俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

ポン・デ・ダブルショコラよ・・・

こんな乙女なテーマで書くのもなんともためらわれるが・・・「ドーナツ」の話である。

なんせ、僕は40近いおっさんなもので、ドーナツとは縁が遠い。


甘いものは決して嫌いではなく、むしろ好きなほうではある。

職場のだれかが旅行先で買ってきたお土産のお菓子などがあったら遠慮なくつまむし、

家族や親戚が気前よく買ってきたケーキの詰め合わせなども、イの一番にショートケーキを取る。

週末にスーパーに買い物に行くと、習慣的におやつのおはぎやらドラ焼きを買い物かごに入れているし、

夏は冷凍庫にアイスを数品常備させるのが鉄則だ。

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ところが、

「じゃあ甘味処へ行くか」

サーティーワン・アイスでアイスを買うか」


と言われれば、答えは「NO」である。


このオヤジ心はなかなか理解できないかもしれないだろうが、

やっぱりおっさんとして、そういう店に一人で入るのは恥ずかしい。

そしてアイスやらドーナツやらを注文するのが恥ずかしい。

店内で一人で甘いものを食べるのが恥ずかしい。

そんな自分を店員や他の若い客がどうみているかを想像するとまた恥ずかしい。


さらに、甘味に高い金を使うのが、なんとなくもったいない。

僕はお昼ご飯の予算が500円のおっちゃんなのだ。

そんなおっちゃんだから、朝・昼・晩の食事以外になるべくお金を使いたくないのだ。


最近、駅中にフレッシュジュースのスタンドがあるが、あんなのを飲んでいるやつを見ると

「は~、贅沢してやがるな~」

「金持ってんな~」と感心してしまう。

「世の中には(金は)あるところにはあるんだな」

「僕に回ってこないお金がやつらの懐に入り、”青森産りんごとにんじんのジュース”となってアイツラの胃袋に収まっていくんだな・・・」

と溜息が出る。


ま、早い話がケチなのだぁあね。

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さて、そんな僕に、韓国にいる彼女が無理難題を押し付けるのである。

「日本にいた時に作ったミスタードーナッツのカードの有効期限が切れそうである!」

「したがって、期限内にミスドに行ってカードを使うべし!」

とのこと。


ミスタードーナッツって・・・・

ファンシーの王様みたいなところじゃない?

背広を着たサラリーマンが行くとことじゃないだろ?


が、彼女の指令は絶対

しかたなく僕は恐る恐るミスタードーナッツのドアをくぐることになった。

なるべく人気が少ないであろう、午前11時を狙って・・・

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ちょうどその週は「ドーナツ100円セール」というのをやっていた。

「ああ、それなら・・」と気が大きくなり、ドーナツ2個をセルフで取り、コーヒーを注文した。


僕が注文したのは「オールドファッション抹茶」と「ポン・デ・ダブルショコラ」というやつだ。

オールドファッションというのは、まあ、よくあるドーナツだ。

名前の通り、昔からある、パサパサの、”甘食”みたいな、あんなドーナツ。

それの抹茶味。

ま、それは予想通りの味で、悪くない。


が、驚愕したのは「ポン・デ・ダブルショコラ」というやつだ。

食べた瞬間、本当にたまげた・・・・


実は、このドーナツの存在自体は前から知っていた。

僕の好きなテレビ朝日系列『お願いランキング』(平日深夜0:50~)

その人気コーナー「美食アカデミー」内で、美食家たちがミスタードーナッツの商品を鑑定した結果、「ポン・デ・ダブルショコラ」が満点で1位を取ったのだ。

審査員の人気イタリアンシェフ、川越達也は「こんなドーナツ食べたことない・・・」

ミシュランで星を獲得した和食料理人、吉岡英尋は「そんなに甘くもなく・・・」

人気和食店経営、青山有紀は「ちょっと苦味もあって・・・おいしい!」

と絶賛していたのだ。

で、食べてみたいとは思っていたが、期間限定商品のようであったし、自分がミスドに行くことになるとは思ってもみなかったので、あきらめていたのだ。


が、ミスド40周年を記念してドーナツ100円セールが行なわれる(もう終了していると思うが)とともに、過去に発売したドーナツの中で人気投票を行なった結果、ここでも「ポン・デ・ダブルショコラ」が1位を獲得。

