3月7日放送の『月曜から夜更かし』(日本テレビ系)にて、街行く人たちに”人生に影響を与えたもの”についてインタビューしていた。
赤い髪のパンクロッカーの青年の人生に影響を与えたものは『ファーブル昆虫記』、彼は趣味のパンクロックの傍ら、今も昆虫採集と標本作りをしているという。他にもデビットボウィに影響を受けたおじさんや、日本のAVに影響を受けた中国人女性などが紹介された。
こんなテーマを与えられたら「僕の人生に影響を与えたもの・・・」と考えたくなるのが物書きの性。少年時代にその後の人生に影響を与えたものか・・・まあ、親とか教師とかは当たり前だし、とんねるずとかキン肉マン消しゴムなんてのも単に大好きだっただけで「人生に影響を与えた」という感じでもない。となると、あれかな?
あれは僕が9歳の時。テレビである映画CMを観た僕は度肝を抜かれた。
【ジェットリー】少林寺 映画 THE SHAOLIN TEMPLE【リーリンチェイ】 - YouTube
それがとにかくカッコよかった。中国という国があることも知らなかった田舎の少年だった僕は、その古びたお寺の神秘性、お坊さんの袈裟の鮮やかさと修行僧の道着のデザイン性、そして様々なクンフーの型と派手なアクションに目が釘付けになった。とにかくそのCMが大好きで、CMが流れるとスーパーカー消しゴムで遊ぶ手を止めてまで映像を見つめていた。そして父親に頼んで映画館に連れて行ってもらい映画を堪能。パンフレットも買ってもらったのだが、本当に痺れるくらいカッコよかった。当時は本当に「将来、少林寺の修行僧になりたい」って思っていたな。だから学校の掃除時間も箒で棒術の稽古をしたし、バケツは腕を水平の伸ばして持っていた。友だちとけんかする時も「ハイハイハイ!」と少林寺流の気合を入れながら攻撃していたし、見様見真似の蟷螂拳や酔拳を使っていたな。
ちなみにYoutubeでこのCMをさがしていて偶然知ったのだが、今年2022年は映画製作から40周年だそうで、「4Kリマスター版」のきれいな映像で再販されるらしい。あれから40年か・・・
『少林寺 4Kリマスター版』日本版予告編【2022年4月15日公開】 - YouTube
ちなみに僕はブルースリーとは完全に世代違い、ジャッキーチェンは少しかぶっていたが、そこまで惹かれなかった。ジャッキーのコミカルな感じより、「少林寺」のお固い真面目な感じが好きだった(ちなみに僕自身も結構お固い性格かも)。
その後も『阿羅漢』や『少林寺三十六房』といった少林寺作品に魅了され、「俺もやってみてぇ」とずっと思いつつ中学・高校を過ごし、大学に入って念願の”少林寺”拳法部に入部。実際は映画の少林拳とは全く別物であったが、とにかく”少林寺”と名の付く武道が出来ただけで嬉しく、大学4年間は部活一色。
就職活動はもちろん失敗し、フリーターやら派遣やらをしながら現在に至るのだが、途中充電期間を置きながらもなんだかんだで支部を転々としながらトータルで17年くらいは少林寺拳法を続けている。
その間に李 連杰(リー・リンチェイ)は”ジェット・リー”に名前を変え、ハリウッド進出を果たした。「Romeo must die」や「KISS OF THE DRAGON」なども観てみたが、やっぱり僕は”Shaoling KunFu”だな。
あの衣装が最高!ズボンの裾をキュっと絞ったシャープな足元!
戦闘の時にバサバサと音を立てながら揺れるグレーの法衣(防寒具?)!
カンフー服とはまたちょっと違う、「少林寺」ならではの衣装がたまらなく好き!
そして李 連杰はそれらがよく似合った。童顔でかわいげがあり、未熟だが真面目で熱血漢な僧侶役が実によく似合っていた。
ブルースリーほどのカリスマ性も、ジャッキーチェンほどの大衆的な人気もなかったかもしれないが、僕は真面目で実直な李 連杰が大好きだった。なんか自分と重ね合わせていたのかもしれない。
子供の時見た映画に魅せられて、50手前になった今でも武道を続けているのだから、これは”僕の人生に影響を与えた”といっていいだろう。ま、もちろん収入につながるわけではないし、達人になったわけでもない。おなかもでっぷり出てるし、他の格闘家とスパーリングなんてしたらボコボコにされるだろう。でも、細々とでも続けてきたことは密かな自信になっている。武道をやっていなかったら親父狩りに怯えながら社会の端っこで目立たぬように生きていかなければならなかっただろうし、自分の家族がピンチに遭っても足がすくんで助けにいけずに、後悔ばかりの人生を歩んでいただろう。それを思うとやはり李 連杰と少林寺に出会えたことは僕の人生に大きな影響を与えてくれた。
ジェット・リーこと李 連杰は現在、病気療養中らしいが、彼は今でも僕のヒーロー。もう自らアクションをするのは難しいかもしれないけど、早く元気になって、アクション映画に携わってほしいな。