俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

創作:J’Needs 会見

*このお話はフィクションです。

J’Needs事務所元社長、ジェイニー仁志川氏(令和元年死去)による性加害問題について、J’Needs事務所は会見を開き、前社長の仁志川ジョリー景子氏が全面的に事実と認定し、社長を降任すると発表。新社長となる南山紀之氏、若手育成のための関連企業社長、卯之原快走氏、顧問弁護士の木目祐氏も記者からの質問に答えた。以下、一問一答。

記者「景子氏は事務所の筆頭株主だが、株式はどうするのでしょうか。また社長は退いても代表取締役でいるのはどうしてでしょうか。」

景子「株は全て売却し、事務所に払い戻します。その私財で被害者救済のための財団を立ち上げようと思っています。今後、補償について父であるジェイニーの死体をどうこうしたいとか、代わりに私に体で払ってほしいといった対処法が議論に上がった時のために、代表取締役として決断できる立場である方がよいと判断し、この形にとどまっています」

記者「・・・。半世紀以上、数百人の少年に対しての加害行為が行われていた中で、事務所が果たした役割は?」

南山「もちろん、多くの若者がスターとなって自分の夢を叶えて来たこと、たくさんのファンに夢と希望を与えてきたという点で社会的に貢献できた一面もあるが、一方でほぼすべてのステージ演出を手掛けてきたジェイニーさんを絶対的な存在であり、感謝すらしてしまったことを今は恥じています。」

記者「南山さんは性加害を認識していたのか。」

南山「はい。私もされましたから。」

記者「え?」

南山「でもそのおかげでデビューできて、仕事もたくさんもらえたので、これが”加害”だとも自分が”被害者”だとも思っていませんでした。私もまだ当時小学生だったもので。。。」

記者「・・・。あの、他の、ジュニアのメンバーから相談されたことは?」

南山「あ、ありました。でも、私も子供だったので、それが犯罪であることを認識できませんでした。ただの”通過儀礼”だと。先輩からもそう教わりましたし、後輩にもそうやって慰めていました。本当に申し訳なく思っております。」

記者「・・・。しかし、成人したらもうそれがおかしいことだとわかりますよね?前社長に注意をするとかしなかったんですか?」

南山「すみません。デビューをさせてもらったり、歌とダンスを習わせてもらったり、上下関係とか礼儀作法とかを教えてもらった恩のほうが大きく、また父親ほど年齢も離れていた創業者ですので、諫めることはできませんでした。事実、それでデビューできた子もいましたし、拒否をしたからデビューさせてもらえなかったのか才能がなかったからかは私では判断できなかったので。大企業の創業者で親ほど年齢が上の人だとしても、マリー副社長に恫喝されたとしても勇気を持って提言できれば良かったのですが、当時の私にはできませんでした。今なら言えます。もういないので。マスコミのみなさんと同じように。」

記者「・・・。南山さん、卯之原さんが事実を認識した時期はいつごろですか?」

南山「ま、僕は直接されたので。」

卯之原「あ、僕は小学校6年の頃に事務所に入って、直接何かをされたことはないんですけど、周りの子たちは『そうなのかな』『そうなったらどうしよう』という話はしていましたし、先輩は『デビューしたけりゃされてこい。悪い夢を見たと思えばいい』なんて話していました。何か触れてはいけない雰囲気があったけど、ただそれより僕らの関心というのは、まずはもっと踊りがうまくなりたい、デビューしたい、そういう気持ちが強かった。今となっては『それはおかしいんじゃないか』と言わなかったことを後悔している。」

南山「あれ?お前、一度事務所辞めたのって、ジェイニーさんを拒否ったからじゃなかったっけ?」

卯之原「何言ってんですか。シンプルに顔がダサいからですよ!」

南山「あ、そうなの。ごめんごめん。」

 

記者「被害者の方は直接の対話を求めているが、どうするおつもりでしょうか」

南山「双方の理解を深めるためにも、会うということは大事だと考えていますし、補償についても弁護士の先生と相談して、被害に遭われた方が納得できる形にしたいと思っています。」

