俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

青木真也について僕も語ろう

昨年の大晦日、僕の一人暮らしのアパートでは日本テレビガキの使いやあらへんで』が録画され、

僕は実家で『Dynamite!!』を見ていた。

我ながら親不孝であったと思う。

95歳のじいちゃんと、60代の両親の前で『Dynamite!!

本来ならテレビ東京の『年忘れにっぽんの歌』とか、せめてNHK『紅白歌合戦』でも見せてあげればよかったのだが、

いまだ大人になりきれていない36歳独身のバカ息子は本能の赴くままに『Dynamite!!』を見てしまったのだ。


さて、2009年の『Dynamite!!

北京オリンピック柔道金メダルの石井慧のデビュー戦とか

魔裟斗引退試合とか、いろいろ目玉となる対戦があったのだが、

終わってみれば「青木真也の行為に関する賛否」一色


未だにネット上で物議をかもし出している。


青木真也とは何者なのか


プロフィールを読むと、元柔道選手で、早稲田大学柔道部卒

その後、警察官になり、プロ格闘家に。

現在、体重の軽いクラスの選手の中で、世界最高の寝技の技術を持っているとのこと


が、そんなことでは青木真也像は浮かび上がらない。


総合格闘技に全く興味がない人に、ものすごくわかりやすく例えるなら、

青木真也とは”総合格闘技会の亀田興毅”である。

それも、弟(大毅)が問題を起こす前のイケイケ時代の悪ガキ・亀田興毅

口のききかたを知らず、相手の選手を必要以上に挑発し、天上天下唯我独尊状態のあの時代の亀田

おそらくあれをイメージしたら、今の青木真也のイメージに近くなる。

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       *亀田と同じ、典型的なジャリ坊顔


で、昨年末の試合で青木はやっちゃったのだ。


まず試合前はお約束通り相手をこき下ろして挑発

試合は格下(一応、他団体のチャンピョンではあったが)相手に寝技でもてあそび

相手がギブアップしないと見るや、相手の腕をへし折る

そして苦しむ相手にベロを出して中指を突き立てて見下ろし、リングをグルグル回って喜びをあらわに(すぐにセコンドに止められた)

これで最後に歌でも歌ったら本当に亀田の出来上がり。


で、「試合後のファックユー」と「意図的に相手の腕をへし折った」行為について賛否が分かれたのである。



僕個人としても、青木真也への評価はなかなか付けがたく

人を食ったような態度は大嫌い

が、寝技の技術に関しては惚れ惚れするほど

という感じ。


日本人はもともと謙虚を美徳とする民族であるので、亀田にしろ、青木にしろ、魔裟斗にしろ、ビックマウスは敵を作るのである。

もっとも、格闘家やスポーツマンに本当に横柄な人は意外に少なく、自分を追い詰めるため、パフォーマンスのために大口を叩くケースがほとんど。

実際は気が小さくて、家族思いで、意外に涙もろかったりする。

元不良で格闘家になった奴でさえ、(むしろ飄々と生きている現代人より)純粋で熱くて真面目で律儀な男だったりする。

僕などは単純なので、テレビの紹介VTRを見ただけで、嫌いだった選手がコロッと好きになったりする。

そもそも常人には考えられないほどの猛練習で自分を追い詰め、試合本番で最高の技術を披露し、力を発揮するヒーローに、畏敬の念を持たずにはいられないのも男の性なのである。

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青木真也はまだ大人になりきれていない「バカ」な男である。

