俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

わが家の介護

僕は親不孝な息子で、未だに定職にもつかず、結婚もせず、呑気にブログなどをつづりながら一人暮らしを満喫している。

20代の頃は、盆と正月に実家に帰ればいいほうで、時には盆と正月ですら友達と旅行に行ったり、一人アパートで過ごすことも多かった。

こちらから電話をすることも特にないし、親からもうるさく連絡することはなかった。

「便りがないのが無事な証拠」というのを地でいっていた


が、最近は少しだけ頻繁に家に帰るようになった(といっても年に3~4回だが)。

両親共に60代になり、人生も後半に差しかかろうとしてしているというのもあるが、

一番の理由は父親の愚痴を聞くためである。


うちの父親は本当にエライ男なのである。

まあ、その理由を聞いてくださいな。


父方の祖父は戦死、祖母も10年以上前に交通事故で亡くなった。

つまり、父にはもう両親はいない。

一方、母方の祖母は8年前に亡くなり、祖父だけが残された。

この祖父、今年8回目の年男を迎えるのだが、ますます絶好調なのである。

母には弟(つまり僕から見て叔父)が2人いるのだが、上の叔父は祖父の介護を放棄

下の叔父は最初は祖父と同居をしていたが、介護疲れで鬱になり、今は少し良くなったものの、祖父とは距離をとっている。

よって長女である母が祖父を引き取ったのだが、実質はパートに出ている母に代わり、僕の父が祖父の面倒を見ている。

イメージ 1

父は作家の三好達治に似ている・・・

父はそれはそれは人のいい男なのである。

自分の両親の介護ができなかった代わりに、妻の父親の面倒を見ろと神様が言っているのだと、キリスト教徒でもないのに殊勝なことを言ったのである。

祖父は月に18日はデイケアセンターにおり、残りの12日を僕の実家で過ごす。

その月、12日間の介護が父の仕事となる。

食事の用意、クスリの用意、汚れた下着の洗濯や、センターへの送り迎えなど、実に献身的に介護を続けた。

が、こんな生活を1年続けた頃から、父も介護の疲れを感じ始め、愚痴を言い出し始めた。

祖父は次第にわがままになって、父の言うことを聞かなくなり、行動も自分勝手になってきたそうだ。


朝は5時に起きて家の中をうろうろし出す。

7時になると、大きな音でテレビを見始める。
耳が悪いというのもあるが、暗に「早く起きて飯を!」と催促しているらしい。

飯を食ったら朝寝。ときどきお漏らし。

しかしお漏らししてもプライドの高い祖父は紙おむつを断固拒否。

汚れたパンツをこっそり風呂場で洗い、こっそり洗濯機に入れる。

それが父にとってはたまらない。

イメージ 2


また、「早く死にてえや」といいながら、足をバタバタと動かす運動を毎日繰り返すのでそれがまた父を苛立たせる。

父が作った食事も好き嫌いを言うようになり、カリウムが入っているのでダメと言っているのに毎日大量の角砂糖を食べてしまう(母が与えてしまうらしい)

夜は早く寝床に着くものの、小一時間、わけのわからない歌を唄い続ける。

母には「いつも悪いね。お世話になります」などと感謝の言葉をなげかけるが、父には声をかけない。


そういったことが全て、父のストレスとなっている。

だから父は、僕がたまに実家に帰ると、その愚痴をずっと言い続けるのである。

「自分の父親じゃないのに、なんで俺がしなきゃならないんだ!」

「男の兄弟がいるんだから、せめて交代で介護すればいいのに!」

「じいちゃんが死んでも、遺産は兄弟に三等分だべ?俺がずっと介護してたのに・・・」

僕は晩酌のお供をしながら、それを苦笑いしながら聞くしかない。

「そうだね。そうだね。」

イメージ 3


それは母親も同じなのである。

父には感謝してもしきれない。だって自分の父親の介護をしてもらっているのだから。

が、自分の父親の最後ぐらいは、好きなようにしてもらいたい。

だからつい、祖父のわがままを聞かせてしまう。

夕食時、居間にじいちゃん、父、母、そして僕が座り、父が祖父の愚痴を言い始める。

じいちゃんは耳が遠いので、大声で話さない限りは聞こえないのだ。

父は母に「介護は兄弟で交代で」「おじいちゃんに紙おむつを」などと訴えかけるが、母も兄弟の事情や祖父の性格を知っているので、苦笑いをしながらごまかしている。

僕は父の言い分も母の気持ちもどちらもわかるので、「ああすれば?こうすれば?」ということは言わず、ただ父親の愚痴にうなずくばかりである。あ~、ビールが不味い。

そんなことを知ってか知らずか、じいちゃんはモリモリ食べる。

ちなみにじいちゃんは以前はちゃんと保険料が下りていたのだが、新制度移行後は保険の対象外になるそうである。

96歳にして、自分で歩いてトイレに行け、着替えも入浴も一人ででき、頭もしっかりしているじいちゃんは障害(?)の度合いが低く、保険が降りないのだそうだ。(なんだそりゃ?)

よって今までいたデイケアセンターには(お金の問題で)いられなくなるかもしれないのだ。

自民党民主党かしらないが、これまで政治に全く興味のなかった僕が、初めて政府を恨んだ瞬間だった。

これで親父まで介護疲れで倒れたり、鬱になったりしたらどう落とし前をつけてくれるんだろう?


しかし、父は偉いのである。

じいちゃんに聞こえないように文句を言いながらも、やることはちゃんとやるのである。

じいちゃんの薬や着替えをちゃんと用意し、じいちゃんが怪我をしたり病気にかかったりしないようにケアをするのである。

むしろ母親よりも祖父に対する気遣いが深いのである。

イメージ 4

*参考イメージ


もし、母親が先に亡くなって、父の体が動かなくなったらどうすればいいのだろうか?

現在、実家の隣りには兄夫婦が住んでいる。

今はまだ兄には子どもがいないが、もし子どもができて子育てが忙しくなったら・・・・

・・・・・・・・僕だよな?父の介護は。

うん、たぶん、そうだよな。


あれだけ人生をがんばった父である。

戦後の貧しい環境で育ち、丁稚奉公で家族を支え、家を建てて結婚、自分の店を持ち、子どもを3人大学へ行かせ、義父の介護までした父

人生の最後ぐらいは幸せに過ごしてもらいたいのである。

それは僕も切に願っているのである。


が、しかし!

いや~~!下の世話いや~~!!


本当に正直で申し訳ないが・・・まだ覚悟決まらないっす!

親父、絶対ボケるもん!

ムリ!怖い!

うぉ~~~~どうすりゃあいいんだあ~~~~。

イメージ 5

解決する手段は3つ。

覚悟を決めて、ちゃんと介護をするか!

大金を払って老人ホームに入ってもらうか!(そんな金はないのだが)

または電撃できちゃった婚で兄より大変な家庭環境を作るか!

いや~~~!!どっちもきっつ~~い!!


人生って大変だ・・・・・・・

イメージ 6