電車の中刷り広告をぼんやりみていた。
本当にぼんやり見ていたので、その雑誌の表紙を飾っている女の子に、最初気がつかなかった。
「また凡百のギャルモデルか・・・」
そう思っていたが、目の焦点が合ううちに、その表紙を飾っているのが南明奈だということに気づいた。
そう、かつて”最強アルドル”の名をほしいままにしていた、アッキーナである。
そこには緊張感のかけらもない、ぬるま湯番組のメンバーそのままの姿が映し出されいた。
かつて、毎年のように「カレンダーの売り上げNO.1」の座に輝き、
グループアイドル全盛の時代に、ソロで活躍できる数少ない正統派のアイドルとして君臨したアッキーナ
雑誌のグラビアを飾っても、決して胸が大きいわけではなく
歌が歌えるわけでもなく、演技ができるわけでもない。
「かわいい」
これ一本で勝負をしている、また勝負ができる稀有な存在であったアッキーナ
しかし、グラビアだけのアイドルでは今日び活躍の場が絞られ、自身のタレント性も生かせない。
島田紳助氏に見初められ、準レギュラーとなった。
一緒に合宿に行き、グループを組んで歌を歌わせてもらった。
ほとんど中卒に近い頭でクイズにも答えた。
おバカにもなりきれず、頭のいいキャラにもなりきれないアッキーナは、なかなかヘキサゴン・ファミリーで存在感を示すことはできなかったが、
それでもそのぬる~い雰囲気は、アッキーナにとって心地よかったのかもしれない。
ファミリーにはアッキーナが甘えることができる姉さんたちがいた。
姉さんたちと仲良くなるためにはどうすればいいか。
アッキーナは考えた。
そして同期の神戸蘭子を見て、こう思った。
「そうか!ああすればいいんだ!」
アッキーナは姉さんたちの真似をすることにした。
こうしてヘキサゴンファミリーはみな同じ(ヘア)スタイルになったのだ(と思う)。
見事なまでに揃った(ヘア)スタイルは友情の証、仲間の証である。
と同時に諸刃の剣でもある。
それは、タレントしてもっとも重要な「個性の消滅」を意味した。
アッキーナはもともとこんな感じであった。
が、今のアッキーナに必要なのは、仲間だ。そしてファミリーだ。
ヘキサゴンメンバーは他のタレントを蹴落とし、芸能界の中で生存競争に勝ち抜くことより
自らの個性を埋没させ、調和することを選んだ。
いま、”最強アイドル”と言われた南明菜は芸能界には存在しない。
今、いるのは「ヘキサゴンのアッキーナ」である。
小学生に南明奈の写真を見せて、「この人だ~れだ?」と聞いてみるといい。
「ヘキサゴンに出てる人!」と言われるはずだから。
はあ、安っぽくなっちまったもんだ・・・・・・