俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

アダルトビデオを選んでいた日々・・・


ゲストのココリコ遠藤章造が「レンタルビデオ屋で真剣にAVを選んでいる遠藤さんを見た。遠藤さんは何度も何度もパッケージを裏側を確かめ、内容を吟味していた。その顔はAVを選んでいるとは思えないほど、ムダに格好良かったです」との投書をもらっていた。

遠藤さんによると、「僕はAVを選ぶのに大体2時間くらいかかる」とのこと。

それをパソコン作業をしながらぼんやり見ていたのだが、なんとなく「あ~・・・懐かしいな。オレもそんな時代があったな・・・」とノルタルジックな気分になった。

イメージ 1


僕がAVを見始めたのは19歳の時。

初めてアルバイトをして、初めて自分で稼いだお金で最初に買ったのがビデオデッキだった。

同時に始めての一人暮らしを始めていた僕は、大学生活のほとんどをAV鑑賞に費やしていたと言っていいくらいはまっていた。


正直、たばこやド○ッグにはまっている奴らがかわいく思えるくらい、僕はAVにはまっていた。

ク○リが切れて手がプルプル震えている人以上に、僕は毎晩手をプルプルさせていた。


当時は毎週金曜日に2本ずつ借り、次の週の金曜日に返却と同時にまた2本ずつ借りる、というサイクルだった。

1週間レンタルが350円だったから毎週700円

1ヶ月で2800円、1年で3万3600円、4年間で13万4400円・・・


僕は3人兄弟なのだが、両親は一時期、3人分の大学の学費(うち二人は私立大学)と仕送りを振り込まなければならなかった。

ある時、両親は経済的な理由で「ごめん、仕送りの額を減らさなきゃいけなくなった」と言ってきた。

僕は両親の経済的な負担に心を痛め、なんとかアルバイトで生活費を捻出しようと試みたが、

一向に減らない「AV費」を前に、愕然としたものだった。

「もしも僕に性欲がなかったら、もっともっと生活は楽になったのに・・・」

そう悔し涙にくれながら、枕を濡らした・・・・・・・・・・のならカッコよかったのだが、

実際に濡らしたのはティッシュだけだった。

イメージ 2


僕が「AV費用は減らせない。だからそれ以外の無駄な出費を減らそう!」と思い直したのは自然な流れだった。

僕はそれ以来「昼ごはんはワンコイン」「洋服の購入は1~2年に一回」「外出をするとお金がかかるから引きこもれ!」「迷ったら買うな!」「車と女は金がかかる!」と自分に言い聞かせ、その結果身についたのが

・           真性貧乏症


であった。


そして金もない、女もない、夢も希望もない僕が唯一心休まる場所がレンタルビデオ屋のAVコーナーであった。

AVコーナーにいる間は嫌なこともすっかり忘れることができた。

端から端まで、一つ一つ丁寧にパッケージをチェックし、タイトルと内容のギャップを見抜く技術に磨きをかけた

大学にいる間、これほど集中して真剣な顔を見せるのはAVを選んでいるときだけだった。

時がたつのも忘れ、僕はAVを吟味した。

1回に借りられるのは2本まで。それが僕が決めたルール。

だから数ある作品の中から、現時点での最高の2本を選びたい。

新作、準新作には目もくれず、旧作の中から10本ぐらいめぼしをつけ、さらに5本を選び、その5本のパッケージを目を皿のようにして眺め、パッケージの一語一句にまで気を配り、最後に2本を選定する。

その姿は最高の材料を吟味している料理人にも通じ、命にかかわるオペに取り掛かる脳外科医にも通じるものがあった。

大体毎週1時間半ぐらいはAV選びに使っていたな。


「1時間半あれば、ビジネス書も3分の1ぐらい読めるのに・・・」

「1時間半あれば、仮眠がとれて、夜も勉強ができるのに・・・」

「1時間半あれば、15kmぐらいは走れて、カロリーが消費できるのに・・・」

「1時間半あれば英単語もいくつか覚えられるのに・・・・」

そう悩む日々が何年も続いた。

イメージ 3


今、僕はDMMの宅配レンタルでAVを借りている。

2ヶ月に1回くらい、ウィッシュリストを作成しておけば、あとは毎回2枚ずつ自動的に送られてくる。

もう毎週のようにレンタルビデオ屋に行くことも、

夏の大雨の中や、雪の舞い散る寒空の中、AVを返しに行くこともなくなった。


毎週のように胸をときめかせていた1時間半も

今はポストの中に送られてくるものを見て「ああ、今週はこれか」と思うぐらいになった。


レンタルビデオ屋で過ごした時間は

高校球児がグランドで過ごした時間のように

今、懐かしい思い出として僕の中に残っている。


イメージ 4


「お世話になった、レンタルビデオ屋のお兄さん!」「お兄さん!」

「いつも、パッケージを見て見ぬふりをしてくれた、TSUTAYAのお姉さん!」「お姉さん!」

「僕たち」
「私たちは」
「今日、レンタルビデオ屋通いを、卒業します!」「卒業します!」

「雨の日も」
「風の日も」
「通い続けたレンタルビデオ

「楽しかった、5本1,000円セール!」「5本、1,000円セール!」

「毎週がんばって貯めた、ポイントカード!」「ポイントカード!」

「時には、カップルに、邪魔をされたこともありました!」

「悔しかった、レンタル中!」「レンタル中!」

「何度も何度もだまされた、パッケージ!」「パッケージ!」

「準新作から旧作になって実現した、1週間レンタル!」「1週間レンタル」

「いつも暖かくご指導くださった、加藤鷹!」「加藤鷹!」

「いつも勇気をくれた、一人でAVを借りに来ていたたくさんの仲間たち!」「仲間たち!」

「苦しかった、夏合宿!」「夏合宿!」

「合宿から帰った後、急いでレンタルビデオ屋に行って鉢合わせした、仲間たち!」「仲間たち!」


「僕たち」
「私たちは」
「明日から、宅配レンタルとなりますが」
「みんなで築いた思い出は」
「一生忘れません」「一生忘れません!」
「どうも!」

ありがとうございました!


ほた~るの~、ひ~か~り~、ま~ど~の~ゆ~ぅ~きぃ~~~~~

イメージ 5