俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

前駆陣痛と陣痛の違い

おっさんが書くブログに似つかわしくないタイトルだが、うちも先日、第一子が誕生したし、あまりダンナ目線で書いてあるものは多くないようなので書き残しておきたい。

うちの嫁は35歳で初産。出産予定日は4月17日だった。

ただ、出産予定日の4日前でも子宮口は指一本がぎりぎり入る程度だったので、医者からはおそらく予定日はずれるだろうと言われていた。

ま、8か月前に予測した予定日にピタリと生まれるなんて最初から思ってもいなかったし、「初産は遅れる」なんてこともよく聞くので、これは想定内。

ただ、ひどいときは1週間も2週間も遅れるなんてことも聞く。ま、2~3日程度のずれで収まってくれればいいな、なんてことを考えていた。

結局「出産予定日の17日も検査に来てください」と言われ、いつも通りの診察を受けて帰った。


しかし出産予定日1日前の晩、嫁はうなされていた。

隣りの布団で「イタイイタイ・・・」とおなかを抑えてうめいていた。

嫁曰く「生理痛みたいな感じ」「おなかと子宮あたりが刺すような痛み」「あ、あと腰も痛くなってきた・・・」

嫁がうめくたびに腰辺りをさすってやったり、こぶしでぐりぐりしてやると少し楽になるようだった。

ただ、スマホの陣痛タイマーアプリを使って時間を測ってみても、痛みは2~3分で収まってしまうとのこと。

また、「夜12時くらいは1~2時間に1回、明け方は20分に1回は痛い。」とのことなので、「もしや?」と思って夜が明けてから急きょ病院に電話すると「入院する準備をして来てください」とのこと。

うちから車で15分ほどにある産婦人科に連れて行くが、結果は

「(子宮口は)指一本が楽に入るくらいですかね?」と言われ、また赤ちゃんの心音を聞いただけで返されてしまった。

嫁は「え~」という落胆していたが、お医者さんの口ぶりでは「まだまだ」という感じだった。


こんなときでも夫である僕はまだまだ呑気なのだ。

夜中に嫁が「イタイイタイ」と呻いても最初は何もせず、2回呻くと「これは何かしろというサインだな」「ここで無視すると後で恨まれるな」なんて打算的に考えて、申し訳程度に腰をさすってあげたりするだけで、あとはぐっすり寝てしまうし、

嫁の「痛い」のレベルもまだ半信半疑なのである。

嫁は普段から「手が痛い」「足が痛い」「腰も痛い」と、とにかく「痛いアピール」をしてくるし、

「ほら!こんなに腫れてる!」と指を見せてくるのだが、正直、他人が見たらどこが腫れているのかわからない程度。

だから「嫁は”痛い”と言っているが、きっと我慢できる程度の痛みだろう」「だからこれは陣痛ではない!」と思っているのである。

女性には申し訳ないが、男には到底わからない痛みなのだからしょうがない。

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しかし、その日の夜も嫁はうなされて、ほとんど眠れなかった。

嫁曰く、「昨日はナイフで刺されたように痛み。今日のは刺されたあとグリグリえぐられるような痛み~」と言っていた。

隣りの家に住んでいる兄嫁曰く「夜中に外でかわいい猫が発情したときの声を聴いた(*実は嫁のうめき声)」とのこと。

また、昨日は僕が腰をさすると少し楽になったのだが、今日は背中に触られるだけでも鬱陶しいらしい。

こうなると僕はどうすることもできない。

嫁も僕がどうすれば痛みが和らぐのか「わかんない!」とややキレ気味。

「陣痛なら10分おきに痛みが来る」「前駆陣痛と本当の陣痛は痛みが全然違うからすぐわかる!」

とどの妊婦雑誌にも書いてあるが、嫁は「昨日も痛かったし、今日も痛い。レベルが違うけど」なんて言っていて、まだ陣痛なのかどうかわかっていない様子。


出産予定日の朝も、とりあえず病院に行った。鈍い痛みがずっと続いているらしい。

が、医院長はその日、一人で診ているらしく、とにかく忙しそうだった。

何人もの妊婦さんがロビーや廊下で待たされ、さらに今まさに赤ちゃんが出る妊婦さんに呼び出され、普段は穏やかな病院はピリピリしていた。

やっと嫁の番になったのだが、嫁は矢継ぎ早に「来週月曜日までに赤ちゃんが出なかったら促進剤を打ちましょう。最初は経口薬で、それでダメなら・・・」と早口で説明を受け、「質問がないなら今日はここまで!」と帰されることになった。

う~む・・・ま、いつもは非常に評判がいい先生なのだが、今日はとにかく忙しくて一人一人にゆっくり時間をかけていられない、という感じだったな。

昨日検査したからなのか、今日は検査なしで促進剤を使う相談だけ。

週末に生まれてくれればいいんだけど・・・

嫁は「え~、週末ずっとあの夜が続くの~」とげんなりしていた。

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うちに帰り、お昼ご飯を食べ、お昼寝をしたのち、嫁を散歩に誘った。

嫁は「え~マジかよ・・・」とやや消極的だったが「『お医者さんに痛くても動け』って言われただろ?それしか赤ちゃんを産道に導く方法はない!」とやや強引に外に連れ出した。

が、かなり痛いらしく、10メートル進むと止まり、5メートル進むと痛くて動けなくなる、という状況だった。

これまでは痛くても固まって動けなくなる、ということはなかったが、今回は本当に辛そうだった。

結局300メートルほどの道程を40分かけて(ほとんど止まっていたが)帰ってきた。

まさか本当の陣痛なのか?と家に帰って僕の母がネットで調べるものの、結果は

「10分間隔で痛くなったら陣痛」「前駆陣痛とは明らかに違う痛みなのですぐわかる」ということのみ。

しかし嫁は

「ずっと痛い。痛みに波があるだけで、痛みが治まらない!」「間隔なんてない!」

とずっとエビのように丸まっている。

陣痛タイマーはすでに20分を超えた。

まだおりものも、出血も、破水もない。

でもとりあえず病院に電話してまた診てもらうことにした。


一般の診療はもう終わっていた。

当直の産婦人科医(産婆さん?)が、子宮口を見ると

「3~4センチってところですか。このまま入院しちゃいましょう」と言ってくれた。

先生「陣痛がはじまったのはいつ?」

嫁「わかりません」

先生「10分間隔で痛くなったのは?」

嫁「ん~・・・昨日の夜から痛くて眠れなくて、今朝も痛くて・・・でも痛みは5分くらいしか続かなくて・・・」

先生「いや、そうじゃなくて、10分くらい痛くない時があって、また痛くなるっていうのが繰り返したのは・・・」

嫁「痛くなくなる時がないんです!ずっと痛いんです!」

先生「・・・・」



僕「えっと、嫁はこのまま入院ですね。僕は明日来ればいいですか?」

先生「ん?立ち会わないんですか?」

僕「え?立ち会う予定ですけど」

先生「じゃ、ご主人もご一緒に」

僕「は?今晩生まれるんですか?」

先生「ん~・・・ま、明け方くらいですかね?」

僕「は、はあ・・・」

出産予定日、恐るべし


来週の月曜日に促進剤、なんて言ってたのに・・・・


というわけで、次は出産編。

で、とにかく言いたいことは

「陣痛が10分間隔になったら・・・」「前駆陣痛と陣痛の違いは明らか」


と誰しも言うが

わかりにくい場合もある


とだけ言いたかったのである。

心配なら病院に電話。これが無難。

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