26歳、早稲田卒業後、警察になるぐらいだから、頭は悪くなく常識もあるはずなのだが

今の青木の態度は、知らない人が見れば「成人式で暴れるバカ」とか「暴走族に入ってムチャするバカ」「喧嘩で学校一になることを夢見るバカ」と区別がつかない。

が、関節技の技術に関して言えば、本当に恐ろしい。


組み付かれて、倒されたら最後

相手は逃げることができない。

長くて軟らかい手足を相手の体に巻き付け、じわじわと体勢を有利に持っていき、最後は関節を極めるか呼吸をできない状態にして仕留めてしまう。


例えるなら”草食動物に巻きつき、今にも飲み込もうとするアナコンダ”といった感じ

最初のうちは相手も抵抗を試みるのであるが、青木に巻きつかれたら最後

逃げれば逃げるほど自分が不利な体制になり、ついには青木に飲み込まれてしまう。


これほど高等な技術を持ちながら、”芸術的”という言葉が全く似合わない

青木の勝ちパターンを見ると、本当に「ヘビに飲み込まれる動物」を見るような気持ちにさせられる。


打撃が得意な選手に強引に叩きのめされることもたまにあるのだが、

ハマった時の青木は恐ろしく強い。

そして頼もしい。

J.Zカルバンや宇野薫に勝ったときの青木は「凄さ」をまざまざと見せ付けたもんな。

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が、何度も言っているとおり、昨年末の試合で評判を一気に落としてしまった青木。

あまりの狂気ぶりに薬物疑惑まで飛び出すほど。

確かに、相手の腕を折るってのは、見ていても「うわっ!やっちゃった!」と嫌な気分になるくらいだから、やってるほうは相当覚悟がいることなのに、それをいとも簡単にやってのけたのだから、青木は尋常じゃない”狂人”に見られなくもない。

が、技が極まる直前、テレビで見ていてもやばいぐらいに腕を絞り上げられながらも、相手の選手はタップ(ギブアップの意思表示)をしなかったのである。

レフリーは止めるわけにはいかないし、青木もやめるわけにはいかない。

相手選手も「絶対にギブアップするもんか!」ということだったんだから、もう関節を外すしかなかった(これならレフリーストップがかけられるため)のだ。

ま、相手選手だってあの時点で逃げられると思ってはいなかっただろうし、そうなったら関節を外されるだろうということは覚悟しなきゃいけない。


あの試合で、青木は厳重注意、所属事務所での指導者解任という処置を受けた。

腕を折られた相手選手からはいまだコメントを出していないが、彼の発言が今後の青木の将来(または自分の将来)を左右しかねない。

青木を擁護するなら、お互いの価値を上げ、

青木を批判すれば、お互いの価値が下がる。

さあ、どうでるかな?

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ま、どちらにせよ、結果的に僕は「青木真也は名を上げたことになった」と思っている。

いいにせよ、悪いにせよ、プロ格闘家として名前が売れ、注目度が上がった。

ちょうど謹慎明けの朝青龍亀田興毅のように・・・。

しばらくの間バッシングに耐えていれば、もしかしたらどこかで島田紳助さんが見ていて、テレビで持ち上げてくれるかもしれない。


いやが上にも次の試合には注目が集まるし、

「腕折り」「クラッシャー」の異名もゲット

くしくも対戦が切望される川尻達也と同じ称号であるが、青木のほうがリアルだ。


これから戦うであろう対戦相手は「俺が逆にお前を壊してやるよ!」と虚勢を張りつつ

「あ~、嫌だな~。あいつキ○ガイだからな~。怪我させられたらたまらんな~。」なんて思い、

「やっぱりバカの相手はしたくない!!」なんて言って対戦を嫌がるかもしれない。

現代の日本人格闘家が失いつつある、戦いにおける狂気

それを持ち合わせているだけでも青木は稀有な存在である


しばらくは悪役として、ブーイングを浴びながらのファイトになるかもしれない(特に日本人相手には)

が、結局これだけ技術を持っていれば人気の悪役になることは間違いない。


また、K-1にしろ、総合格闘技にしろ、外国人選手が席巻している日本マット界なので

しばらく外国人選手ばかりがチャンピョンを争う状態が続いたら、青木の出番である。

なんだかんだいって、青木が外国人選手を関節技で翻弄すると喜んでしまうのが日本人なのである。


僕は個人的に、青木が大蛇の如く、相手の体に捲きついて飲み込んでいくのを見るのがサディスティックで好きなので、次の試合も期待している。

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ま、性癖もSなんですけどね