先日、Twitterで「本日2021年6月15日、加藤信也・金子文絵・柴田恭兵の３者にて『株式会社mojicca』（読み：もじっか）を設立しました！」というニュースを目にした。
え？柴田恭兵さんが会社設立？
詳しく知りたくなってYahooやmsnのニュースを調べてみたがそれに関する記事は出て来ない。不思議に思ってもう一度Twetterを調べてみたら、このニュースの柴田恭兵さんは同名同姓の別人だということがわかった。
なんかおかしいと思ったんだよ。
ああでも思い出してしまった。柴田さん、僕の憧れの人、柴田さん。
僕はアラフィフで、中学時代に『あぶない刑事』が始まったもんだから、まあどんぴしゃの世代だった。第1回放送からハマったな。
とにかくカッコイイんだ。
大人って意味もなく格好悪いと思ってたんだよ、当時は。
中学生の僕が持っていた大人のイメージは、満員電車で会社に通って、タバコ臭いオフィスで仕事して、帰りにお酒飲んで道端でゲロ吐いて、赤い顔してヨレヨレのスーツで電車の中で寝てしまうイメージ。日曜日はランニングにステテコでダラダラしながらおならをしてるかゴルフに行って上司にゴマを擦るイメージ。
毎日新聞に連載されていた4コマ漫画『アサッテ君』とか、『サザエさん』のマスオさん、波平さんのイメージだった。
尾崎豊を聴きながら「サラリーマンにはなりたかねぇ。朝夕のラッシュアワー、酒浸りの中年達・・・」なんて大人を見下していた感じだった。
そんな中に現れた『あぶない刑事』の柴田恭兵さんはとにかくカッコよかった！（舘さんもダンディだったが、僕は断然柴田さん派だった。）
まずファッションがカッコよかった。黒いスーツ姿もカッコよかったが、上着を脱いだ白いYシャツ姿がまた良かった！ちょっとタブついた白シャツにアームバンド！
サスペンダーもイカしているし、スーツの下のベストもまあカッコイイんだ。
ネクタイも決まっているし、ジャケットにノータイでも色気があった。
冬は黒いロングコートだが、春先にちょっと明るい色のコートを翻して歩くところなんか、たまらんかった。
田舎のニキビ面の中学生が「スーツ着たい！スーツ着たい！スーツ着たい！」なんて思ったもんな。
さらに柴田さんの立ち居振る舞いがカッコよかった。
全身黒づくめにサングラスと、いかつい格好をしながら軽やかにステップとターンを踏み、朝のあいさつ代わりに女性署員を褒めながら港署に出勤してくる柴田さん。コーヒーを飲みながら低くて渋い声で後輩のトオル（仲村トオル）をからかい、（浅野温子さん演じる）薫とたわむれたり署長に怒られておどける姿はオシャレだった。立っても座っても、歩いても走っても、銃を構えても柴田さんはキマっていた。「俺も絶対あんな大人になるんだ！」「サングラスで出社して、同僚のかわいこちゃんを口説くんだ！」って思ったな。
さらにさらに、面倒なことは有無を言わさず殴って解決！今となってはありえないが、黙秘を続ける容疑者には殴って制裁！犯人は迷わず銃で撃って逮捕！この問答無用なところも良かった！
その魅力を当時の日本人は”シブい”と呼び、”シブい”といえば柴田恭兵、これが日本人の共通認識だった。男が惚れる男。それが柴田恭兵！
そして僕は柴田さんを追いかけた。もちろん柴田さんのシングル曲『Running Shot』も買ったし、アルバムも買った（実際買ったのは柴田さんが所属していた東京キッドブラザース名義の『遠い国のポルカ』だったが）。ポッカコーヒー（柴田さんがCM出演）もよく飲んだし、モノマネもした（とんねるずのノリさんもやっていた。”Wake Up！””関係ないね！”といった決めゼリフがあった）。
とにかく柴田さんみたいになりたくて、あんなシブい大人になりたくて追いかけたな。
そして僕が大学生になる頃、”あぶ刑事シリーズ”が終わった。
僕は就職浪人をしたり、ニートをしたりしている間に、黒いスーツを着てサングラスをかけて出社する夢はついえ、すっかり格好悪い大人の仲間入りを果たしていた。
気づけば派遣社員のままアラフィフ。青春時代に憧れていた姿とは似ても似つかない結果となってしまった。
その間柴田さんは大病を患い、しばらく表舞台から姿を消していたようだが、今も元気に俳優活動をされているとのことだ。時折テレビで姿を見るが、今もシブいし、今もカッコイイ。今も僕のあこがれだ。
今の中学生とか高校生が憧れるシブい大人って誰なんだろう？
阿部寛さん？木村拓哉さん？もっと若いならディーンフジオカさん？綾野剛さん？
僕は思春期に柴田恭兵さんに出会えて良かったなぁ。
