先日、生まれて初めて『餃子の王将』に行った。
38歳にして初めての王将である。
関西の人が聞いたら「んなアホな!!」といったところだろうが、これまで僕は本当に餃子の王将との接点がなかったのである。
僕が初めて「餃子の王将」という店を認知したのは今から7年前の2004年。
が、2004年時点で王将は関東ではそれほど知名度は高くなく
「ただの中華料理屋チェーン」としてしかとらえられていなかった。
また、当時”昼飯は500円以内”を厳守していた僕は、昼ご飯と言えば
と相場が決まっており、餃子の王将は中途半端に高い店にしか見えなかった。
餃子の王将が関東で認知され始めたのは
関東の人から見たら、
「え?あれって、普通のチェーン店でしょう?」
「なに?そんなに旨いの?」
「なんでそんなにファンがいるの?」
と不思議でならなかっただろう。
日曜日に家族で王将に訪れる家族や子供の誕生パーティーを王将で開く家族などが紹介された。
さらにテレビ朝日『お願いランキング』の美食アカデミーにおいても、王将の餃子定食が30点満点中31点(!)を獲得
これまで同番組において、厳しいコメントを残してきたプロの料理人たちが、口をそろえて
「旨い!」「焼き方が最高!」「王将のない人生なんて!」「同じ料理人として尊敬!」
と賛辞を送っていたのである。
その頃には関東でも王将の前には行列ができるようになり、僕も「へ~すごいな~」と思いつつその前を通り過ぎることが何度かあった。
が、そういう日に限って夜に友達と飯を食いに行った帰りだったり、さっぱりしたものが食べたい夜だったりして、食べる機会を逸していたのだ。
「ん~~~~でも食べてみたいな・・・」という思いは日増しに強くなっていた。
僕は餃子が大好きなのである。
基本20~30個は軽くいけるのだが、普段は100円ローソンの100円餃子(小さめのが24個位入ってた)や、いなげやの総菜(6個入り、250円ほど)で食べることが多かったのだが
とにかく餃子が好き!
焼きたての焼き餃子が大好き!
そんなに好きなら専門店で食べればいいのだが、専門店で餃子を食べるほど経済的な余裕はなかったし
僕が今年3月まで住んでいた東京都国分寺市には王将がなかったため、なかなか食べる機会に恵まれなかったのだ。
しかし運良く今年4月からは王将のある町に引っ越すことになった。
僕は妻が実家に帰省していたとある木曜の深夜、とうとう”初王将”を果たすことになったのである。
仕事ですっかり疲れていた僕はとにかく腹が減っていた。
とにもかくにも餃子ライスが食べたい。
メニューをみると、餃子定食が735円
やや高い気がするが、今日はとにかく餃子
でも・・・チャーハンもうまそうだし
鳥の唐揚げも旨そうだ。
でも冷静に餃子の王将を判断するためには、やはり餃子定食を食べるべきなのでは?
ああ、でも・・・・
結局僕は「餃子、チャーハン、鶏唐揚げ」のチャーハンセットセット(903円)をオーダーすることにした。
ま、餃子が判断できればいいんだしね。
注文を終え、少し落ち着いたので店内を見回す。
平日深夜の店内は、やはり一人で来たサラリーマンが多い。
店内はとてもきれいだし、店員の接客も丁寧、声掛けもしっかりしていて店に活気がある。
メニューも豊富だし、なかなかいいんでないの?
そして意外に天津飯を注文している人が多い。
(「確かテレビでは天津飯は王将で一番早く作れるメニュー・・・10秒で作れると言っていたな。
でも10秒で作れる料理なんて食べたくないな・・・」)
(「そういえば、ここ数年、日高屋ばかりだからな。厨房が見える中華料理屋というのは新鮮だな。
料理人も確か厳しい修行を耐え抜いた人たちなんだよな。単なるバイトじゃなくて社員なんだよな・・・)
なんてことを考えていると僕のチャーハンセットがうやうやしく運ばれてきた。
「ほぉ~・・・これが王将の餃子か・・・」
僕は醤油、ラー油、酢でたれを作り、それに餃子を浸した。
そしてゴクリとのどを鳴らし、初の王将餃子を口に入れた。
「うん、美味い」
うんうん。素直に美味い。
大きさも焼き加減もちょうどいい。
うん。なるほどね。
ジューシーだし、皮もカリっとなっているし
うん、わかるわかる。
うん、うん・・・・
が、僕はここでなんとなく腑に落ちない気持ちも感じ始めていた。
「確かに普通においしい。が、特別に、ものすごくおいしいわけでも・・・・・ないかな?」
「わざわざ行列を作って食べるような味かな?」
「ふ~~ん・・・・美食アカデミーはこれに30点満点をつけたのか・・・」
「コストパフォーマンスを考えたら、日高屋のほうが・・・」
本当にこれが正直な感想なのである。
僕が王将へ憧れ続けた7年は
同時に「日高屋」のコストパフォーマンスに慣れ親しんだ7年でもある。
餃子190円
中華そば390円
中華丼550円
・・・
もちろんこの値段だからメチャクチャ旨いわけではない。
が、腹を満たすには十分だし、そこそこ旨い。
800円や900円のラーメンに比べれば当然劣るのだが、僕の舌はその違いがわかるほど発達していない。
餃子の王将もメチャクチャ旨い、並んででも食べたい、というわけでもなく
「普通に旨い」というレベルならば・・・・・・・・・
僕は脂まみれになった唇をナプキンで拭き、
満腹になった腹を押さえながら会計をした。
「餃子の王将ねぇ・・・・」
関東に住む低所得味音痴サラリーマンには、敷居の高い店だったのかもしれない・・・
チャン チャン・・・