俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

日高屋のおばあちゃん

この週末、嫁と一緒に実家に帰っていた。

実家というのはつくづくいいものである。

僕はもう今年40歳になるのであるが、両親から見たらいつまでも子供なので、何から何まで世話を焼いてくれる。

晩飯前には晩酌が用意され、Asahi スーパードライで乾杯

晩御飯には刺身の盛り合わせが出され、久しぶりのご馳走を堪能

食後にはデザートのいちごが出され、自然にお茶まで出てくるのである。

東京のアパートに戻るとお茶もパックのお茶だし、味噌汁もインスタントになるので、実家にいる間に腹がちぎれんばかりに食べた。

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そして東京のアパートへと戻る帰り道、晩御飯を作る気が全くなかった嫁が

「今日の晩御飯は日高屋のチゲ鍋が食べたい」

というのだ。

日高屋はラーメン屋だからチゲ鍋はないはずだ。

が、韓国人であるわが嫁は店の前に「期間限定!」と大々的に宣伝された「チゲ味噌ラーメン」の写真に強く惹かれたらしい。

ま、実は僕もずっと気になっていた商品であったので、今夜は日高屋で夕食を摂ることにした。


日高屋は独身時代は本当によく通っていた。

週に3回は行っていたな。

そんなにうまくもないが、コストパフォーマンスが高い。

結婚してこの2年は行っていなかったが、久々の日高屋は楽しみだ。


我が家の最寄駅の日高屋に入ると、これがまたすごい盛況であった。

3連休の中日(なかび)、日曜の夜だが日高屋はほぼ満席

隣りの「東京チカラめし」もここまで人は入っていない。

僕と嫁は並びの席に座ることになった。

嫁はもちろん「チゲ味噌ラーメン」。

僕は大好物の中華丼と餃子を頼むことにした。

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注文を済まし、店内を見回す。

若い女の子はいないが、それ以外のあらゆる客層がいる感じだ。

まず多いのがもちろん男性の一人客。

独身時代の僕もそうだったが、仕事帰りに日高屋で夕食を済ませるパターンだ。

次に多いのが晩酌組。

生ビールやサワーを、日高屋のつまみでやっつける。

日高屋は意外におつまみメニューも充実している。

「居酒屋に入るほど金もないし、時間もない。」「ちょっと一杯やれればいいや」

そういうサラリーマンの二人組、もしくは定年したお父さん一人が晩酌をしているのをよく見かける。

さらに家族連れ。お父さんとお母さんと子ども一人か二人。

ファミリーレストランより安く済ませたいお父さんの気持ちが見て取れる。

ここら辺の客層が牛丼屋との大きな違いだろうな。


そして意外に多いのが”おばあちゃんの一人客”なのだ。

これが不思議と多い。

あれ、なんなんだろう?

おばあちゃんが一人で入ってきて、一人で席について、一人で飯を食べている。

そんなおばあちゃんがちらほら見える。


おばあちゃんになるとラーメンが食べたくなるのだろうか?

確かに行列のできるラーメン屋なんかにおばあちゃんは入り辛い。

インスタントラーメンやカップラーメンでは寂しい。

それで店に食べに来ているのだろうが、そんなおばあちゃん達が選ぶのが日高屋というのが面白い。


あのおばあちゃんたちは一人暮らしなのだろうか?

一緒にご飯を食べてくれる家族がいないのだろうか?

ちょっとかわいそうな気もするが、我が家の近くの日高屋ではそれが日常なのだ。


それこそ「渡る世間は鬼ばかり」の幸楽ラーメンのような「昔ながらの中華食堂」のイメージで来ているのかもしれない。

が、日高屋のメニューはお婆ちゃんたちには明らかに量もカロリーも多い。

が、女性人気の高い野菜たっぷりタンメンなんかを普通に頼んだりしているのである。

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さて、そんなことを考えているうちに、僕らの注文した「チゲ味噌ラーメン」「餃子」「中華丼」が運ばれてきた。

中華丼、めっちゃ好き!

野菜のあんかけ、すんげー美味い!

本当はびちゃびちゃになるくらいお酢をかけたいのだが、嫁が半分食べるので今回はそれは我慢。

ちなみに嫁は生まれて初めて中華丼を食べたらしいが、喜んで食べていた。

そんで、日高屋、餃子がうまくなっていた。

5年くらい前まで、日高屋の餃子は170円くらいで、ボリュームも大したことなかった。

安いだけが取り柄の餃子だったが、今日食べてみたらうまくなってる!

う~ん・・・企業努力してるんだなあ。

そして「チゲ味噌ラーメン」

韓国人の嫁曰く「なかなか旨い」と好評価。

スープがドロッとするほど濃く、ラーメンのスープと言うより煮詰まってきたチゲ鍋のスープといった感じ。

この残りのスープにご飯と卵入れたら美味いだろうな・・・

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すると僕らの隣に一人のおばあちゃんが座った。


おばあちゃんは前菜にキムチを注文

そして餃子、チゲ味噌ラーメン、さらにライスを頼み、お土産餃子まで注文。

10分後、それらが一人用の小さなテーブルの上にずらっと並んだ。

「すげぇ・・・・あんなに食えるのかよ・・・俺でもきついぞ・・・」


小さなおばあちゃんが特に驚いた風もなく食べ始めたところで僕らは店を出た。



日高屋というのはおばあちゃんたちが”自分へのご褒美”を与える聖地なのかもしれない。

そんなことを思いながらうちへ帰った。