記者「事務所の名前について変更の予定はあるのでしょうか」

南山「それも議論しました。被害に遭われた方は”J’Needs”の名前を聞くだけでもトラウマになるのではないかと。ただ名前を変えただけと思われるのも嫌でしたし、ブランド名を変えるだけの逃げの対応はしたくなかった。今は正直にJ’Needsの看板を上げたまま批判を受け止めなければならないと考えています。そして残ったメンバーが努力して企業価値を上げていった方がいいのではないかと思いました。」

記者「今回の発表、どこが『解体的見直し』なんでしょうか」

南山「もちろん、外部から社長や相談役を招聘することも考えました。ただ通常の経営悪化に伴う企業再生とも違いますし、”再発防止”と言っても元凶であるジェイニー仁志川は他界してしまって、少年愛者というかショタコンといいいますか、そういう者がいなくなっていますので、もう同様の事件は起きにくいというか、外部から招へいする場合もこうなってくるとその方の性癖チェックをしなければならなくなりますし・・・」

記者「・・・。景子さんは5月時点では性加害の事実はなかったとの考えだったはずですが。」

景子「考えが変わったというわけではないんですが、父であるジェイニーを信じたかったといいましょうか、父も私の前でそういうことをしたことはありませんし、そういうことをしていると娘である私にいうはずもありませんでしたので、私が事実を認定するというのもおかしな話ではないかと思ってしまいました。ただこれだけ多くの方が声を上げられている中で、会社として受け止めようと思った次第です。」

記者「今後調査チームを立ち上げる予定などは」

景子「調査チームというか、、、対応チームを立ち上げて被害者の方が納得できる形での解決を模索していこうと思っています。」

記者「事務所としては被害の状況も把握しなければならないのでは?」

景子「いや、でも、一人一人に『元社長に何かされた?』と聞くのはプライバシーにかかわると申しますか、センシティブな問題と申しますか、言いたくない子も問題にしたくないという子もいますし、SMAP・嵐・TOKIO関ジャニ・KAT-TUN・NEWSなどにも訊く必要はないというか・・・みなさんは訊けますか?」

木目「景子さん!」

景子「あ、すみません。」

記者「・・・しかし事務所として調査をして公表するという社会的な責任があるのでは?」

南山「所属しているタレントを守るためにも調査はしませんし、メディアに公表することは絶対にありません。ただ社内に相談窓口等は設けます」

記者「元ジェイニーズ・ジュニアとは契約書などを交していなかったと聞いているんですが、どのように被害を認定し、補償していくのでしょうか。

景子「法を超えて、訴えをいただいた方々には真摯に向き合っていきたい。在籍の確認作業はさせていただきたいと思っている」

木目「過去の古いお話もあるのですが、法を超えて補償していきたいと。景子氏は私財を使って被害者の支援財団を設立する覚悟でありますし、事務所としても補償をしていく所存です。」

記者「毎朝新聞です。南山新社長自身の性加害について言及している本もあるんですが、この内容は事実ですか。」

南山「僕はしたことがない。僕はノーマルというか、普通に女性が好きなので」

記者「あったと話す方は多いようですが」

南山「う~ん・・・もしかしたら、後輩にふざけて電気アンマをしたり、パンツを下ろしたりしたことはあったかもしれません。ただそれは悪気はなかったというか、悪ふざけでやってしまったんだと思います。やられた後輩からしたら屈辱で、パワハラ、セクハラと受け止めても仕方なかったかもしれません。それについては反省しなければならないし、話し合いに応じ、謝罪・補償すべきところはしなければならないと思います。」

記者「”僕のソーセージを食え”と言ったとも書いてありましたが」

南山「僕の”フランクフルト”の間違いではないかと。でもあくまで冗談で言ったつもりだったのですが・・・。軽率でした。局部を出すのも10代の頃はたまにやってしまいました。本当に不快な思いをした後輩たちには謝罪したいです。」

 

記者「これまでメディアが沈黙してきたのは、事務所からの無言の圧力があったと聞いていますが、それについてはどう思いますか?」

南山「え?そうなんですか?それは知りませんでした。メディアのみなさんに逆にお聞きしたいです。そういう圧力はあったんですか?そうであればすぐに謝罪します。みなさんの中に今まで忖度して報道してこなかったという方がいらっしゃったら教えてください!」

記者「・・・」

 

おちまい