どうされたの?先生?落ち着いて」
スーザン「シャチョウ、アタラシイボトル、イレテイイカ?」
伊佐坂「なあ、君たち、女の子こんなにいらないよ。それに君たちもどうだい?」
中島「え?いいんですか?」
磯野「僕たちは別に・・・。先生が楽しんでくれれば・・・」
伊佐坂「ま、そう言わずに、一緒に楽しもうじゃないか」
中島「は、はあ。」
伊佐坂「中島君、好きな子、選びたまえよ」
中島「そうですか。じゃ、ランちゃんを」
伊佐坂「そうか、そうか。磯野君は?」
磯野「えっと、じゃ、ミキちゃんを」
スーザン「シャチョウ、ワタシデイイカ?」
伊佐坂「じゃ、僕は麗子ママ!」
中島・磯野・スーザン「ホワッツ!?」
伊佐坂「ははは、”僕は麗子ママ”・・・??」
ママ「あら、あたしみたいなおばさんでいいのかしら?うふふ・・・」
伊佐坂「”僕は麗子ママ”・・・・僕は麗子ママ?」
ママ「じゃ、失礼して・・・、あら?先生、どうなさったの?」
伊佐坂「”僕は麗子ママ”・・・I am Reiko・・・じゃない・・・!!これは!!発見だ!すごいぞ!」
中島「あ!先生!どちらへ?」
磯野「先生!先生!ちょっと待ってくださいよ!おい、中島!追え!」
ママ「ちょっと!何よ!あれ!」
スーザン「シャチョウワ レーコママカ?」
そして1ヵ月後の言語学学会にて、『麗子ママ文の構造分析』なる論文が発表されることになったのである。
僕は麗子ママだ
あれ?
おかしいな。
僕は最初、「鯖が好きだ」って文を書こうと思ってたのに、終わってみたら内容が全然変わっちゃった・・・