俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

ディズニーにハマられる

嫁がディズニーリゾートにハマりかけている。

先月、妹とディズニーランドに行く前までは、「行ってみたいな~」とは言っていたがそれほど熱は高くなかったように思う。

が、初めて足を踏み入れたディズニーランドは想像以上におもしろかったらしく、スマホで写真やムービーを撮りまくり、ポップコーンやチキンを食べまくり、おみやげも買いまくり、家に帰ってからも興奮冷めやまぬ様子でディズニーランドのすばらしさを語り続けた。

僕はテレビを横目で見つつ適当に話を聞き流していたのだが、嫁はディズニーランドがいかにテンションがあがる場所かを延々と語り、「みんな帽子やら、鞄やら、ミッキーの耳やら、ディズニーグッズで身を固めていたのに、それをしていかなかったのは一生の不覚!今度行くときは必ず・・・・」と早くも次の来園のことを口に出したので、とっさに「飯はまだ?」と話を切り上げ、その場をしのぐことにした。

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その後もことあるごとに「今度はディズニーシーへ行きたい」「死ぬ前に一度は行きたい」「東京に直下型大地震が来る前に行かねば」みたいなことをつぶやいていたが、適当に受け流していると、嫁はパート仲間や兄嫁、僕の母親らにも「行かないか行かないか」と声をかけはじめた。

そしてついに従姉妹が「行ってもよい」と承知してくれたのを幸いに、今月、早くもディズニーシーへ行くことになったのである。

ちなみに僕は1985年、中学3年生の時の卒業旅行で東京ディズニーランドに行ったことがあるが、特に楽しい思い出もなく、その1週間前に友だち数人と服を買いに行ったときがピークだったのを覚えている。

しかも、中学三年生の男子にしては、少々キメすぎてしまったらしく、女子からの少なからぬ嘲笑を受けながらの初ディズニーであり、”夢の国で現実を知る”という苦い経験をしたからか、その後25年近くもディズニーとは距離を置いているのである。

だから嫁が従姉妹と二人で行ってくれるのは僕にとってはありがたいことなのだ。

が、そこで一筋縄で行かないのが我が嫁

「当日チケットを買うのは、並ぶ時間がもったいない。コンビニでチケットを予約しても当日入り口で本券と換えなければならない。ディズニーストアで事前にワンデイ・パスポートを購入しておくのが手間が少なくて便利だ」

などという。

僕「ふむ。で、そのディズニーストアとやらはどこにある?」

妻「新宿高島屋にあるらしい。あなたの仕事場からまことに近い。」

僕「ふむ。確かに。で?」

妻「うむ。買ってきてくれ。」

僕「誰が?」

妻「あんたが」

僕「なにを?」

妻「チケットを」

僕「お金は?」

妻「チケット代6200円は私が出す。その代わり、臨時お小遣い1万円くれ」

僕「・・・・チケット代、生活費から出せば?」

妻「いや、あんたのお小遣いからぜひ出してほしい」

僕「・・・」

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で、僕は高島屋タイムズスクウェアの9階にいるのだが、このディズニーストアというやつは、なんともメルヘンな店なのである。

ぬいぐるみやら、ステッカーやら、ディズニーのおなじみのキャラクターグッズがところ狭しと並んでおり、ファンにはたまらない場所である。

夢の国、新宿支店、みたいなファンシーな場所で、僕としては一刻も早くこの場を離れたい。

とりあえずレジの横にあるチケットカウンターに並ぶ。

僕の前には2組カップル、後ろにもカップル、その後ろは子供を連れたお母さん

この時初めて「背広に身を固めたおっさん(つまり僕)}が、ここではけっこうな場違いであることに気づいた。

しかもカップルは当然チケットを2枚ずつ買うし、親子連れでも3枚は買うだろう。

僕はチケット1枚なのである。

嫁の従姉妹は自分でチケットを用意したらしく、僕は嫁の分、1枚を買えばよいのである。

が、このままカウンターで「ワンデイ・パスポート、大人1枚」なんて言おうものなら、明らかに頭のおかしいファンシーなおっさんである。

後ろのカップルから「あのオジサン、一人でディズニーランドに行くみたいよ」なんて指さされ、しまいにはケータイで写真を撮られてtwitterで「新宿のディズニーストアで気持ち悪いおっさん発見!」みたいにつぶやかれるかもしれない。

が、見栄を張って「大人2枚」なんて言ってしまえば、独身時代によくやった後悔を繰り返すことになる。

これはお遣いなのだ。自分のチケットではないのだ。だから恥ずかしくないのだ!

そう自分に言い聞かせて、「ワンデー・パスポートをば、1枚くだされ・・・」とカウンターのお姉さんに告げた。

するとお姉さんは「はい。プレゼントですか?」などと言う。

「チケット1枚、プレゼントするやつなんているのか?」と思わなくもないのだが、受付のお姉さんの「まさか、このおじさんが一人で行くわけないわよね。きっと娘さんへのプレゼントね」という気遣いを利用しない手はない。

これ幸いとばかりに「はい、プレゼントです」と告げると、お姉さんはレシートほどの小さな1枚のチケットをたいそうな封筒に入れてくれ、かわいらしいキャラクターの袋に入れた上に、プレゼント用のシールで封をしてくれたのであった。

僕はチケットをバックの中に恭しくいれ、その場を去った。

これで嫁は従姉妹とディズニーシーを楽しむことができる。

夢の国へ行っても、無邪気にはしゃぐことができない夫と行くよりは、楽しい時間を過ごすことができるだろう。

僕はそのまま銀行のATMへ向かい、なけなしの小遣いの中から愛する妻への上納金を下ろすのであった。

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