俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

林修先生の賢い生き方

林先生、うまくやっとんなぁ~

僕も教育関係の仕事をしているので、つくづくそう思う。

林先生、うまくやっとんなぁ~

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林修先生は言わずと知れた予備校教師兼タレントである。

(詳しくはWikipediaを参照:林修 - Wikipedia

今やテレビのレギュラー番組が9本、うち冠番組が5本、押しも押されぬスターである。

一介の予備校教師であった林先生が、テレビの冠番組を何本も持つ売れっ子になるなんて誰が予想できただろう?

2009年に例のCMが始まり、2013年に新語・流行語大賞を受賞した当時はだれもが一発屋だと思っていた。

特に見栄えがいいわけでも、トークがうまいわけでも、キャラがたっていたわけでもない林先生。もちろん東大卒で頭はいいのであろうが、新進気鋭の若手起業家でもなければ、めちゃめちゃ頭の回転の早いIT社長というわけではない。元官僚や大学教授、MENSA会員の脳科学者や美人医師なんて人に比べたら肩書も地味な”予備校教師”。
とりたてて何かすごいものがあるとは思えない人のはずだった。

その林先生が入れ替わりの激しい芸能界で飄々と生き残り、ましてや冠番組まで持つとは…人の人生はわからないものである。

 

では何故、その林先生が数ある知識人の中でテレビの冠番組を持つほど売れっ子になったのか。それを考えてみたいと思う。

①勉強に特化

予備校教師の林先生は自分の能力と経験が生かせる土壌が勉強・知識(特に国語)であることをよく知っている。そしてこの”勉強”とか”知識”というコンテンツは実に普遍的なものなのである。

クイズ番組はいつの時代でも一定の人気があるし、東大生がクイズに答えるだけの番組だってある。

僕は『ネプリーグ』(フジテレビ系)や『ミラクルナイン』(テレビ朝日系)のような一般常識クイズが好きで、これを継続的に見ることで脳トレをしている感覚である。一度は覚えたこと、知っていることを思い出せた時の喜び、自尊心がなんともいえず快感なのだ。

 一方で『東大王』『Qさま』といった頭のいい人が答える番組はほとんど見ない。答えを考えてもわからないし、答えを知っても「ふ~ん」「これ覚えて何になるの?」「世の中には頭のいい人もいるもんだ

で、林先生は『ネプリーグ』のレギュラーなのだが、常識クイズや受験に出た漢字など自分の最も得意とする分野のクイズを解答者として解いたり、先生として解説したりしている。「名門私立中学に出題された漢字問題」について解説するなら確かに予備校教師の林先生以上の人選はないだろう。

 そして林先生はクイズの解答者にまわった時も人を選ぶ。基本的に東大生や高学歴タレント、頭脳明晰芸能人たちと勝ったり負けたりしながら切磋琢磨するのを好まない。林先生はいつも”先生”なのである。先生の立場で生徒と対戦する構図になる。『林先生の初耳学』(毎日放送)なんてその構図だ。”林先生、これ知ってる?よし!先生が知らない問題を出せたぞ!”。これで番組が成立している。
  自分が輝ける場所を完全に理解しているのが林先生のすごさだ。

⓶他分野に手を出さない

 林先生は間違いなく”知識人枠”である。普通この立場にいる人はワイドショーでコメンテーターを頼まれたり、なんなら政治家や大学教授として担ぎ出されたりするものだ。しかし林先生は絶対に政治は語らない。オリンピック開催問題も新型コロナウイルス問題も語らない。芸能人のスキャンダルさえも語らない。なんなら教育問題も語らない。「ゆとり教育・ICT教育・STEC」「ゆたぼんの不登校」など教育だけでも語れそうなことはありそうだが、林先生は手を付けない。受験一本。

 最初から興味がないのかもしれないが、おそらく”君子危うきに近寄らず”なのだと思う。だからボロが出ない。余計なことを言って炎上することもないし、敵を作ることもない。自分は予備校教師であることを自覚し、それ以外の分野に口を出さない。だから息が長い。

③破天荒と多趣味

 林先生は意外に破天荒である。教師という仕事は堅実な人がするようなイメージがあるが、林先生は破天荒エピソードが多い。頭のいい破天荒なのである。

 例えば東大を出て大手銀行に入るも半年足らずで退職。その後起業、投資、ギャンブルの失敗で1800万円の借金を作ったりしている。それからたまたま紹介されてなった塾講師から今の地位を築いたが、今でもギャンブル大好き。ギャンブルのために仕事をしているとさえ語っている。そして競馬好きがこうじて競馬番組を持つようになったという。

 ただのまじめな教師だったらここまでにはならなかっただろう。いい意味で不真面目でいい意味で遊び人。それが全て”いい目”となって出ている。野球も大好きなのでそのうちまた番組を持つかもしれない。

④いまや無双

 今や『世界の果てまで行ってQ』(日本テレビ系)を超え、日曜夜の視聴率No.1となった『ぽつんと一軒家』(朝日放送テレビ)。僕の両親も毎週欠かさずに見ているので僕もなんとなく見ているのだが、所ジョージさんと一緒に番組を進行しているのが林先生なのである。この番組での林先生の役割は完全に”番組進行”と所さんの話し相手。僕はいつも「なぜに林先生?局アナでいいよね?というか朝日放送としては局アナがいいよね」と思うのだが、なぜか林先生なのである。そして所さんの隣のポジションをいいことに楽な仕事をしている。

 が、きっと所さんは林先生にシンパシーを感じているはずである。仕事にガツガツしていない、テレビにガツガツしていない林先生は所さんにとっても居心地のいい存在なのかもしれない。

 もうこうなってくると”何でもあり”である。自分の専門分野(”受験””知識””解説”)でもお金が取れて、趣味でもお金が取れて、人柄でもお金が取れる。なんなら「知らない(知識がある)」「(競馬の)予想が外れる」「意外に破天荒」でも喜んでもらえる。もはや”無双状態”である。


ここまで書いたが「じゃあ、林先生の何がすごいの?」と言われてもやはり特筆すべきところはないのである。テレビは本来は”何かしら特筆すべきものがある人”が出られる世界である。が、林先生は自分のやりたいようにやり、生きたいように生きたら周り(テレビの世界)から重宝されてしまった人である。仮にテレビで飽きられたとしても「また予備校教師をしながら家庭にお金を落としつつギャンブルしよう」と考えると思う。

ああ、林先生、うまくやっとんなぁ~