2011年はクリスマス3連休なのだそうだ。
23日(金)は天皇誕生日、そして24日、25日は土日、というわけだ。
一人カラオケの店では1時間から2時間待ち
TUTAYAでは1日3本、計9本のDVDを借りている女性も・・・
そして「あたしは一人のほうが気楽だから・・・」と3日間一人で買い物をしたり、飛行機見物をしたりして過ごす女性や
3日間、朝11時から深夜1時までの飲食店バイトをして、カップルの給仕をしていた女性、
さらに「クリスマスは女子会!これはロンリークリスマスを過ごす女性だけができる特権ですよ!」と張り切って女子会に臨み、「男って単純だよね~」「今さらこの歳でカレシ作ったってね~」と男の話ばかりをする21歳の女子大生などなどを密着取材
めざましキャスターたちは上から目線で「クリスマスは恋人と過ごさなきゃ寂しいなんて、固定観念ですからね~」「いろいろな過ごし方があっていいですよね~」なんてフォローをしていたが、
どうみても“かわいそうな”“無理している”女の子の図を表していたような気がする。
ただ、伊藤アナ(だったかな?)が放った
「クリスマスに働いている人がいるから、カップルの人たちも楽しめる」という言葉には説得力があった気がする

さて私はというと、昨年まではクリスマスは一人でずっと過ごしていたのであるが、今年は結婚して初めてのクリスマス。
嫁がセブンイレブンで予約したケーキとチキン、ワインを部屋で食べて終わった。
これだけ聞くと「へ~、いいじゃん」で片づけられるかもしれないが、そんな簡単なもんじゃない。
これは僕も今年初めて知ったのであるが、恋人と過ごすクリスマスにはお金がすごくかかるのだ。
普通の学生カップルでも、デート代、プレゼント代、ホテル代で、5万くらいはかかるという。
で、結婚して初めてクリスマスを迎える僕は、今年のクリスマス、どこへもでかけず、セブンイレブンご飯にもかかわらず、総額約20万円を出費することになった。
嫁は「これは別にプレゼントではない。二人の生活に必要なものだから」と言い張るのだが
僕の落ち込みようは尋常ではなかった。
11月、僕らはお互いに探りを入れていた。
「クリスマスプレゼントは何がいい?」
僕は嫁と付き合うまで女性にプレゼントをしたことがないので、いつもストレートに聞くことにしている。
が、嫁は「ん~・・・ま、クリスマスまでに考えておくわ」とそっけない。
僕にも「プレゼントは何がほしい?」と聞かれたのであるが、これもまた難しい。
僕は自分のお小遣いを削って削って、最大3万円までなら結婚初年の嫁のプレゼント代として使ってもいいと考えているのだが、自分へのプレゼントはやはり道義から言って5000円~1万円ぐらいのものをリクエストするのが常識的ではないかと思ったりする。
で、正直それほど物欲のない僕は、やはり仕事に役立つものがいいだろうという考えに至った。
ちょうど仕事に履いていく革靴のかかとが擦り減ってしまったので、「靴がいい」とリクエストした。
すると「韓国では男性に靴はプレゼントしないもの。その靴を履いて女の人から逃げて行ってしまうと言われている」との理由で却下。
結局僕はクリスマスのプレゼントは「なんでもいい」
嫁のプレゼントは「現金3万円」に落ち着くことになった。
ちなみに、嫁は今年の誕生日のプレゼントも現金3万円だった。
プレゼントが現金と言うのも味気ないが、慣れてしまえばこれはこれで渡す方はプレゼントを選ぶ気苦労から逃れられ、もらう方も自分が好きなものを買うことができるので気楽かもしれない。
が、安心するのは早かった・・・

嫁はボーナスもない僕に「来年は自分でケーキも焼きたい。魚も焼きたい、肉も焼きたい、パンも焼きたい。よってオーブンレンジを買ってくれ」と要求。
いやいや、ちょっと待て。ケーキはセブンイレブンのケーキがすごく旨かったと満足してたし、魚は“クックパー フライパン用ホイル”で今までやってこれた。肉はあなたのパート先の“ミートデリカ”で買えば売り上げに貢献できるし、パンは駅前のお気に入りのパン屋が一番だって言ってただろう?
肉も魚もフライパンで焼けるし、今ある電子レンジで十分じゃないか?
