俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

席を譲るべし!

それは僕がよく行くファーストフード店でのこと。

その店は大学が2つあるような駅前にあり、

時間帯によっては学生がごった返すような、けっこう客が入る店だった。


その日は小雨まじりだったため、駅から小走りでその店へかけこむと、僕はいつものアイスカフェラテを注文した。

1階の席は落ち着かなそうだったので、2階の席にあがると、2階の席もまた結構な人でにぎわっていた。

僕はやっとこさ、窓際のカウンター席に空きを見つけ、肩をすぼめて座った。

両隣は静かに携帯ゲーム機に向かう孤独な大学生

「見栄でもいいから大学生らしく難しい哲学書でも読めばいいのに・・・・」と心の中で思いながらカフェラテを一口。

「ま、就職活動をする時期になって困るのはコイツ等だ」
と思いながらもう一口

さらに「大学に入ってゲームばかりしていた己の人生をのちのち悔やむがよい!」

などとほくそ笑みつつ飲むカフェラテは意外に旨い。

「就職に失敗して俺みたいになれ!」

なんて悪態をつきながら飲むと少し苦い

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すると、僕の後ろでシェークとポテトを載せたトイレを持って立ち往生をしている女子大生がいた。

就職活動中なのだろうか、リクルートスーツに身を包んでいるが、まだ真新しいスーツがところどころ雨で濡れているようだった。

かわいそうに。

座る場所がないようだ・・・。

確かに店内は人がいっぱいだ。

が、よくよく見ると、僕の右斜め後ろのサラリーマン

二人組なのにミニテーブルを二つくっつけて使っている。


こいつらがミニテーブルを一つ分けてあげれば、この女子大生は座って就職ナビなどをチェックできる。

が、このサラリーマン、隣のイスに荷物と背広をかけたまま、まるでその子が目に入らないかのように依然と話を続けている。

目の前をいたいけな就活生が困っているのである。

譲ってあげたらいい。

それなのに、このバカ・サラリーマンはまるで気にしないのである。

こいつらの仕事の話なんて大した話ではないのである。

なぜなら、ここはファーストフード店だ。

少なくとも数千万円の契約の話をするような場所ではない。

大事な商談なら、喫茶『ルノアール』でもいけばいいのだ。

こいつらはただの暇つぶしなのだ。

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最近、この手の「気の利かない大人」をよく見かける。

周りが見えていないのである。

大人も子供も、若者も老人も、男も女も、みな周りが見えていない。

震災直後の日本人を見て、海外のメディアは

「こんな状況なのにパニックにならないなんてすごい!」


「みんなが譲り合い、助け合っている!」なんて賞賛していたが

同じ日本人からしてみると、それでも日本人は冷たくなっている。


が、そんな大きなことを言っていてもしょうがない。

とにかくこのいたいけな女子大生のために、この気の利かないサラリーマンに悪態をつかなくては。

ま、直接「この子にその座っていない席を譲ってあげたらどうですか?」と言えれば一番いいんだろうけど

ま、そこまでこの女子大生に気を使う義理はあるまい。

というか、そんな勇気があったら、僕はきっと今頃こんなところにはいない。

ファーストフード店で暇をつぶしているサラリーマンなんてそんなものだ。

だから、一見スマートに仕事をしているように見える、このサラリーマン二人組も、大したことはしていない。

というか、こいつらのビジネスがうまくいくわけがない。

こんなに身近にいる女の子一人に気が使えなくて、大きなビジネスができるわけがない。

こんなやつらの会社に限って

”顧客第一!”なんて掲げちゃったりしているのだ。

ちゃんちゃらおかしい!

なんでお前等みたいなカスが正社員になれるのだ?

僕を雇ってみ?

本当に使えるから。

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なんとなく納得できない気持ちで帰りの電車に乗る。

都営新宿線は相変わらず乗車マナーが悪い。

7人掛けのイスにはかならず6人で図々しく座り、ふてぶてしく居眠りなんぞをこいている。

しかも、なぜかメタボ系のサラリーマンが多い。

都営新宿線沿いに住むとデブになるのか?

しかも今日に限っては、居眠りこいただらしないサラリーマンのせいで、杖をついたおじいちゃんが立たされている。


「ここにいるサラリーマン、みんな心筋梗塞で死んだらいいのに・・・」

そうしたらおじいちゃんも、そしてこの社内で唯一善良な僕もゆっくり座って家に帰れるのに・・・・


そう思わずにはいられない帰り道なのだった。

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