T「日本は強かった!」
「世界を驚かせた!」
「でも日本には、足りないものがある!」
「それはヨーロッパの・・・」
フランス出身の、元サッカー日本代表監督である私だ!
B「あれ?ムッシュ、こんなところで何しているの?」
T「お~!!そのひげもじゃな顔は、私の通訳だったフローラン君じゃないか!」
B「ええ、まあ。相変わらずお元気で。」
T「いやいや、気合を入れていかないとね。」
B「で、こんなところで何をしてるんですか?」
T「何って、就職活動だよ!」
B「就職活動?」
B「ああ、それでしたら・・・」
T「スペイン人監督とか、ブラジル人監督とか、候補に挙がってるらしいけど、交渉が難航しているそうじゃないか!」
B「ああ、そうでしたね」
T「でもどこの馬の骨ともわらかないようなね、そんな奴を日本代表監督にするよりも!日本のことをよく知っている人が代表監督をするべきだと思うんだよね!」
B「ああ、そういう意見もありましたね。」
T「そもそもね、ヨーロッパ人は金にがめつい!だから名門クラブチームの監督を呼ぼうとしたって交渉はうまくいくはずないんだよ!」
B「あなたも相当がめつかったからね・・・」
T「それはいいじゃないか。それからね、大事なのはコミュニケーションだよ。日本人のことを知らない外国人にね、日本代表監督は務まらないよ!」
B「・・・・あなたも取材に全然答えなくてひんしゅく買ってたじゃないですか・・・・・・」
T「そんなのは過去の話さ!今の私はね、日本大好き!ジュテーム・ジュポン!」
B「そうなんですか?」
T「だって今、2部リーグの監督やってますしね。」
B「ああ、そうらしいですね。まあ、オーストラリア代表監督の話もダメになってお困りなんでしょう?」
T「・・・・・・・・・・あ、あとCMにも出てるしね」
B「ああ、見ました。ウィイレとかね」
T「今度はね、ジョージアだよ。」
B「ああ、小出恵介と出るらしいですね」
B「でもあなたの優勝予想オランダだったじゃないですか・・・」
T「そうさ!そりゃしょうがないよ。でもオランダ準優勝したしね。私の分析も大したものだろう?」
B「まあ、そりゃあね。」
T「日本が優勝とはさすがに言えないからさ、変わりに日本のアイドルと和やかにコミュニケーションをとってただろう?」
T「そうそう。普通はさ、W杯が始まる前に監督要請の話が来るはずなのに全然来ないからさ、いろいろアピールしてたんだよ」
B「みんな『トルシエ変わったな~』って言ってましたよ。前はあんなにマスコミに愛想を振りまかなかったのに・・・」
T「そうだよ。私はね、親日家になったんだよ。日本代表のことをだれよりも思っている。だからね・・・」
B「あ、その話ですけど・・・」
T「だからね、まあ、最終的にはね、私のところに話が来ると思うんだ。」
B「あ、だからそうじゃなくて・・・・」
T「まあ、君にもね、また手伝ってもらおうと思ってるんだよ。」
B「あ、僕は無理です」
T「なんで?」
B「フジの『すぽると』があるし・・・」
T「え?なに?君、日本で仕事見つけたの?」
B「ええ、まあ」
T「へ~やるね~。まあ、じゃあ、仕方ない。まあこれからは同じ日本で仕事をする者としてお互いに・・・」
B「あ、あの、日本代表監督のことですけど、イタリアのザッケローニ氏に決まったららしいですよ」
T「なんで?なんで?俺じゃないの?」
B「ザッケローニ氏です。」
T「じゃあ、俺、なんのために愛想を振りまいていたの?」
B「まあ、それはわかりませんけど」
T「じゃあ、俺、どうすればいいの?」
B「まあ、次回のW杯まで続けるかどうかわかりませんし、地道に就職活動を続けるしか・・・」
T「なんでだよ!なんでお前が仕事見つかって、俺が見つからないんだよ!」
B「だって僕、日本語話せるし・・・」
T「ジーコだって、あんなに日本にいて日本語さっぱりじゃねーか!」
B「ジーコは神様だし・・・。日本でプレーもしてたし、鹿島って居場所もあったし・・・」
T「俺は?俺は?」
B「まあ、好感度が上がりつつあるのは間違いなんですから、地道にがんばれば・・・」
T「日本には足りないものがある!それはヨーロッパの強さだ!」
B「まあ、ザッケローニもヨーロッパ人だし」
T「日本には足りないものがある!それは義理と人情だ!」
B「まあ、あんたには言われたくないでしょうね・・・・・・俊輔は特に・・・」