俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

皿を洗う

僕は今、皿を洗っている。

後ろでは、妻が座椅子とクッションにもたれかかり、女王様のように優雅に食後のテレビを楽しんでいる。

そして僕は今、シンクいっぱいに放り込まれた大小様々な皿、茶碗、はし、スプーン、ボウル、フライパン、鍋などを一つ一つ丁寧に洗っている。


おかしい・・・

妻が夕食を作っている間にも、たくさんの食器や調理用具がシンクにたまっていた。

僕は妻が料理を作っている間に、そのすべてを洗っていたのだ。

だから、食後に洗うべきは、食卓に並んだ2セットの箸、茶碗、味噌汁椀、平皿と小皿数枚で済むはずだ。

なのに、食卓には姿を見せていなかったスプーンが3つも放り込んである。

おそらく、味見をしたり、手作りドレッシングをかきまぜたりしたのである。

それだけのためにスプーンを3つも使ったのである。

ありえぬ・・・・

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僕が日常的にしている家事といえば、今のところこの食後の皿洗いだけである。

僕は、結婚前から考えていたことがある。

それは

「うちの主人たら、まったく家事を手伝ってくれないのよ~。食って寝るだけ。だらしないったらありゃしない!」なんて

井戸端会議で妻に報告されるような夫にはなりたくない。

できれば

「うちの主人はよく家事を手伝ってくれるので助かってるわ~」

なんて自慢してもらいたい。


家事を妻と分担し、家庭に理解ある満点パパと言われたい。

そう願っていた。


が、結婚してみると、それがなかなかできない。

朝は妻が先に置き、お弁当の用意をしてくれる。

低血圧の僕は朝は起きて出勤の支度をするのが精いっぱい。

ゴミは出勤時に捨てていくことが多いが、これは妻的には家事ポイントには入らないらしい。

ま、アパートの下に持っていくだけだし・・・

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大きな皿、平皿、茶碗、味噌汁椀を洗い、1回目のすすぎを終えた。

次は箸や調理器具だ。

あ、炊飯器のお釜も洗わないといけないな。

ガスコンロには味噌汁を作った空鍋もある・・・。



ちなみに僕は皿洗い以外の家事もできなくはないのだが、すべてにおいて妻に大差で負けているので、手が出せないのである。

料理は妻のほうが断然得意で、凝ったものを作る。

僕のできる料理といえば、野菜炒め、焼きそば、カレー・・・つまり、煮るだけ焼くだけ炒めるだけ。

野菜炒めはフライパンで炒めて、そのままフライパンで食べていた。

だから洗う食器も少なくて済んだのである。


洗濯は簡単だと思ったが、妻は洗濯の仕方も僕と違うのである。

僕は洗濯物を洗濯機に入れ、洗剤を入れて、スタートボタンを押しておしまい。

しかし妻の場合は、下着は特殊なネットに入れるとか、一緒に洗っていいものといけないものを分けるとか、柔軟剤を入れるとか、

洗濯機は洗いやすすぎの時間、水の量を調節するとか・・・

いろいろややこしいので僕では手におえないのである。


掃除なら手伝えると思って独身時代の武器(?)「クイックルワイパー」を手に持ったのだが、

妻は掃除機、はたき、ダスキン、雑巾を駆使して高いところから順に埃を落としていくのである。

水回りの掃除は「お風呂用」「トイレ用」「キッチン用」と洗剤を分けるのである。

もう、僕に手伝えることはないのである。

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僕は今、食後に皿を洗っている。

昔、居酒屋や某牛丼屋でアルバイトをしていたことがあるので、皿洗いは苦手ではない。

特に牛丼屋での皿洗いは辛かったな。

今はどうかわからないが、僕がバイトをしていた時は、

「どんぶりは三手で洗え!」と言われていた。

どんぶりの縁にスポンジをあて、どんぶりを回しながら二拭き

最後にどんぶりの底を一拭き

これ以上洗うと怒られた。

とにかく時間を短縮するために、よけいな動きをするな!ということだった。

汚れが落ちようと落ちてなかろうと関係ない。

とにかく、早く皿を洗えといわれた。

だから皿洗い自体は重労働ではなかったが、心が痛かった。

バイトを辞めた後、しばらくは牛丼屋で牛丼を食べられなかったもんな・・・


今、僕は皿を洗っている。

結婚をしてまで皿を洗うとは思わかなった。

それにしてもこの洗う量・・・

これはもはや仕事だ。

皿洗いに30分はかかるから、400円はもらえる労働だ。

が、妻の他の家事に対する報酬など払えるわけもないので、僕は黙っているのだ

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               これならいくらか払っていい・・・・・


僕は今、皿を洗っている。

これは僕の仕事ではない。

あくまでボランティアだ。


我が家は別に家事を分担しているわけではない。

自然に妻が掃除、洗濯、料理をするようになり、

僕が優しい気持ちで、自主的に皿を洗うようになったのだ。

だから、結婚当初は僕が皿を洗うために立つと妻は

「あ、皿はあとで私が洗うから置いといていいわよ!」と言ってくれていた。

が、最近はその言葉がない。

それが悲しい・・・


僕はあくまでボランティアで皿洗いを買って出たのである。

言いたくないが、基本、皿洗いも妻の仕事としてとらえてほしい。

だから僕が皿を洗うときには「ああ、私がやるのに・・・」くらいの一言がほしい。

”デートのとき、女性は男性にご馳走してもらうとわかっていても財布からお金を出す振りだけはする”

面倒だと思うが、そんな感じの手続きを一応取ってほしい。

それが嫌なら感謝の言葉か、ねぎらいの言葉かでもいい。

なんか一言 言ってほしい。

「僕が皿洗いするのが当たり前」

みたいにはなりたくない。

僕のほうも見ずに「ん!(これお願い)」とか、「ん!(早く洗い物して!)」なんて言われたくない。

僕は亭主関白希望なのだ

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僕は今、皿を洗い終えた。

なぜかTシャツもパンツもビショビショだ。

今日は金曜日の夜だから、これから土曜の朝、昼、晩、日曜に朝、昼、晩と、皿洗いが続く。

週末は妻に食器用洗剤を買ってもらわねば・・・