日曜日の夕方、一人寂しく河原の土手を散歩することがある。人生の後半に思いを馳せ、不安に駆られ、ちょっと泣きそうになってしまうことがよくある。で、なんかテンションが上がるような歌でも歌って気を紛らわそうと思ったのだが、テンションの上がる曲って・・・何だ?
そういえば20年ぐらい前にNHKの「POP JAM」に出てた4人組の女の子の歌が妙に面白かったんだよな。メロンがなんちゃらってグループで、スーツ着た女の子と金髪の子がいて・・・
僕が思い出したのは"メロン記念日"というグループの「さぁ!恋人になろう!」という曲だった。Wikipedia(メロン記念日 - Wikipedia)で調べてみるとハロープロジェクトのグループの中ではすごく売れたわけではなかったが、メンバーは個性的で根強いファンがいたらしい。特にハロプロファンでもない僕の記憶にも20年以上も残っていたのだから、やはり強烈な個性があったのだろう。
「この曲が いいねと君が言ったから 八月七日はメロン記念日」
令和のヒット曲についていけないおじさん達は、本当に急に昔の曲を聴きたくなったりする。で、Youtubeで検索して約20年ぶりにその曲を聴いてみたんだけど・・・やっぱり面白いな。最初に聴いた時は2002年だったか?「チャラい曲だな」と思ったがその後数日サビが頭の中でリピート再生されていた。当時はアジア経済危機で景気も低迷、アメリカの同時多発テロなんかもあって世間は暗かったし、年齢=彼女いない歴を絶賛更新中だった僕の心もだいぶ暗かった。
そんな中、「さぁ!恋人になろう」なんて曲を能天気に歌う姿に僕は癒しを感じたな。「いいな、俺も恋愛したいな!」「彼女ほしいな!」「女の子だってこんなふうに思ってるんだから!」なんて妙にテンションが上がって、オートバイに乗りながらこの歌を鼻歌で歌った記憶がある。
で、2021年改めて聴くと・・・まあ・・チャラい。
が、最高に面白い。衣装もダンスも歌詞も、めちゃくちゃな転調も・・・実にいい!
こんな曲、つんく以外に誰が書ける?
今流行りのボカロP、歌い手、クリエーターがこんなダサい曲作れるか?
あいみょん、米津玄師、YOBASOBIらがこの曲思いつくか?
乃木坂、櫻坂、日向坂がこんなリアルな女の子の気持ちが歌えるか?
こんなに転調を繰り返し、おもちゃ箱みたいなガチャガチャした陽気な曲、だれが書ける?
この曲は本当につんくさん以外に書けない曲だ。
「ダサい曲のほうが売れる」という信念を持つ人にしか作れない
でもこんな底抜けに明るくて、妙にテンションが高い曲で救われる人、癒される人はいつの時代にもいるものだ。アラサーのOLさんたちがカラオケでこの曲を歌いながら盛り上がっている姿を想像するだけで楽しくなってしまう。
メロン記念日 『さぁ!恋人になろう』 ハロモニ - YouTube
そしてこの曲を歌ったメロン記念日というのも稀有な存在だったんだろうな。
アイドルが「ああ、彼氏ほしい!恋愛したい!デートしたい、キスしたい!」なんて歌うのは本来はご法度なんだろうけど、彼女たちだと妙にハマるし、ファンも幻滅しない。(果たしてこれがリアルな女の子の本音かどうかは置いておいて)。
まあ、でもこんな曲、今後ハロプロファン以外で認知されることも、再評価されることもないだろう。また令和にこんなバカげた曲が作られることもないだろう。
いつか日本人の記憶から消えていくであろうメロン記念日の「さあ!恋人になろう!」
おじさんは家族にばれないようにこっそりYoutubeを観ながら記憶に残しておこう。