俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

島田紳助の振り幅のもう片方『開運なんでも鑑定団』

日曜の昼は、昼飯を食べながらテレビ東京『開運なんでも鑑定団』の再放送を観るのが最近の楽しみとなっている。

 

もはや隠居ジジイと同じである。

 

『開運なんでも鑑定団』のWikipediaの説明を抜粋すると

 

>様々な人が持っている「お宝」を、専門家(主に古美術品やアンティークショップの経営者が中心)が鑑定し、値段付けを行う。意外なものが高価な鑑定結果を得たり、高価だと思われていたものが偽物等で安価になってしまうという意外性や、鑑定物に対する蘊蓄が堪能でき、人気になる。鑑定の結果、埋もれていた芸術作品が発見されたこともあった。

 

>流れとして基本は、著名人・一般視聴者・出張なんでも鑑定団・一般視聴者の順で、不定期で幻の逸品買います・私のお宝売りますが挟み込まれる事がある。

 

>まず著名人・一般視聴者登場前に人となりのVTRが流され、島田紳助の「依頼人の登場です」のコールで出演者を呼び寄せる。その後お宝披露・お宝に関するVTR解説(著名人の場合は無い場合がある)・鑑定・鑑定額発表・鑑定人の解説といった流れで進行する。

 

>この番組から、いわゆる鑑定ブーム、骨董品ブームが起きたが、何でも金銭で換算してしまう点や、美術品をパフォーマンスで見せる点などを苦々しく感じている美術関係者もいる。

 

>しかし、依頼品にまつわる人々の熱かったり切なかったりする思い入れや、鑑定結果に一喜一憂する依頼人の表情などは人間味にあふれ、鑑定を単なる金銭的評価に終わらせていない。また、鑑定結果が出る前には、これから鑑定する依頼品に対する予備知識の解説が入る。そこでは、製作者のおいたち、歴史的背景などのほか、作風、作品の見方、味わい方などが紹介される。このために文化史、美術史などにおける教養番組としての側面も持ち、その観点から当番組を楽しむ視聴者も多いといわれる。

 

>2009年10月現在、放送開始から15年半を経過し、テレビ東京で現在最も長く続いているバラエティ番組であり、1995年4月から14年半に渡り現在も放送継続中の『出没!アド街ック天国』と共に、長寿番組の地位を確立している。
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で、ここでの紳助さんは非常に紳士である。

 

おそらくそれはこの番組を観ている視聴者の大半が高齢者であることと関係しているだろう。

 

フジテレビ『ヘキサゴンⅡ』『ホンネの殿堂 紳助にはわかるまい』で見せるような親分的な態度はないし、

 

日本テレビ『行列が出来る法律相談所』『人生が変わる1分間の深イイ話』で見せるような下品なトークや、番組の主旨と全くかけ離れた紳助さんの思いつき企画などもない。

 

『開運なんでも鑑定団』の紳助さんは、服装や髪型こそ一番ラフな格好で来るが、司会ぶりは毒蝮三太夫のように(お年よりに)やさしい。

 

もちろん、「これ安もんやで~」「ショックで倒れたらいかんから救急車用意しとき!」などと毒を吐くことはあるが、基本この番組の紳助さんはお年寄りにとってかわいい。


『行列~』では弁護士をからかうことで、お堅い弁護士さんのイメージを壊した紳助さんだが、

 

『~鑑定団』では基本、鑑定士をいじりすぎることはなく、むしろ「根は優しいやんちゃ坊主」としてのキャラを確立している。

 

そしてそんな紳助さんを鑑定士の中島、安河内、司会の石坂浩二などが見守る絵柄がとても微笑ましい。

 

また、紳助さんが司会をする他の番組に比べ、紳助さんのしゃべる量、画面に映る量が圧倒的に少ない。

 

教養番組と娯楽番組の間をうまく渡り歩いている。


お堅いだけの鑑定番組だったらここまでの人気は博せなかったかもしれない。

 

またバカバカしいだけのバラエティだったら、高齢者の視聴者は見ない。

 

『~なんでも鑑定団』はそのバランスが実に巧い!

 

だからこそ、テレビの前のお年寄りも嫌悪感を抱くことなく、また飽きることなく観ることができるのだと思う。

 

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今日の番組最後の鑑定依頼者は、早くに亡くなった母親に対して親孝行できなかった代わりに、叔母の介護をしているというA氏。

 

その叔母は現在94歳、もともと茶道の先生で、自宅は茶室・炭倉庫などを併せ持つ立派な日本家屋である。

 

その叔母が、自分の世話をしてくれたお礼に、大事な青磁の壺をA氏に譲るつもりだという。

 

そこでA氏は壺の価値を知るべく、番組に来たというわけだ。


なお、もともとこの壺は叔母の夫であるB氏が所有していたもの。

 

B氏は生前、骨董商を営んでいた。ある日、茶道家である妻に「道具はいいものを使わないと技は磨かれない。いい壺があるからお前に譲ろう」と、中国から伝わったという青磁の壺を妻に売ったという。

 

「夫が妻に壺を売る」というのも変わっているが、なんとその値段が400万円(当時)というから驚き。

 

おそらく夫婦ともに仕事を持っていて、相当羽振りがよく、相当自立した夫婦だったのだろう。

 

戦前の夫婦としては珍しい。(なお、鑑定士の中島先生はB氏と面識があり、当時は中島の方が駆け出しの新人であったらしい)

 

もし本物なら5000万円はするという代物。A氏はやや控えめながら「250万円」を希望した。

 

僕もこの番組を観続けて、最近、なんとなく骨董の良し悪しがわかるようになってきたが、

 

今回のA氏の壺、かなり微妙だ。

 

果たして鑑定の結果はいかに!

 

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これは本物

 

結果はなんと・・・・・・・・・・・・3万円だった。

 

あまりの安さに呆然とするA氏

 

凍りつく会場

 

しかし、この後が紳助さんのすごいところだ。

 

「きっと叔父さん(B氏)知ってたんやな。でも叔父さん、偉いと思いますよ。大事なお客に偽物売ったら大変や。だからちょっと遊ぶ金でももらおうかと奥さんにこの壺売ったんや。きっと叔父さん今頃天国で『バレたか』って笑ってますよ。叔母さんも『も~あの人ったら・・・』って笑ってますよ。笑えないのあんただけよ。(会場爆笑)でもずっと叔母さんの介護されて偉いと思いますよ。これからも叔母さんのこと大切になさってくださいね。」


う~~ん。すごい!

 

おそらくA氏のショックは相当なものだったと思う。

 

そして相当の自信をもって鑑定を依頼しに来たのに、偽物だとわかったときの空気は実に重い。

 

その骨董を売った人、譲ってくれた人をも恨んでしまいたい。

 

そんな物を信じて高値で買ってしまった自分がとてつもなく恥ずかしい。


しかし紳助さんは最後の一言でその全ての人を救ってしまう。

 

今回も叔父さんを救い、おばさんを救い、そして依頼人のA氏の心も救われた。

 

番組の締めとして、一番難しいところを、いつもいつも、いとも簡単にまとめてしまう。

 

これこそ天才のみがなせる業であろう。


そしてこの番組で見せるこうした優しさがあるからこそ、

 

日本テレビやフジテレビの司会でいくら叩かれても、紳助さんは生き残っていけるのだろう。

 

この振り幅の大きさこそが、島田紳助は日本一の司会者たらしめる所以である。

 

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とまあ、紳助さんを褒めてみたのだが、

 

僕の見解の鑑定やいかに!?