俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

がんばれ、父ちゃん・じぃちゃん

ヤボ用で実家に帰省する。

帰省をするのは正月以来。

それでも学生時代は盆と正月に帰省するかどうかだったので、最近はよく帰っているほうだ。

両親も大分老いてきたし、僕の帰省を喜んでくれるのだから、できるだけ帰ったほうがいいだろう。


ただ問題は、最近帰省するたびに父ちゃんからじいちゃんへの不満を聞かされることだ。

現在、じいちゃんは94歳(!)

平日は老人ホームで過ごし、週末、僕の実家に戻ってくる。

が、実はこのじいちゃん、母方の祖父なのだ。

つまり、父ちゃんとは血のつながりはない。

が、母がパートに出ている関係上、じいちゃんの世話はほとんど父ちゃんがしているのだ。


じいちゃんは昔から聡明で厳しい人だったらしいが、年を取るにつれてわがままになってきたらしい。

そんなじいちゃんの食事の世話から下の世話まで、全てを父がこなしているらしい。


偉いぞ、父ちゃん。


父ちゃんによると、最近、じいちゃんは括約筋が弱ってきたらしく、不意にうんこをもらしてしまうらしい。

よってパンツを洗う係の父はじいちゃんに成人用オムツを履いてほしい。

しかしプライドの高いじいちゃんは絶対にオムツは履きたがらない。

父ちゃんは母ちゃんに、じいちゃんを説得するようにいうのだが、母ちゃんもなかなか動けない。

父ちゃんには大変感謝をしているものの、じいちゃんの性格もわかっている母ちゃんはなかなかじいちゃんに言い出せない。


そんなときに僕が帰省をするもんだから、じいちゃんが寝た後は大変。

父ちゃんは普段は飲まないようにしている晩酌のビールを僕と自分のコップに注ぎながら

「じいちゃんがよ~、パンツを汚してよ~、なのにオムツを履いてくれなくてよ~」と愚痴を言いまくるのである。

何も言えない僕と母ちゃん

父ちゃんの気持ちはいたいほどわかるし、ものすごく感謝をしている。尊敬もしている。

でも代わりたくないし・・・・じいちゃんの最後ぐらいはじいちゃんの自由にさせてあげたい気持ちもある。



次の日。

父ちゃんと母ちゃんは居間にじいちゃんを残し、家事にいそしむ。

あまりじいちゃんと一緒にいたくない、感じ?


残された僕はしかたなくじいちゃんの話し相手に。


僕「じいちゃん、今年いくつになるの~!(←じいちゃんは耳が遠くなったので大声で話さなければならない)」

爺「今年の7月で95だ」

僕「100まであと5年だね~!」

爺「はは。もういいべ。早く死にたいよ」

僕「親族の中では一番長生きかあ~!」

爺「うちの兄弟はみんな長生きだな~。兄弟5人のうち、死んだのは一人だけだ」

僕「(げっ!マジで?)じいちゃん、長男だよね?」

爺「おお。でも姉がいる。」

僕「もしかして・・・まだ生きてる?」

爺「おお、今、横浜の病院にいるよ。俺の二つ上だ」

僕「(97!?生きすぎだべ!?)・・・」

爺「一番下の弟が88で死んだな。早かったな~」

僕「(十分だべ!というか、あんたが遅いんだよ!)・・・」



ちなみに、じいちゃんが平日過ごす老人ホームは70代、80代の痴呆の老人ばかり。

そんな中、94歳のじいちゃんが一番年上ながら最もまとも・・・というか意固地

他の老人達がわらべ歌を歌ったり、折り紙を折っている輪には決して入らない。

「あれは女・子どもがやるもの」というのがじいちゃんの信念らしい。


マジで・・・100まで生きるわ・・・

父ちゃん、あと5年もパンツ洗うの!?