東京オリンピック2020の開会式
僕はフジテレビのダイジェスト版しか観ていないので詳細はわからないのだが、全体的には微妙な出来だったようだ。でも、あのピクトグラムは良かったな。
なんか・・・ほっこりした。
今回はあれでいい。いや、あれがいい。
ついに始まった東京オリンピック
もう始まってしまったのだから開催の是非については今はとやかくは言うまい。
終わった後に「なんだかんだ言って、面白かったな、オリンピック」「あのシーン、感動したな」と言われるのか、
「感染拡大、大赤字、無関心、準備不足、運営不備、不平等、大不評、史上最悪のオリンピック」「ほれ観たことか！あれだけ中止しろって言ったのに。無理やり開催した無能共に責任がある！」と言われるのかは、終わってからでないとわからない。
あとは安全に運営されることを願うのみ。文句は後で言うしかない。
さて、開会式も色々な人が色々なことを言っているが、僕が唯一印象に残ったのはやっぱりあの”ピクトグラム”だな。
ネットには「ただの仮装大賞」みたいな批判の声もあるが、僕はその「仮装大賞感」も含めてあのパフォーマンスはすごく良かったと思う。
まず、あのドタバタ感が良かった。3人で50の競技のピクトグラムを演じるためにドタバタと動く感じが実に人間味があっていい。あれを50組のパフォーマーが一つずつ完璧にポーズしたのではあの感じが出ない。とぼけた感じのフォルムを持つピクト君がちょっと失敗したり、音楽に間に合うかどうかのギリギリの感じで進めていくのがたまらなくおかしいし、応援したくなる。見ているうちにどんどん惹きこまれていく。で、「あと10！」「あと５！」と知らないうちに自分もカウントダウンし、最後のトライアスロンが終わると「お～！」っと自分も嬉しくなり、ピクトグラムも一緒に喜んでいたりして一体感が生まれてしまった。おもしろい！
次にあのサイズ感がいい。おそらく会場にいる人たちは実際のステージを見ても「何しているんだろう？」という感じだと思うが、今回の開会式はほとんどの人がテレビで観戦している。そのテレビサイズの演出なのだ。そもそもオリンピックの開会式って年々派手に規模が大きくなっている感じがする。国の威信をかけるのだからしょうがないとはいえ、将来的に初めてオリンピックを開催するような国に必要以上にプレッシャーを与えている気がする。世界的なスターも、古い歴史や文化もない国はどうしたらいい？ 今回のオリンピックはコロナ禍ということもあるので、規模を縮小させるいいチャンスだったと思うし、その意味であのピクトグラムの演出はいい！だって小さなステージに基本3人だけだもの。（*実際は5人いたらしい）
そしてあの「仮装大賞感」「お茶の間感」がたまらなくいい！よくよく考えたら仮装大賞も日本の文化だ。毎年恒例で国民誰もが慣れ親しんだフォーマット。
「自分も出たい！自分にもできるんじゃないか！」と思わせるほどよい感じ。実に日本らしくてアットホームだ。
で、本物（見本）のピクトグラムに人物が逆さになるデザインがあったり、カメラに普通の人が写ってしまったりして、観ている人に「どうするんだ？」と不安を煽らせといて、「カメラ逆にすんのかーい！（笑）」「そこはポロシャツの柄かーい！」と突っ込みを入れさせる余地を作るところとか、ところどころに「あ！うまい！」と視聴者を唸らせる工夫があるものもニクい演出だ。世界中の人が見て「わぉ！」「おもしろい！」と思ってくれる。大人から子供まで、親子でテレビを見ている人も楽しんでくれるような演出だ。
さらにテーマを”ピクトグラム”にしたのも秀逸だ。1964年の東京オリンピックを機に全世界に広がった親しみのあるキャラクター（？）だが、言葉も人種も性別も宗教も国籍もない、多様性（ダイバーシティ）の象徴のようなものだ。世界中の人が違和感なく受け入れられるユニバーサルデザインはオリンピックにうってつけで、どこからも文句の出ようがない。
（これに比べると”歌舞伎”はやりすぎ。アニメやゲームも出さなくてよかった。伝統自慢、文化自慢な感じになってしまう）
【東京奧運開幕典禮】超級變變變！超創意呈現1964年的50個靜態項目圖標 - YouTube
もちろん、今回のパフォーマンスはプロの演出家集団が思考を練りに練り、プロのパフォーマーが何日も練習を積み重ねてできあがった作品だが、あえての"ドタバタコメディー調演出”に仕上げたのは狙い通り世界中の人の心を掴んだと思う。
この演出に関わった皆様、お疲れさまでした。私には開会式で一番記憶に残るパフォーマンスでした！
