世の中には腹の立つことが多い。
何が腹立つって、やっぱりマナー。
マナーがよろしくないですね。
ああ、世の中の人が、みんな吉永小百合さんだったら日本もいい国になるのに。
駅まで向かう、この坂道
僕の5メートル前を、たばこを吸いながら歩いている奴がいる
煙は後方を歩いている僕のほうに、遠慮なく流れてくる。
「たばこなんて世の中からなくなったらいいのに・・・」
たばこを吸わない僕はそう思う。
おそらくコイツはポイ捨てする。
コイツはアホだから、絶対ポイ捨てする。
喫煙者ってやつは、マナーが悪い。
この道端に転がっているたばこの吸殻を捨てた奴の100%が喫煙者だ。
目の前の男は携帯灰皿を持っているクチではない。
おそらく、排水溝の穴に吸殻を捨てるはず。
だからコイツはバカなのだ。
「排水溝に捨てれば外から見えないし、消火もできて安心。オレってエコなヤツ~♪」
なんて思っているのだ。
本当にこいつが捨てた吸殻を拾って、その後頭部に「ジュッ」と押し付けてやりたい!
そう思った瞬間、目の前の男はたばこの自動販売機の前に設置してある灰皿にサッと吸殻を捨てたのである!
「き、貴様!何をする!」
ちゃんと灰皿に捨てられちゃ、批判できないじゃないか!!
僕は灰皿ごとその男に投げつけたい衝動に駆られながら、とぼとぼと男の後をついて駅へ向かった・・・・
電車の中にもムカつくことは一杯だ。
僕はつり革を掴みながら、その男をチラチラと見ていた。
イライラはMAXになろうとしていた。
その男は座席に浅く座り、横柄に背もたれに寄りかかり、豪快に足を組んでいた。
電車の中は込んでいるのである!
足を組むなんて言語道断!!
僕はその足をチェーンソーか何かで断ち切ってやりたい衝動に駆られた。
そうすれば、切られたスペースにもう一人立って、ゆったりとつり革につかまることができるのに。
世の中にジェイソンはいないのか!
そう思った瞬間!!
男は「ガバッ」と目を覚まし、
「いけない、いけない」という感じで姿勢を正したのである。
「き、貴様!何をやっておるのだ!」
僕は怒りに震えた。
その姿勢は寝相が悪かっただけか!
お前は周りに人がいるとわかった途端、姿勢を正すような軟弱者だったのか!
不良なら不良らしく、横柄にしていろ!
僕はその男の腰で履いたズボンをずり下ろしてやりたい衝動に駆られた・・・・・
男が降りた後、その席には白髪交じり、50がらみのサラリーマンが座り、マンガ本をめくりだした。
そしてその次の駅で、どっからどうみても席を譲らなければならないような婆さんが乗り込んで、サラリーマンの前に立った。
しかし、サラリーマンは婆さんに席を譲らなかったのである!
しかもあろうことか、マンガを読み続けたのである!
確かに僕だって、”おばさん”と”おばあさん”の間ぐらいの年齢の人に前に立たれたとき、悩むことはある。
そんな時は、寝たふりをするに限るのだが(←×)
また、僕は当然、席を譲るべき年齢であるのに対し、そのサラリーマンは白髪交じりのおじさんであるから、座る権利があるような気もする。
しかし、前に立っているのは、完全な婆さんなのである!
しわしわの婆さんなのである。
もう、長生きもできないだろう、しわくちゃヨボヨボのみすぼらしい婆さんなのである。
その婆さんを立たせておくなんて、失礼ぢゃないか!!(← 俺?)
しかもそのサラリーマンが読んでいる漫画が、エロ4コマなのである!
ばあさんもマンガの内容に気づいたのか、目のやり場に困っているのに
そのサラリーマンは堂々とエロマンガを読んでいたのである!!
僕は心置きなく、
「死ね!死ね!一刻も早く死ね!」
と心に念じると、サラリーマンの隣りの女性が急に立ち上がり、 婆さんに席を譲ったのである・・・
僕の送った念が、的を外れたのかもしれない・・・・・・
はあ、今日はなんかついてないな・・・・
そう思って目を落とすと、目の前に座っている女性も漫画本を読んでいることに気づいた。
そして、その読んでいる漫画がなんと「暁!男塾」なのである!!
おい!よいよい!!!
OLさんが「男塾!」って!!
あんた、なんて素敵なんだ!!
僕は『週刊少年ジャンプ』の最盛期世代
当然、「魁!男塾」を読みふけった世代
子供心に、図書館で”民明書房”の本を探した遠い記憶!
「男塾」は我が青春!我が人生の道しるべ!
青年よ!大死を抱け!
OLさんよ!ありがとう!!!
僕は大変気分よく、家路に着くのであった・・・・・・・・