F:アナゴ君、”メタバース”って聞いたことあるかい?
A:いや、ランディ・バースなら知ってるけど。
F:古いね。あれだよ、ネットの中の”仮想世界”みたいな。オンラインゲームの世界みたいな感じのやつ。
A:ああ、なんか、ネットで見たことあるよ。それがどうしんたんだい、急に?
F:いやね、うちの部署でも視野に入れろって、部長に言われてね。
A:本当かね?あんなの若い人がやるもんじゃないの?確か、息子も最近スマホのアプリでなんかやってるって言っていたな。
F:これからはビジネスとしても利用していかなきゃいけないらしいよ。
A:フグタ君、酒がまずくなるよ。そんな話止めようよ。いつもみたいにエロい話でもしようよ。
F:・・・
F:アナゴ君は仮想世界があったら、どんなことをしたい?
A:まだその話かい?なんだよ仮想世界って。
F:だからさ、現実にある世界じゃなくて仮想の世界だよ。自分のアバターがいて、他の人のアバターがいて、その世界でアバター同士でコミュニケーションを取ったり、ライブを観に行ったり、自分の個展を開いてみんなに見てもらったり・・・
A:それ、何が楽しいの?
F:う~ん・・・楽しさは僕もわからないけど・・・なんか現実世界では引っ込み思案だった人もメタバースでは積極的になれたり、別の人格で振舞えたりするらしいよ。
A:ふ~ん。でもねぇ、現実世界で上司やら取引先やらに気を遣いまくってるのに、仮想世界でも知らない人に気を遣うってどうなのよ?
F:ああ、だから仮想世界では年齢もわからないし、そこまで気を遣う必要はないんじゃない?
A:なるほどね。無礼講ね。
F:ああ、そんな感じ。
A:じゃ、メタバースではお姉ちゃんにいきなり抱きついてもいいんだ?
F:え?ダメじゃない?というかそういう機能はないんじゃない?
A:じゃ、そういう機能をつけたサービスを始めればいいんじゃない?うちのアプリを有料でダウンロードしてもらって、それを通して他の人の仮想世界に入れば抱き付きたい放題!
F:いや、だめでしょうよ。というか、ムリだろ。
A:じゃ、うちのアプリを通せばそこにいるお姉ちゃんの服が全部透けて見える機能は?
F:アナゴ君、ちょっと酔ってるね。
A:相手側にはそのように見えてないのよ。こっち側にしかそう見えないの。
F:認可されないだろうよ。
A:18禁か、もしくは違法で。
F:ん~~~。
F:なんかそういうのじゃなくて、部長が言うにはライブ会場みたいなのを作って若いアーティストに参加してもらうとか、でっかい美術館を作って作品を提供してもらうとか、世界的な規模でだれもが知っているステージになったら有望なアーティストも参加するようになるから中間のマージンも取れるし、Win-Win-Winな関係になるんじゃないかって。
A:俺ならストリップ劇場作るな。
F:アナゴ君、そんなんばっかし・・・。
A:めちゃめちゃリアルなアバターが1枚1枚脱いでくれるんだぜ?
F:・・・
A:しかもコスプレも自由自在。
F:ほぼエロゲ―じゃないか。
A:ちがうよ。アバターは本物の女性が操作するんだよ。
F:やる人いるか?
A:投げ銭機能つけたらいいんでない?バイト感覚で儲けられる。自宅から!実際に見られることも、触られることもない!声だけ演じればいいんだぜ?キャバ嬢よりずっと楽だし、同時にたくさんの客の相手もできる!世界中から指名を受け、たくさんのファンを抱えたスターになれる!
F:・・・
A:客は客で、実際のキャバクラやネットの配信ではできないエッチなお願いが仮想現実なら格安でできる!しかもアバターだから恥ずかしくない!イチモツをいじっていても相手には見えない!
F:そっち方面の君の創造力(想像力)には感心するよ。
A:絵画を見てもらうのもエロを見てもらうのも一緒。音楽のライブを見てもらうのもストリップを見てもらうのも一緒。18禁にしたり有料化すればいい。
F:でもすぐに取り締まりに遭いそうだね。
A:まだメタバースを取り締まる法律はないんだろう?
F:まあね。
A:今がチャンスだよ。まだMicrosoftもMetaもバラバラにやってるだろう?共通のルールもない、世界警察もいない。早くしないと中国人に先を越されるぞ!
F:アナゴ君、怖いよ。
A:なんか、メタバースで無差別殺人とかできないかな?
F:やめろよ!
A:日本刀で他のアバターを滅多切りにしたり、銃を乱射したり・・・
F:どうしたんだよアナゴ君!今日の君、おかしいぞ!
A:なんだったらアバターゾンビを作って、問答無用でコンピューターウィルス感染させたり・・・。
F:ダメだって!現実の警察に捕まるわ!
A:いいじゃないか!仮想現実なんだから!夢の中の世界だろ?好きにさせろ!
F:違うよ!ちゃんと相手がいるの!現実世界と一緒!世界中のみんなとコミュニケーションをとったり、ビジネスをしたりする場なの!
A:な~んだ。つまんない。それなら現実世界だけで十分だわ。フグタ君、この後、オッパブ行って実物の感触を確かめてみないか。
F:いい加減にしろ!ま、僕も行くけど。