そりゃあ期待も高まるというものだ。

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で、食べたみたのだが、もう一口目から圧倒されてしまった。

「な、なにこれ????」



それはもう、僕が知ってるドーナツの概念を越えていた。

ドーナツって、もっと「モソッ」として、「パサパサ」して、甘ったるいものだと思っていたのに

ポン・デ・ショコラは触感が”いわゆるドーナツ”と全く違う。


(普段からミスドを利用していた方からしたら「今頃、何言ってるの?このおっさん」という感じだが、初体験のおじさんには衝撃なのである)


まず軽く咥えて引っ張ると、軽い弾力を感じる。

これがいわゆる”もちもち!”という感覚だ。

このモチモチ感がなんともタマラナイ!

クセになる・・・そして快感になる。

で、歯を入れると、弾力があり、その直後に”サクッ!!”っと切れる。

この”サクッ!”がおいしい!!


普通のドーナツは噛んでもモソモソするだけだが、ポン・デ・ダブルショコラはモチモチサクサク・・・

この触感だけで金が取れる・・・


で、ドーナツの生地もショコラ、さらにチョコレートのコーティングだから、甘ったるいのかと思いきや、これまたクセになる

上にかかっているチョコか、生地のチョコか、どちらかがビターなのかな?

嫌な甘さがない。(甘いものが嫌いな人はやっぱり嫌だろうけど・・・)


かじり取って、ポン・デ・リングの断面を見ると、表面と中身が2層に見える。

2層の生地で作ってあるのか、揚げた段階で表面がこうなるのかわからないが、

この触感の違い、味の違いが旨さを倍増させる。



いや~~~~~これ、マジで・・・旨いわ・・・


おしゃべりをする相手もいない僕は、一人店内でドーナツをしげしげと見つめながら、しきりに感心していた。

へ~・・・若い女の子ってこういうもんを食べてるんだね~

いや~・・・だって旨いもの。

これ開発したやつって、すげ~な~


世界中の有名なパティシエが集まってスイーツ作りのコンクールやっても、この「ポン・デ・ショコラ」を超えるようなスイーツは作れんだろうな~

この触感、病み付きになるもの・・・

ミスドすげ~~

これ、奇跡だもの・・・これを開発したやつ、一生安泰でいいよ

それでも恨まない。

だって、それくらい世紀の大発明だもの。

これまで、どんな天才パティシエだって作れなかったんだもの。



ミスドの明るい店内で、スーツと黒いコートに身を包んだ一人のおっさんは、未だにドーナツをしげしげと見つめながら、賛辞を繰り返す。)


もし個人経営のスイーツ屋の主人がこのドーナツを作ったら行列ができるだろうな。

あ、でもドーナツばっかり売れちゃって、他のケーキが売れなくなって、それは本意ではないかもな。


ミスドって世界展開してたっけ?

というか、日本の会社だっけ?

たしか台湾とか韓国にはあったような・・・

この「ポン・デ・リング」は売り込むべきだよな

これだけで屋台とか作ってもメチャメチャ売れるぜ。

というか、アジアならむしろそっちの形態のほうが売れるかも。

あ、でも、すぐ隣りの屋台のおじさんに真似されちゃって、ポン・デ・リング屋が並んじゃったりするかもな・・・


しかし、この触感、すごいな~

飽きないね~、いつまでも食べていたい感じだよ・・・

モチモチ・・・・サクサク・・・・・・モチモチ・・・・サクサク・・・・・・・・

これをレギュラーにしないって、おかしいよ。

あ、でも、レギュラーにしないからこそ、期間限定の時に爆発的に売れるのかも・・・

まいったな~・・・これ、ハマりそうだぞ・・・・



そんなこんなで、僕のミスド体験は終わり、店を出ることになった。

いや~・・・僕の知らないうちに、ドーナツってものすごい進化をしてたんだな・・・

これ、食べたことがないおじさん連中に紹介したいな・・・


春の日差しが燦々と注ぐ、2011年2月24日のことだった・・・

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にしても・・・ドーナツ2つとコーヒーで500円って・・・・

昼飯代といっしょぢゃないか!!!(泣)