俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

ララピポ

昨日もブログで書いたように、4月まで仕事がほとんどない。
お金が入ってこないから、貯金を切り崩すしかない。
なのに時間だけはたくさんある。
お金をかけずに時間をつぶすには、家で寝ているかテレビを見ているか、あとは近所の図書館へ行くくらいだ。
僕はとりあえず、図書館へ向かった。


昼間の図書館ということで、人は少ない。主婦とじいさんぐらいか。

僕はこの図書館に入ると、まず新刊をチェック。
次に、返却本をチェックする。返却本というのは返却されたばかりの本で、図書館員さんが暇を見て所定の棚に戻すまで一時的に置かれる棚だ。
新刊が戻っている場合もあるし、他の人が読んだということは、ある程度おもしろいものがある可能性が高い。
その中に奥田英朗作『ララピポ』という本があった。

 

”ララピポ”?どこかで聞き覚えがある。
あ!そうだ。
僕はある女性にこの作品を勧められていたのだ。
なんか、僕にぴったりだとか言って。
どんな話なんだろう
僕は早速借りてきて、夜中に読んでみた。
そして読んでみて、驚愕してしまった!
な、な、何だ!?これは!??
これは・・・・・まるっきり僕じゃないか!!


なんてこった・・・この話の何人かのキャラクター

その思考回路や悩み、行動パターンが、まるっきり僕と同じなのである。
例えば対人恐怖症のフリーライター、杉山博。
彼は学歴だけが誇りで、実際には収入15万程度のさえないメタボ系ひきこもりのおっさん。
そのおっさんはアパートの上に住む男が女を連れ込んでSEXするのを盗聴することに生きがいを感じるという。
これって、まったく俺がやってることと同じ!?
 
杉山はとりあえず性欲を満たすためだけに図書館で知り合ったデブ女を抱く。自己嫌悪に陥りながらも、体を満たすために、また、ほかに相手をしてくれる人もいないので何度もデブを抱いては「なんでこんなデブを・・・」と自分を責める・・・

 

・・・・って。僕もそうするだろうな・・・。
だって、誰も相手をしてくれる人がいないんだもの・・・
ああ、明日も図書館に行ってしまいそうだ・・・

 

「文芸コンプレックスの官能小説家、西郷寺敬次郎は、自分の文芸の才能に自信を持っているものの、世間的には全く認められない。また認められないことがプライドをさらに傷つける。そしていつしか女子高生との援○交○にはまっていくのだが、最後には・・・」
・・・・って、あ、あ、あの・・・僕も重なるところが多すぎるんですけど・・・
自分の文才に対する根拠のない自信。
それをエロでしか表現できない自分
まわりもそれでしか評価してくれないことへの不満。
そして女子高生好き・・・

 

こ、このモデルって・・・ボクなのか?
それともこういう人って多いのか?

 

デブ専裏DVD女優のテープリライター、玉木小百合。彼女は図書館で男をナンパしては自分の部屋に連れ込みSEXをする。そしてそれを隠し撮りして裏DVDとして売っている。あるとき、しがない郵便局員をナンパすると、その男は仲間を二人連れてくる。いずれもうだつの上がらない男たちだが、簡単にSEXをさせてくれる小百合を前にすると、妙に強気になり、言葉攻めをしたりする。男は征服感を覚え、エクスタシーを感じるものの、その様子をDVDで見たビデオ屋の店長はその滑稽ぶりにおおはしゃぎ。」
・・・・・ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ・・・・
怖くなってきた・・・・
その郵便局員のモデルって・・・・やっぱり俺なのか?
痛い・・・・・マジで、郵便局員の気持ちと行動パターンが痛いほどよくわかる。
ボクもいつか言葉攻めできる日を夢見ている。
「どうだ!気持ち良いか!この淫乱ドすけべマ○コめ!」
そして女やビデオ屋の店長に陰で笑われている様も
まるで自分が笑われているようで・・・・・とにかく胸が痛いっす・・・

 

ああ、あの人が「ボクにぴったり」って言ったのがわかる気がした・・・
でも痛いよ・・・痛すぎる。
「自分と同じ境遇の人もいるんだ!」と勇気付けられるより
ここまで自分がリアルに描かれると「自分がこんなにも惨めで哀れだなんて」と落ち込んでしまう。

 

タイトルの『ララピポ』とは「a lot of people」を早口で言った際にそう聞こえることからとったとされる。
確かにいろいろな人がいる。
醜い性癖を持った人もたくさんいる。
でも、それで慰められるものは何もない。
主人公達は決して幸せではなく、最後まで惨めだったのだから・・・

 

最後に高学歴の負け惜しみを
「a lot of people」はどんなに早口で言っても「ララピポ」には聞こえない。
通常は「「ア・ロロピポ」に近く聞こえるはずだ。
よっぽどの田舎モンの英語じゃね~の~?

 

フン!

 

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