俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

ある意味、洗脳?

後輩「先輩、ちょっと相談があるんですが・・・」

先輩「おう、どうした?」

後輩「実は、この年になって、なんなんですけど・・・」

先輩「なに?どうしたんだよ?『ワンピース』にでもはまったか?」

後輩「いや~、もしかしたらそれよりタチが悪いかもしれません・・・」

先輩「なんなの?美少女アニメ、とか?」

後輩「あの~、実はアイドルを応援しようと思って・・・」

先輩「・・・お前、いくつ?」

後輩「・・・今年、46歳っす」

先輩「なんでまた急に?」

後輩「ま、娘と話を合わせるためにも・・・ま、ちょっとでも勉強しておこうかと」

先輩「娘さんは女性アイドルが好きなの?嵐とかKAT-TUNとかじゃなくて?」

後輩「ええ、なんか、女の子がたくさん集まってるやつにはまってるみたいです」

先輩「そうか・・・お前も大変だな。で、お嬢さんはどんなグループにハマってるんだ?」

後輩「それがよくわからないんですよ。僕、今までアイドルなんて気にしたことないし・・・」

先輩「そうだな。お前は昔から格闘技ばっかりだもんな。」

後輩「で、未だにアイドルを追いかけてる独身の先輩なら詳しいかと思って・・・」

先輩「・・・独身は余計だけどな。ま、とりあえずAKBあたりから行ったらどうだ?」

後輩「ああ、それならちょっとはわかるかも。テレビとかいっぱい出てるし」

先輩「メジャーだしね。しかも最近の活動はグローバルだ。中国との親善大使も務めてる。」

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後輩「あれ?この人たち、AKBですか?」

先輩「AKBだよ。どうした?」

後輩「なんか、テレビで見たのと違うような・・・」

先輩「それはその~~・・・なんだ。テレビにあまり映らないような子たちがたまたま中国に行ったんだよ」

後輩「・・・一人も知らないんですけど?」

先輩「・・・ま、あれだ。主要メンバーは忙しいから」

後輩「補欠を親善大使に行かせた、と?」

先輩「いや、補欠もレギュラーもないよ。みんなAKBの正式なメンバーなんだから」

後輩「中国の人も文句言わなかったんですかね?」

先輩「・・・・わからなかったんだろう・・・。女の子がたくさんいればAKBみたいな?」

後輩「でも、あれですね。AKBって、名前と顔を知らない頃はかわいく見えましたけど、最近、なんかしらないですけど・・・」

先輩「・・・ま、あれだ。10代の頃の顔って、ぼやっとしてるもんだから」

後輩「ぼやっとしてたらなんとなく若さだけで乗り切れますけど・・・」

先輩「・・・若い子がいっぱいいる、だけでね・・・かわいく見えるみたいな・・・」

後輩「20代ともなると目鼻立ちもはっきりしちゃって、いろいろ見えちゃいけないものも見えてきたような・・・」

先輩「・・・それは俺もうすうす気づいてたけど・・・触れないようにしてたんだから」

後輩「・・・」

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先輩「ああ、じゃあ、まだ10代のメンバーもいるから、そいつを応援したらどうだ?」

後輩「ああ、そうですね。たとえば?」

先輩「あの子なんてどうだ?もともとモデルだったのが心機一転、AKBの研究生になって、未来のエース候補って言われてるんだ」

後輩「へ~すごいっすね~」

先輩「まだ世紀メンバーじゃないのにグラビアに単独で載ったり、『行列のできる法律相談所』に単独でゲスト出演したり・・・・もしかしたらいきなり選抜メンバーとして歌うかもって言われてるんだよ」

後輩「凄い子なんですね~、どの子ですか?」

先輩「この子、この子」

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後輩「・・・・小室哲哉の娘さん?」

先輩「ちがうわ!」

後輩「もしくは拒食症のうさぎ、みたいな・・・」

先輩「失礼なことを言うな!期待の新人なんだぞ!」

後輩「なぜ彼女に期待を?」

先輩「・・・・ま、秋元Pがスター性を感じたんだろう?」

後輩「スター性・・・」

先輩「ま、あれだ。秋元康は先見の明があるからね。AKBの前田敦子も最初は”なんであの子がセンター?”みたいに言われたけど、今は押しも押されぬ絶対的エースだ」

後輩「・・・絶対的エース・・・」

先輩「そうだよ。ソロでも歌えるし、ドラマや映画の主演もしてるし・・・」

後輩「・・・つまり、メンバーもファンも認める、才能あふれるスターだと?」

先輩「・・・うん、まあね」

後輩「一般的に見てもアイドルの中のアイドルだと?」

先輩「・・・ま、今やそうなってる・・・そういうことになってるんだよ。」

後輩「・・・・・」

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先輩「あ、じゃあ、AKBじゃなくて、乃木坂46はどうだ?」

