先日、なんとなく「子供の頃に聴いていた曲を聴きたいな」と思って、Youtubeで水谷豊さんの動画を探していた。
水谷豊さんと言えば「『相棒』の人!」という人がいるかもしれないが、僕にとっては水谷豊さんといえば『熱中時代(教師編)』の北野先生!
さらに水谷さんと言えば『熱中時代(刑事編)』の「カリフォルニア・コネクション」と『事件記者チャボ!』の「なんて優しい時代」!歌が結構シブくてかっこいいのだ。
で、数年前に水谷さんが歌っている動画があったのでいくつか観たのだが・・・なんとも微妙な映像だった・・・。
あれ?おかしいな?当時はちょっと郷愁を誘うような、物悲しげな声が素敵だと思ってたのに、今はただの「おっさんのカラオケ」に見える・・・
本人はノリノリでバンドの生演奏でカッコよく決めてるつもりなのだが、なんだろう・・・この声の魅力のなさは?さすがにこれは令和の若者には理解できないであろうな。というか僕も今の水谷さんの歌はちょっと・・・
水谷豊 『カリフォルニア・コネクション』 - YouTube
で、ちょっとがっかりした気持ちでいたのだが、関連おすすめ動画で娘の趣里さんの動画が出てきたのでいくつか見てみたのだが、その魅力に圧倒されてしまった。
僕は神奈川県出身で帰省の折に小田急線をよく使っていた。
ある年の年末、実家に帰省しようと新宿駅から小田急線に乗り込んだ時のこと、始発駅だったが座席はもう埋まっており、僕はしかたなく立ったままドア上の画面に流れる車内CMをなんとなく見ていた。
小田急線のCMとあって、よくある帰省モノだったが、そのCMに出ていた一人の少女の演技にくぎ付けになってしまった。
決して美人とは言えないし、主役顔でもなかったが、それがまた「どこにでもいる女性」の雰囲気を見事に表していた。CMで演じていた高校生役も結婚したばかりの20代の役もどちらも全く違和感なくハマっていた。大げさなドラマがあるわけでもない、何気ないシーンの連続なのにその少女(女性?)がちょっと目を細めるだけ、ちょっと上を見つめるだけで感情がじゅわ~とあふれるような圧倒的な表現力、圧倒的な魅力に満ちていた。
「誰だろう?誰なんだろう、あの女優さんは?」
【小田急|TVCM】「世界に一つの日々と[3人の日々篇]」60秒 - YouTube
気になって調べてみたら、その女優さんの名前が”趣里”さんで、あの水谷豊さん・伊藤蘭さんの娘さんであることがわかった。
が、親の七光りなんて全く意味がないくらい、趣里さんの女優としての存在感は際立っていた。
Youtubeで観た映画『生きてるだけで、愛。』、『東京の日』の予告
趣里×菅田将暉『生きてるだけで、愛。』本予告 - YouTube
趣里が主演!映画「東京の日」予告編 #Tokyo no hi #movie - YouTube
これ、怖いな・・・
「いるいる、こういう女」感がものすごい!
地味で存在感がなくて、何考えてるかわからない。なのに意外に狂気!
昔、東京家庭裁判所の傍聴に(趣味で)行ったとき、「夫を刺しました」っていう女の人がいて、その人が小柄で眼鏡かけたまじめでおとなしそうな人で「絶対にそんなことしないだろう」と思うような人だったのでビビったことがある。
趣里さんはきっとそうした人でも演じられる人。
これが売り出し中の若手女優だとどうしても顔とか演技が気になってしまったり、「いや、ありえんやろ」と突っ込んでしまいたくなるのだが、趣里さんの独特の雰囲気は妙なリアリティと説得力を持つ。
それはある意味狂気にも思えた。だってこんな女性はそこら中にいる。振り向けば後ろの座席に座っているかもしれないし、窓の外のホームに立っているかもしれない。そんな女性一人一人がものすごい感情とドラマを抱えながら僕の周りに静かに存在しているかもしれないのである。
趣里さんはいわば殺し屋。ゴルゴ13。存在感を消しながら確実にターゲットを射止める。だから本当はあまり売れて顔が知られてしまわないほうがいいのかもしれない。
いつか趣里さんの映画がカンヌのような国際映画祭に出されたら、『万引き家族』の安藤サクラさんと同じように、世界はきっと驚く。
「誰?あの女優?何?あの演技?今後私が泣くシーンを演じたら絶対趣里の影響を免れ得ない!」なんて言われるだろう。
観たい、でもあまり売れて顔を知られてほしくない。
稀代の天才女優、それが趣里