俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

束の間の一人

嫁が実家に帰ってしまった。


なんて書くと「え?結婚してまだ半年も経ってないのに?」「もう夫婦喧嘩?」なんて思われるかもしれない。


が、実は単にビザの切り替えのため一時帰国しているだけ。

我が韓国人妻にも先日、無事「在留資格認定証」が交付されたので、韓国の大使館で配偶者のビザに切り替える必要があるのだそうだ。

妻の一時帰国は10日間

その間にやりたいことはいくつかある。

一緒に暮らしてまだ2ヶ月足らずなので、これといってストレスがあるわけではないのだが、独身時代とは生活がだいぶ変わったので、あの時代が懐かしくなったりもするのだ。


結婚して何が変わったって、まずなによりも食生活が変わった。

これはもう、エラく変わったな。

朝は妻が作ってくれたおにぎりを会社で頬ばり

昼は妻が作ってくれた弁当

夜はこれまた妻が作ってくれた手料理なので

外食する機会がとんと減った。

イメージ 1


以前は

月:朝抜き、セブン-イレブン弁当、博多ラーメン

火:朝マック松屋、100円ローソン総菜

水:菓子パン、日高屋、マックか富士そば

木:菓子パン、松屋、100円ローソン総菜

金:パン屋、社内食堂、いなげや総菜

土:パン、いなげや弁当、自炊

日:パン、いなげや弁当、自炊


こんな感じだった。

100円ローソンと松屋いなげやをこよなく愛し、質より量、質より手間、野菜より肉、サラダより鶏唐揚げを好んだものだった。

しかし妻と暮らし初めて2ヶ月は、ほとんど妻が作ったモノしか食べていない。

それで別に不満はないのだが、ときどき

「おっ、富士そばに小海老かき揚げそばか・・・」とか、

「あ~、今、松屋のキムチカルビ丼が割引なのか~・・・」

「たまにはつけ麺食いて~な~」

なんて思うこともあるのである。

よってこの10日間ではまず何より、独身時代に楽しんだ「孤独のグルメ」をもう一度味わいたいのだ。

イメージ 2



もう一つやってみたいこと。

それは「妻がいないと寂しい(泣)」を実感することである。



僕の友達にO君という人がいる。

彼は僕と同業者であり、仕事の先輩であり、国際結婚の先輩でもある。

O君の奥さんの国もまた、女性は嫉妬深いことで有名で、夫が浮気をするとポコチンを切ってしまうという「阿部定」事件なんかがよくあったという。

そんな国の奥さんを持っていながらも、好奇心旺盛なO君は奥さんの出張中を見計らって僕をいかがわしい遊びに時々誘ってきたのであった。

そのO君であるが、昨年のクリスマス

当時まだ奥さんが韓国にいて、一人さびしい夜を迎えようとしていた僕を性懲りもなく誘ってきた。

当時僕は入籍を控えていたので丁重にお断りし、おとなしく二人でご飯を食べることになったのだが、彼の口から意外なことばが出たので驚いたのだった。

「今、カミさんが娘を連れて一時帰国中でね~。久しぶりにゆっくり自由を謳歌できるな~なんて思ってたんだけど、2日もすると寂しくなってね~」

とてもあの”人間発電所”の発した台詞とは思えなかった。

と同時に

「いいな~」

「俺もそんな気持ち味わってみたいな~」なんて思うようになったのだ。

イメージ 3


それは結婚前から憧れていたシチュエーションであった。

奥さんのいないところで、酒でも飲みながら奥さんのありがたみをしみじみと感じる。

そんなドラマみたいなシーンを、結婚したらぜひやってみたいと思っていたのだ。


幸せは無くなったときにそのありがたみに気づくものである。

僕も「奥さんがいないと寂しいな~」という気持ちになれるだろうか?

といってもまだ同居2か月なのでまだ早いかな?ともっていたら・・・・・・・・・


奥さんを成田まで見送り、家に帰るといきなりそれを感じてしまったのである。

なんと”家の電気が点いていない”のである!

家が真っ暗なのである。

「ん?それがどうした?」

と思うかもしれない。

が、これが結構こたえるのである。


この2ヶ月、家に帰ると僕がチャイムを押す

家の中から妻が「は~い」と答える声がする

妻が台所の電気をつけるとのぞき窓から光が漏れ、

ほどなく妻が「お帰り~」といいながらドアを開ける。

「ただいま」のチューを軽くいなされ、仕方なく妻のケツにタッチ。

即座に手をはたかれる。


こんな流れができていたのである。

このお出迎えだけで、結婚の幸せはかなり味わえちゃったりしたのである。

それが今、家の電気は消え、嫁は消え、うすら寒さだけが部屋に残っているのである。


おまけに帰りにいなげやで買ってきた弁当を部屋で一人で食べていると、

これがまたシミジミ寂しいのである。

結婚前まで20年近く一人飯を食らい続けてきたので慣れているはずなのに

ほんの2か月幸せを味わっていると、もう長門裕之状態なのである。


「妻より先に死なねば・・・」


なんとなくそんなことを思った一人飯の夜であった・・・・・・・

イメージ 4