後輩「なんですか?それ?」

先輩「AKBの公式ライバルだよ」

後輩「公式ライバル?」

先輩「そう。ほら、女性アイドルグループって、やっぱりみんな打倒AKBみたいになってるけど、そいつらは自称ライバルっつーか、ま、そこまでもいってないけど、乃木坂は公式なライバルだから」

後輩「公式って、だれが決めたんですか?」

先輩「秋元康だよ。AKBのプロデューサー」

後輩「ああ、あいつらは手ごわい、みたいに感じたんですかね」

先輩「・・・というか、秋元プロデュースだからね」

後輩「それじゃ、他のグループ(SKE、NMB、HKT)と変わらないんじゃ・・・」

先輩「ん~・・・なんだ、あの~SKEとかNMB姉妹グループ。だから仲間で、乃木坂はライバル、みたいな」

後輩「ふ~ん・・・じゃあ、歌や踊りの実力がAKBをおびやかす、みたいな?それとも国民的美少女みたいなかわいい子ばかり集めた、みたいな?」

先輩「ん~~・・・この子たちだ」

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後輩「・・・・・真ん中にいるってことは、この子が・・・」

先輩「わかる。お前の言いたいことはわかるから、みなまで言うな」

後輩「これはその~あの~・・・なんか人気投票で決めた感じですか?」

先輩「秋元Pの判断だと思うけど・・・」

後輩「・・・・その・・・スター性を見出した・・・とか?」

先輩「・・・・あ、そういえば、ほら、AKBも”クラスで10番目にかわいい子を集めた”みたいなことを言ってたし、AKBの前田敦子も、”普通の子だから”みたいな感じで選んだって言ってたよ」

後輩「つまり、ぱっと見てすぐ美少女だとわかる子じゃなくて、あえて普通っぽい子を選んだと」

先輩「そうそう。おニャン子クラブだって、近所のきれいなお姉さんとか、クラスに一人はいそうな美少女を基準に選んだみたいだったし、なんかその、近寄りがたい美人より、親しみやすい”アレ”を選んだんじゃないかな?」

後輩「ああ、ブス」

先輩「はっきり言うな。じゃなくて、普通っぽい子のほうが、たくさんの人の共感を得られるとうか、好みの共通項にあてはまるというか」

後輩「でもスター性とは真逆じゃ・・・」

先輩「いや、今は普通に見えても、これが大化けするんだよ!たぶんだけど」

後輩「・・・つまり、将来スターになるから、今のうちこのブサイ子を応援しておけ、と」

先輩「だからはっきり言うなって!」

後輩「なんで泣いてるんですか」

先輩「泣いてねーよ。涙は心の汗なんだよ!」

後輩「なんか、秋元康の好みに世間が付き合わされてるんじゃ・・・」

先輩「そんなわけ・・・・・ないだろ」

後輩「だって、だれがどうみたってかわいくないのに、秋元康が推すからって・・・」

先輩「いいんだよ。秋元康は天才なんだから!ヒットメーカーなんだから!人と社会とオタクの心を見抜く力があるんだから!秋元康が推すものを支持しとけば間違いなんだって!」

後輩「先輩、変な霊媒師と同居してます?」

先輩「オセロの中島か!」

後輩「もしくは電通あたりに知り合いが・・・」

先輩「いねーよ!秋元康はきれいな奥さん選んだんだから、やっぱり個人的な好みじゃなくてファンがつきやすい子を選んでるんだよ」

後輩「自分はきれいな嫁さんを、ファンには醜いアイドルを」

先輩「みにくいって言うな!一生懸命応援している人もいるんだお!」

後輩「先輩がAKBとか乃木坂のセンターと結婚できたらすごいっすね~。逆玉の輿みたいな」

先輩「できるわけねえけど」

後輩「でもあれが嫁か~・・・この子を美少女と信じるなんて、ある意味ライアーゲーム・・・」

先輩「なんでだよ!」

後輩「秋元康もきれいな奥さんを横にして笑ってるだろうな。『あ~引っかかった!』みたいな」

先輩「言うか!」

後輩「先輩も後悔したりして・・・”あ、痛かった・・・かもしれない”なんて・・・」

先輩「いい加減にしろ!」

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