芸能界には様々な派閥、というか、グループがある。
僕が言うのはジャニーズやハロプロといった事務所単位のものではなく
あくまでも気の合うタレント同士の集まりである。
多くの場合は「その中心となる人物のもとに、その人を慕う人が集まる」という構造を持っている。
例えば「北島ファミリー」、「欽ちゃんファミリー」
それぞれ”親父”と呼ばれる北島三郎、
”大将”と呼ばれる萩本欽一というリーダーの下に、後輩達が集まるという形だ。
ほかにも
”ゴッド姉ちゃん”和田アキ子を擁する「おまかせファミリー」
いじめやすいリーダー上島をいじる「竜兵会」などなど
公私共に時間を共有することによって、芸能界という荒波の中で助け合い、フォローし合っている。
一方、珍しいファミリー形成を作っているのが、島田紳助氏である。
彼は「行列ファミリー」と「ヘキサゴンファミリー」という、番組単位の二つのファミリーを有していて
それぞれを分けている。
紳助氏は彼らをいじり、またプロデュースすることに最大の喜びを見出している。
ファミリー同士も、非常に仲がよく、しゃれにならないカップルさえ登場する始末である。
一方、「行列ファミリー」は弁護士軍団に東野、磯野貴里を加えたもので、ヘキサゴンファミリーよりやや大人な感じだ。
この二つのファミリー、番組(特にスペシャル)でやることは「沖縄旅行」「恋人公募」「旨いもの紹介」などなど、似ているところが多い。
これは一重に紳助氏の趣向によるものだ。
また、ヘキサゴンファミリーが『行列ができる法律相談所』にゲスト出演することも多い。
しかし、行列ファミリーが『クイズ ヘキサゴンⅡ』に出演することはなく、このへんで紳助氏は一定の線引きをしているようである。
つまり、「ヘキサゴンファミリー」は紳助がプロデュースしたい若手の集まりであるから、
他の自分の看板番組にも出演させるし、世話もする。
紳助氏がファミリーに選ぶ基準は「素直でいい子である」こと。
つまり、自分がプロデュースしやすいことである。
『クイズ ヘキサゴンⅡ』は紳助氏の「父性」をいかんなく発揮させ
頂点に立つ恍惚感を味わえる場であると言える。
一方、「行列ファミリー」は紳助氏の接待番組の様相を呈している。
経営者として多くの店を抱える紳助氏にとって、弁護士との太いパイプは是が非でもキープしておきたいところ。
だから紳助氏は弁護士軍団を沖縄に連れて行き、番組で旨いものを食べさせ、弁護士の夢をかなえさせる。
そして弁護士らも紳助氏の笑いの才能に一目置いていること、
東野、貴里という最強のバカの存在が紳助の優越感を満たしていることが
ファミリーのよい関係を築いていることに一役買っている。
長い歴史と、お年寄りからの絶大なる人気を誇るテレビ東京の看板番組である。
しかし、紳助はここではファミリーを形成しない。
これはなぜだろう。
経営者でもある紳助氏は、ものの価値を図ることが大好きだ。
自らの著書でも「これはいくらか?いくらの価値があるか?」ということをいつも考える習慣ができていると述べている。(たしか『ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する』の中で)
以前やっていた『世界バリバリバリュー』はまさにそんな番組だし
『行列~』でも『一分間の旨イイ話』でも、
食べ物特集では、いの一番に手を出し、渋い顔でそれを口に入れ、値踏みをし、値段を聞いてその価値があるかどうかを判定している。
それほど鑑定することが大好きな紳助氏が『なんでも鑑定団』でファミリーを形成しないのは
おそらく自身の満足感が得られないからだ。
『鑑定団』に出演している鑑定士はプロ中のプロである。
そのプロの前で、紳助氏は
「これは安物!僕なら買いません!」
「これは高いですわ~。僕は300万ぐらいだと思います」
「お母さん、こんなガラクタあきませんわ~」
などと大口を叩く。
しかし紳助氏の鑑定は半分くらい当たらないのである。
だから鑑定団は紳助を子どもを見るような目で見ている。
そのスタジオからは、紳助が望む恍惚感、優越感などは得られないのである。
また、普段、発揮する父性も
石坂浩二にすっかり奪われている。
石坂浩二という優しい父親の前で、やんちゃをする子どもになっているのが紳助である。
だから紳助氏は鑑定士を食事にも旅行にも誘わない
(と思う)
さて、ではそれ以外の番組
『一分間の深イイ話』や
『ホンネの殿堂!!紳助にはわかるまい』で
今後、紳助氏はファミリーを形成するのだろうか。
僕はどうもそれはないような気がする。
『ホンネの殿堂』のレギュラー、準レギュラー(名倉潤、皆藤愛ら)もそれを必要としないだろう。
あとはせいぜい有吉の居場所を押さえてやるぐらいか?