居酒屋にて
超インテリのA氏。職業は大手予備校講師。
趣味はオペラ鑑賞。自身も趣味でコーラス倶楽部に所属
いつもピシッとスーツで決め、パリッとしたシャツに高級なネクタイ、髪型は七三でキリッっと決めている。
学生時代の恋人はドイツ人で、その後もコーラスの趣味が合う彼女や職場の主婦などをメロメロにしてきた女性遍歴を持つ。
対してB氏
お笑い芸人の卵。NSC東京を卒業。
以前はよく芸人仲間とCLUBへ乗り出し即ナンパ。
コンパもこよなく愛する。
A氏と同じ30代半ばながら、短パンTシャツに日焼けした肌はずいぶん若々しく見える。
そして俺（仮にCとしておく）
一応背広を着て職場に行くが正規社員ではないという中途半端さ
女性と付き合った経験がないばかりか、ここ1年、女性に触れたことさえない。
自分でいうのもなんだが見かけはフツー。
性格に少々難あり。
人付き合いが悪く、性格が天邪鬼、面倒臭がりで小心者
年齢はA氏B氏より一つ上。
この3人が集まり、今後の俺の女性問題について話し合いがもたれた。
B「一緒にクラブ行こうよ。女は話しかけられるのを待ってるんだよ。一回ぐらい断られてもめげずに何度もいけば絶対ひっかかるって」
A「いや、Cにそれは無理だろう。まずは着るものから変えてみなよ。ちょっと奮発していいスーツとネクタイとかばんを買ってさ。身なりは大事だよ」
B「カラオケとか誘ったら？そんで今、流行ってそうなの歌ってさ。そしたら盛り上がるって。」
A「”千の風になって”とかな」
B「いや、それは絶対ひく」
A「それよりコンサートとか誘ったら？」
B「それは好みが分かれるんじゃない？まずはコンパでしょ？」
A「コンパかあ。俺も前に無理やり参加させられたことあるなあ」
B「へえ、Bもコンパなんか行くんだ。」
A「行ったよ。1万円ぐらいとられたな。」
B「どこでやったの？それ」
A「なんかケイオウプラザで部屋借りて」
B「それコンパじゃねえよ！」
A「いや、でも3対3だったよ」
B「Ｃの経済力じゃ居酒屋で十分。で、そこでトークで盛り上げんだよ。」
A「お前じゃないんだから。トークで盛り上げられたらとっくに彼女できてるよ。
C「・・・」
A「いいんじゃない？普通で。自然にしてれば」
C「・・・」
B「コンパなんだからいつもよりはがんばんなきゃ」
C「で、でも何話していいかわからないし・・・」
A「趣味でもきけば？同じ趣味の人とか見つかるかもしれないよ。」
B「そうそう。好きな有名人とか。うそでも『俺も好き』とか話合わせたら盛り上がるよ」
A「でもうそがバレたら気まずいからな。本当のことを言ったほうがいいよ。俺も前、それ聞かれたけど本当のこと答えたよ。」
C「ちなみにAの好きな有名人は？」
A「プーチン」
B「・・・」
C「・・・」
B「あ、髪型とかも変えてみたら？思い切って茶髪に」
A「いや、もう30代半ばなんだから落ち着いたほうがいいよ。髪を立てるのは20代までだな。そろそろ七三に寝かせてみたら？」
B「いや、それはダサいって」
A「いや、茶髪はまずいよ。仕事にも影響するし」
B「じゃ、茶髪で七三にしたら？」
A「おお、それがいいや。なあC。来週までに茶髪で七三にしてきなよ」
俺は教わる人を間違えているような気がした・・・