そう主張すると嫁は「今ある電子レンジはオーブン・グリルがない。フライパンで肉や魚を焼くと、中まで火が通らないし、脂っぽくなる。スティーム式のオーブンレンジを買えば、蒸気の熱で中まで火が通る上に、脂を使わないので健康にもいい。あなたのおなかの脂肪にもいい」と反論。
僕がひるんだ隙に「ひいては、オーブンレンジを置くキッチン棚も買う必要がある」と追い打ちをかけてきた。
僕は「今あるドン.キホーテ製、組み立て式金属網棚でもこれまで十分やってこれたのではないか?」と抵抗を試みたが
「今の棚は食器が置けない、米びつが置けない、ゴミ袋が置けない。何より見栄えが悪い。今度おばが韓国から遊びに来て、我が家の視察に訪れる。その際にこんなチープな棚ではおばが日本での生活を心配をする。ひいては国の親が“日本で娘は貧困にあえいでいる”と泣きじゃくるかもしれない」
最初は3万円程度のオーブンを大人しく見ていた嫁であるが、店員さんの“身の厚い魚を焼くならこの上のランクでないと・・・」「二つの皿を同時に温めるならセンサー付きでないと・・・」「ケーキを焼くなら加熱の強い方じゃないと・・・」という話を聞くうちに見る見るうちに目がギラギラとしてきて、次第に大型のスティームオーブンレンジのほうへと移動。
さらに嫁が8万円台のオーブンへ移動するのを必至にディフェンスし、結局6万円弱のもので決着。
嫁は腹いせとばかりに1万3千円のアイロンを追加購入し、その日の買い物は終わったのであった。
嫁は腹いせとばかりに1万3千円のアイロンを追加購入し、その日の買い物は終わったのであった。
しかしその4日後のクリスマスにはイトーヨーカドー及びHOMES葛西店へ乗り込む嫁。(と僕)
クリスマスのデパート・ホームセンターは幸せそうな家族の顔であふれていた。
小さな子供たちが抱えきれないほど大きなプレゼントを抱え、その横で、中国の富裕層みたいな顔をした恰幅のいいお父さんが満面の笑みを浮かべていた。
嫁は「必ずキッチンボード(食器棚)をゲットする」という強い決意を顔を浮かべ、HOMESへ。
僕は戦々恐々としながら嫁の後をついていく。
嫁は当初、2万円弱の棚に目をつけていた。
この商品は自分で組み立てないといけないのだが、すっきりと細長いボティは洗練されていてカッコいい。
何よりも値段がスマートでいい。ぜひこれに決めてほしい!
そう思って嫁の顔を伺うのだが、その棚は嫁が求める収納力を備えていないことが判明。
嫁は無言でキッチンボードコーナーの奥へ奥へと歩を進めた。
一番奥にあるのは、一戸建てのキッチンに置くような立派なやつばかりだ。
我が2Kのアパートには不相応すぎる。
嫁は我がアパートのキッチンにギリギリ入る棚を吟味。
僕は大きさよりも値札の額を凝視。
嫁はそのコーナーで一番安価な4万円弱の棚に目をつけたのであるが、その程度の棚では、先日買ったオーブンレンジが入らないことが判明。
店員さんが「スチーム式のレンジを置くには、これくらいはないと・・・」「こちらの棚は表面を特殊加工をしていまして、お掃除がとても楽に・・・」「こちらは引き出しも奥行きが広くなっていまして、大きな皿も・・・」と追い打ちをかけると、嫁の顔が見る見るうちに気色ばむ。
結局6万円の棚が電子レンジが入る棚の中での最安値ということがわかった。
のだが・・・なかなか首が縦に振れない。
だって、6万円の棚って・・・・
嫁と店員が「早く“うん”と言えや・・・」という目で僕を見、3人の沈黙の時間が流れた・・・・
もはや逃げることはできぬと覚悟し、僕は泣く泣くクレジットカードを差し出した。
冷蔵庫、エアコン、テレビ、洗濯機の10回ローンがやっと終わると思ったのに、
来年もまたローン地獄
来年は仕事が減り、収入が減ることと、健康保険・税金が上がることがわかっている。
本当に泣きそうになった。
こういう時にケチらずお金を出せたらどんなにカッコいいだろう・・・
「二人の生活に必要なものだからね!いいものを買わないと後々後悔するよ!」なんて言えたら、どんなに男前だろう・・・・
今の僕は女性から見たら格好悪いだろうなあということは、痛いほどわかっている。
ケチな男ほどカッコ悪いものはない。
ましてや、オーブンレンジや棚も、嫁のためではなく、家族のためなのだ。
それはもうわかっているのだが、染みついた貧乏性がどうしても抜け切れない。
帰り道、僕は本当にショックで泣きそうになり、本気でヘコんで嫁を心配させてしまった。
なんとも情けない夫なのだった。
働けど働けど、なほ我が暮らし楽にならず じっと手を見る・・・
