俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

500円おじさん

先日、『坂上&指原のつぶれない店』(TBS系列)で愛知県のスーパー「生鮮館やまひこ」が登場し、そのデリカ部門を担当する敏腕チーフ太田典子さんと彼女が作り出す大人気お惣菜が紹介された。

僕は太田さんの努力、熱意、変態ぶりに感心しつつも、自分の感覚と世間のそれとのずれの大きさに絶句してしまったのである。

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「生鮮館やまひこ」では開店2時間もせずに売り切れる”ほぼ具おにぎり”や日替わりの”弁当フェス”、カップの上に果物のやぐらが立つド迫力のスムージーなどが人気のスーパーで、愛知県を中心に10店舗を展開している。その総菜部門を指揮するのが太田典子さん。

彼女は元実業団ハンドボール選手だったが家庭の事情で選手を辞め、家計を支えざるをえなくなった。その際、自分の事情を理解し採用してくれた会社に恩義を感じ、配属されたデリカ部門でストイックなまでに商品開発に打ち込み、わずか1年でデリカ部門の売上構成比を7%台から10%以上に跳ね上げた。そして現在ではその割合は20%にまで上り、彼女が指揮するデリカコーナーは店内の4分の1を占めるという。

失礼ながら、見た目普通のパートのおばさん(ごめんなさい!)なのだが、彼女の戦略はことごとく的を得ていた。

①インスタグラムでの広報

太田さんは日々のお弁当、お惣菜を自身のインスタ等SNSで投稿。お惣菜やスムージー自体も”映え”を意識して盛り付けているという。その結果お客がどんどんインスタで宣伝してくれることになり、通常スーパーが作っているようなチラシを必要としないのだという(その分の経費が浮く)。

インスタをやるスーパーのおばさん(失礼!)もすごいが、単なる趣味ではなく戦略をもってやっているところがすごい!

②惣菜の豊富さ

開店2時間で売り切れる”ほぼ具おにぎり”は毎日は売らないという。曜日によって「韓国弁当フェス」「カレーフェス」などお惣菜の種類を変える太田さん。

この戦略も実にうまい・・・。

たしかに名物おにぎりも毎日置いてあればありがたみが薄れてしまう。これで曜日も固定されてなきゃ太田さんのインスタを常にチェックしてなきゃいけなくなるし、おにぎり買うためにまたスーパーに足を運びたくなる。おにぎり買ったら飲み物とかカップ麺とか他の買い物もしたくなる。もう太田さんの掌の上だな。

さらにおにぎり以外のお弁当、サンドイッチ、スイーツ等も質・量・インパクトどれもがすごいらしい。なのでいつ行っても何かしら”映える”デリカに出会える。

太田さんはそのための商品開発に日々奮闘しているという。すごい・・・。

③興味を引くPOP・商品名

商品自体がインパクトがあるのだが人気のスムージーは「だって桃が好きだもも」「いちごっつぁんです」「メロンにめろめろ」と名前だけでも興味を引く。

またスーパーのPOPはどこも似たようなものになって見過ごされがちだが、太田さんは焼き芋の顔出しパネルを作ったり、串カツバイキングのPOPに星座占いを書いたりするらしい。(ちなみに12星座のうち11星座は”串カツ”がおススメなのに、カニ座だけおススメが”カニクリームコロッケ”になっていたりする。”何でやねん!”突っ込んでしまったら思うツボ)

④自分が食べたいものを売る

スーパー「やまひこ」の名物”ほぼ具おにぎり”は、「おにぎりを嚙んだ時いつも具があったらいいのに」という太田さんの夢から作られた。”ほぼ具のり弁”は「のり弁にきんぴらやヒジキが仕方なく載っているのは嫌だ!箸休めがないぐらい豪華な具がたくさん載ってたらいいのに」という願いから開発された。そして開発者・太田さんの想いは確実にお客さんに伝わっている。それが凄い!

スーパーを経営するこの会社の社長もメニュー開発は太田さんに任せっきりで、当日発売されるデリカは太田さんのインスタで知るらしい。この社長もすごい!

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んで、ここからが本題に入るのだが、

いちごスムージー898円、ほぼ具のり弁1078円って・・・高いよね?

もちろん、苺をそのまま液体にしたような濃厚スムージーと生の大粒イチゴ6個乗せなので適正価格なのかもしれない。

のり弁だって、鮭・飛騨牛・鳥のから揚げなど11種のおかずが載っているのだがら適正と言えば適正だ。

でも独身時代ランチの予算が500円で、富士そばとか日高屋とかさくら水産とかで昼飯を食うか、500円以内のお弁当を買っていた僕は「やまひこ」のスムージーもお弁当もつい腰が引けてしまう。

1000円のお弁当って・・・そんだけあったら仕事帰りのスーパーで割引弁当にお惣菜、激安缶ビールが買えて一人パーティーができますやん。

 

が、今(2021年)の世の中、「日常生活で安く済ませられるところは安く済まし、価値があるものには金を惜しまない」のが当たり前の消費活動らしい。

僕のように500円以上のお弁当は無条件に高いと泣いているおじさんは相手にする必要がないのである。

本当においしいもの、”映える”もの、テンションが上がるものは高くても売れる。高くても多くの人が買ってくれる。多くの人がお金を出すことを惜しまないのである。

そんなことは僕だって、頭ではわかっているのだが…やはり染みついた貧乏性はなかなか抜けず、しみったれたおじさんである僕はますます世間の流行から離れていくのである。

ああ、僕もどこかの若手俳優みたいに「食事に興味ない」「食事に時間とお金をかけるのはもったいない。その分趣味や勉強に使いたい」なんて胸を張って言えたらいいんだけど・・・そんな度胸もないんだよね。旨いもの食いたいし。

 

俺、ホリエモンと同じ年で前澤さんより年上なのに・・・_| ̄|○