俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

親のすごさ

みなさんは、下の紙袋を見て、どう思うだろうか。

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おそらく、多くの方は

「・・・・別に?・・・・ふつうの紙袋じゃない?」

というふうに感じるだろう。



それは先週末のこと。

僕は嫁とともに実家に帰省する予定であった。

妻は「ちょうど日曜日は父の日だから、義父さんにプレゼントを買っていこう!」と提案してきた。

自慢じゃないが、僕は生まれてこのかた、父の日にプレゼントなどしたことはない。

というか、我が家は男3人兄弟でなんとも冷めた息子の集まりだったので、これまで誰一人「父の日」などというものを意識したことがなかったのだ。

が、そのことを話すと嫁は烈火のごとく怒り

「今まで育ててくれたお義父さんに感謝をしたことがないとは何事か!!」

と僕を叱り、生活費の中から父親へのプレゼント代を捻出するように抗議した。

稼ぎが少ない上に金にがめつい僕は、父親のプレゼントに生活費を削れることになんとなく納得ができなかったが、この提案を拒否すると家事をボイコットされるおそれがあるので渋々了承することにした。

買ったのは今年流行の「ステテコ」

最近のはバミューダパンツばりにおしゃれなステテコが、若者を中心に爆発的にヒットしているという。

妻はデパートで丁寧に包装をしてもらい、それを大切に抱えながら実家に持って帰った。

実家の床の間には、すでに父の日のプレゼントとして兄貴夫婦(というか兄嫁)から送られたポロシャツと、弟夫婦(というか弟嫁)から送られた夫婦座椅子が届けられていた。

このときになって

「ああ、手ぶらで帰らなくてよかった・・・」

「嫁!ナイス判断!」

と思ったものである。


父親はドラ息子3人からは一度ももらったことがない「父の日のプレゼント」を、息子の嫁たちからそれぞれももらい、満足そうであった。

改めて「結婚すること自体が親孝行なんだな~」と変に感心したものだ。

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実家では父の日にも限らず、相変わらず父親がお茶を淹れ、お菓子を出し、料理を作った。

これが我が家の父親のペースなのだ。

貧乏性なのか、落ち着いて座っていられないのだ。


父が焼いた焼き餃子とイカの薫製を肴にビールで乾杯。

続けて父親特製「鯖の味噌煮」「キュウリとわかめとカニかまの酢の物」「牛蒡と鶏肉の煮物」で晩飯

さらにブドウ、スイカ、ロールケーキのデザートと

実家に帰ると相変わらずごちそうづくし

たまに帰省をする息子たちをもてなすことといったら”食べさせること”

昔の人はいつもそうなのだ。

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翌日、これまたいつものようにたっぷりお土産をもらったのだが、これを入れる袋がない。

母親は「その棚の中にいらない紙袋がたくさんあるから、どれでも使ってよい」というので、無作為に一つを取り出し、お土産を入れた。

やや紙は弱いが、大きさはちょうどいい。

柄(ガラ)もシンプルで持って歩くには悪くない。

缶詰などの重いものは僕のショルダーバックに入れ、カップ麺やら海苔やらの軽いものは紙袋に入れて妻に持たせればよい。

そう思ってそのまま玄関に置き、いざ帰ろうとした瞬間、父親と母親は声をそろえて

バカタレ!なんだその紙袋は!


と怒鳴るのである。

わけがわからなかった。

中卒・高卒の両親に、院卒の僕がなぜ”バカタレ”呼ばわりされなければならないのか!

腹立たしくもあった。

が、両親は続けざま、「それは葬式用の紙袋だろ!」などとのたまうのである。


いやいや、葬式用って・・・

紙袋の表紙には「葬儀屋」や「斎場」といった文字はない。

もしかしたら両親が葬式のときにもらった粗供養品が入れてあった紙袋なのかもしれない。

が、そんなの本人以外は知らないのである。

知らない人が見たらふつうの紙袋なのである。

しかし両親は

「それは葬式用なんだよ。見る人が見ればわかるんだよ!」といってきかない。

僕「どこが?どのへんが葬式用なの?ガラ?形?大きさ?」

父「・・・と、とにかく、そんなのを持って電車に乗ったら恥ずかしいから、別の紙袋にしなさい!」

母「わかる人が見ればわかるのよ」

そういって、母親は「まったくこの子ったら・・・」と苦笑いを浮かべながら別の紙袋を持ってくるのである。


なんなんだよ!葬式用の紙袋って!


最終的に、まったく理解できないまま、”葬式用”の紙袋は回収されてしまった。


おそらく、僕があと何回葬式に出席しても、紙袋を選別できるようにはなるまい。

また、葬式用の紙袋なんて、どこのマニュアルにも載ってはいまい。

それを経験だけで判断してしまうのが、古い人の怖いところである。

22世紀には絶対になくなっている風習だと思うが

学(がく)はなくとも、やっぱり親はすごい

のである。

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