俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

”一人ごっつ”で奮い立つ

仕事でもこのブログでも、日によっては何にもアイディアが浮かばない時がある。

それでも何かをひねり出さなければならない時もある。

そんな時、僕はYoutubeで松っちゃん(松本人志さん)の『一人ごっつ』を観る。

『一人ごっつ』を観返しては、自分を奮い立たせるのだ。

できる。自分はできる!そう自分に言い聞かせてアイディアをひねり出す。

・・・それにしても、やはり松ちゃんは大した人だな。

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『一人ごっつ』(フジテレビ系)は1996年10月から1997年3月まで深夜に10分だけ放送されていた大喜利バラエティだ。

僕は当時大学に通いながら一人暮らしをしており、居酒屋のバイトから帰った後に見ていた記憶がある。松ちゃんに様々な大喜利のお題が出され、それに答えるというシンプルなものだったが、現在の『IPPON グランプリ』のフォーマットのほとんどはこの番組で作られたものだ。

で、当時は「なんで一人で?」と思ったし、大喜利の答えもシュールなものが多く、全部がおもしろいわけではなかった。深夜に10分だけ観るから耐えられたが、録画したものを翌日の朝に見ても全然笑えないことが多かった。結局『一人ごっつ』は半年で終了してしまったのだが、その後次第に松ちゃんの当時の気持ちを考えるようになり、その心意気を思えば思うほど「すごいな、松ちゃん。すごいなぁ~」と感心するようになった。特に大学を卒業して社会人になってからはそれこそあの番組が心の支えになったものだ。

あの番組は当時からすればかなり”実験的”なものだった。だから失敗する可能性も大いにあった。ただセットは毎週同じ、出演者は松ちゃんのみなので製作費が抑えられたこと、『ごっつええ感じ』で松ちゃんは実績があったことなどからフジテレビもゴーサインを出したのかもしれない。

(つまり、社内で何か実験的なことにチャレンジしたかったら信頼と実績、リスクマネージメントが必要ということ)

松ちゃんと言えども全てのお題に対し、爆笑をかっさらう答えが出せるわけではない。失笑を買うことも、松ちゃん自身が納得いかない答えを出すこともあった。でも松ちゃんはそれすらありのまま見せることにこだわっていた。ウケたものだけを編集して映すことを良しとせず、あくまで自身の「瞬発力」「即興の力」「ゼロから生み出す力」を信じていた。その姿勢は昔から現在に至るまで一貫しているようで、松ちゃんは若手芸人がネタを熱心に練習したり、事前に仕込んでいたりすることにあまり感心していない。”芸人たるものあくまで瞬発力や感性、即興で笑いを取れるべき”と考えているようだ。

で『一人ごっつ』は”芸人ならそれができる”、”自分ならそれができる”ということを証明するために松ちゃんが自分に課した試練、千本ノックのようなものではないかと考えている。当然自信もあったろうが、失敗すれば恥をかくというリスクもある。それでも当時は狂気なほどお笑いにストイックだった松ちゃんは自分の能力とお笑いの力に挑戦する道を選んだのだ。あえて相方の浜田さんや後輩芸人を出演させず、自分自身で責任を取ろうとした松ちゃん。

自分の力を信じること、そして「できるかどうか」で悩むよりまずはやってみること、失敗したら自分のせい、成功すれば業界が活性回する道が拓け後輩たちがそれで飯が食えるようになる。

松ちゃんがそんなことを考えていたかどうかはわからないが、松ちゃんが切り開いた道のおかげで才能が開花したり、飯が食えるようになった後輩も多い。

そして現在、自分で新しい笑いを創造したり、他の芸人さんや後輩たちが共に生き残る道を切り開いている芸人さんが他にも何組か見受けられる。

 

偉いなぁ、素晴らしいなぁ。

この年(アラフィフ)になると”失敗”というものがなかなか許されなくなって、”失敗”即”失脚”になるリスクもあるんだけど、自分に試練を与え続けないと・・・。

自分はできる、そう言い聞かせながら