俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

いとしのロボット掃除機

我が家にロボット掃除機がやってきた。まさか僕の人生でロボット掃除機を買う日が来るとは思っても見なかった。ああいうのは広い家を持つセレブとか芸能人が持つものだと思っていた。

しかし実際に使ってみて、ロボット掃除機というやつは実に愛らしく、けなげで、ちょっとドジで、放っておけないヤツだということがわかった。

ハイテク機器、ロボット家具というより、「田舎から来た新人家政婦」とか「飼ったばかりの子犬」のような存在。目が離せぬ・・・。

Xiaomi Mi 1C EU (2020) - Robocleaners

 

僕は現在、仕事の関係で東南アジアのとある国に住んでいる。

借りている部屋は(畳や絨毯などもちろん敷かないので)フローリングなのだが普段は奥さんがフローリングワイパーのようなもので目に見えるゴミや毛を掃き、週末に僕が掃除機をかけている。それ以外にも僕は割と気にしいなのでミニ掃除機、コロコロ(フローリング用)、ウェットシートなどを駆使して床をそうじするのだが、僕の足の裏の脂、小学校1年生の息子の足の裏の汗と泥で、床はいつもザラザラなのだ。僕は夜、仕事から帰ってきてシャツ、スーツ、靴下なんかを全部抜いてフローリングの床にわざと倒れ込んで冷たさを感じるのが好きなのだが、床がザラザラでテンションが下がってしまうなんてことがよくある。「はあ、また週末に拭き掃除をするか。でもまだ水曜日だしな・・・」なんてこともしばしばであった。

で、ある日ふと「今の部屋ならロボット掃除機を有効に使えるんじゃないか?」「日本では贅沢品でも、この国なら2万円くらいの中国製のものがたくさん売ってるぞ」「2年もってくれたら御の字」と思い、奥さんにお願いして買ってもらったのである。僕がネットで購入したのはXiaomi(シャオミ)という中国のメーカーが作っている「Mija 1C」というモデルで、「安い割によく働く」と口コミがすこぶるいい。値段は1万8千円ほどだが掃除機とモップ掛けができるらしい。またスマホで遠隔操作したり、GPS機能(?)でどこを掃除しているか、どこを掃除したか、逐一確認できるという。

で、2週間前に我が家にやってきたので早速使ってみたのであるが、これがなんとも不思議な感覚なのである。「新しい掃除機を買った」というより「初めてペットを飼った」という感覚に近いかもしれない。息子は「ろぼっち」と名前を付けたのだが、”ろぼっち”は不器用ながら、動きがかわいらしく、健気で、放っておけないやつだった。飼い主としても「”ルンバ”にはとてもかなわないし、8万円くらいする上位モデルほど仕事はできない。」ということがわかっている分、「でもうちの子にもしっかり仕事をさせて自信をつけさせたい」という親心が芽生える。その結果、最初の1週間は”ろぼっち”の邪魔にならないようにイスやおもちゃ箱を高い所に載せ、コード類も絡まらないように注意し、ベランダに落ちないように窓を閉め、ろぼっちの後ろについてその仕事ぶりを見守るということをしていた。以下、彼の観察日記である。

 

①意外にでかい図体

直径が35センチあるので、かなり存在感がある。椅子の間などを通り抜けて進むと思っていたのだが残念ながら我が家の椅子の間は通れず。コンセントの前に設置した充電ステーションにどっしりと構えているのだが、これ日本の六畳間とかだったら結構な場所をとって邪魔だろうな、と思う。

②意外に薄い。

テレビの面白映像などで、猫がロボット掃除機に載っているのを見たからか、息子がパンダのぬいぐるみを載せて遊び始めた。これがすこぶるかわいかったのだが、ベッドの下に入る際にパンダ撃沈。ちなみにベッドの下に入ることは想定外だったので僕もびっくり。”ろぼっち”はベッド下の大量の埃の半分をまき散らしながら突き進むのであった。

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③レレレのおじさん

”ロボッチ”には小さな回転ブラシ(上の写真参照)が付いているのだが、この動きが実にかわいい。まさに『天才バカボン』の「レレレのおじさん」なのだ。シャカシャカシャカシャカと履いてく姿が実に愛らしい。バカボン世代でない妻は「ワラジムシみたいで気持ち悪い」という。

画像】レレレのおじさんの超レア冬着シーンも! 「天才バカボン」着ムービー配信 - エンタメ - ライブドアニュース

④猪突猛進

”ろぼっち”は(上の写真にあるように)黒い部分を前に進んでいくのだが、おじさん世代には懐かしの「ロボコップ」に見える。で、センサーがきっとあるはずなのだが、ゴツゴツと顔から当たっていく。これが間抜けでおもしろい。もちろん衝撃を吸収する構造になっているのだが、いすの足とか本棚の角とかにコツコツと何度も何度も突っ込んでいる姿は、臭いを嗅いでいる犬のようにも見える。実に愛らしい。

犬に匂いを嗅がれる 飼い主は嗅がれているあいだ、じっと待とう 外の世界のいろいろなニオイを嗅いでいます | 子犬の記念日

⑤落下

ロボット掃除機は家を留守にしている時にも掃除をして勝手に充電器に戻ってくるらしい。”ろぼっち”も絨毯くらいの厚さなら乗り越えられるし、階段なども落ちないような設計になっているという。それならまあ任せても大丈夫だろうと”ろぼっち”に掃除を頼み買い物に出たのであるが、何分かして妻のスマホに”ろぼっち”からのSOSが来た。家のどこかで動けなくなったらしい。で、うちに帰ってみると物干し場の開き戸に頭から突っ込み、動けなくなった”ろぼっち”がいた。僕らがドアをしっかり締め忘れてしまったため、ドアを押し頭から突っ込んでしまったらしい。それにしても”ろぼっち”からのSOS「動けません」は「すみません、助けてください・・・」と言っているようで可愛かった・・・。

 

報連相(ホウレンソウ)

最初の何回かは”ろぼっち”が掃除をする後をついていってやらないと戻ってこれなくなることが何度かあったが、次第に一人で業務を完遂することができるようになってきた。仕事が終わって充電器に戻る時も、どこか誇らしげに、わざとゆっくり堂々と戻ってきたりしている(ような気がする)。

ある時、掃除を頼んで外出すると”ろぼっち”から「仕事終わりました!」という報告があった。僕は新人アルバイトを教育してきた店長のような気持ちになった。「ああ、成長したなあ。一人でできるようになったんだなぁ」

 

⑦仕事ぶり

”ろぼっち”の仕事ぶりは、「完璧」というには程遠い。吸い残し、履き残しもまだまだある。だが、がんばってくれている。僕一人だと時間のある週末しか掃除ができないから、平日に3回くらい掃除をしてくれるのは非常にありがたい。”ろぼっち”ができなかった部分は僕が週末にやればいい。ありがとう”ろぼっち”。

今年のクリスマスには換えのブラシとモップでも買ってやるか。(すっかり我が家の丁稚となった”ろぼっち”であった)