俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

もんぺ敦子

週末。僕は仕事がないので少し遅めに起きる。

そしてわが嫁は近所のスーパーにパートにでかけるため、せわしなく朝の支度を始める。

髪をとかしては「どう?前髪、決まってる?」と尋ね、

パジャマを脱いでウエストを触っては「どう?やせた?」と尋ねる。

僕は寝起き15分は目が開かない状態なのでよく見えないのだが、とりあえず「うん、大丈夫」と答える。


そもそも、起きてすぐ前髪を整えたって、この後、顔を洗ったり服を着替えたりしている間にくずれるのだし、

エストだって朝食後には変わってしまうだろう。

が、嫁は質問攻めはこれだけでは終わらない。

タイツを履いては「どう?」

シャツを着ては「どう?」

カーディガンを羽織って「どう?」

化粧をして「どう?」

髪を全部セットしては「決まってる?」

コートを着ては「大丈夫?」

そして最後に「あたし、きれい?かわいい?」


おそらく口裂け女でもここまでしつこく聞いては来ないと思うが、

僕の返事はいつも「うん、大丈夫」だ。


結婚当初は「そうだね、上はもっと明るい色のほうがいいんじゃない?」なんて真剣にコーディネートを考えて答えたこともあった。

「え~、それは変だよ~」と反対したこともあった。

が、僕がどんなに提案をしようと反対しようと、結局は「やっぱりこっちにするわ」と自分が選んだものに落ち着くことがわかったのだ。

そういえば僕の結婚生活バイブル『話を聞かない男と地図が読めない女』にも

”妻が洋服のコーディネートを尋ねてきても、実はすでに妻の頭の中では答えは決まっている”

”妻は単に「これでいい」という確証を得たいだけだ”

”したがって、妻のコーディネートを褒めるだけでよい”

と書いてあった。

だから僕は最近では嫁にコーディネーターについて尋ねられたら

「うん、いいんじゃない」「大丈夫!似合ってる」と答えるようにしているのだ。

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話は変わるが、最近、テレビのCMでg.uの”ゆるパン”をよく宣伝している。

あのAKB48前田敦子ががんばってポーズをとっているあのCMだ。



なんとも似た者同士。


僕が板野友美なら「あっちゃんって、g.uのイメージキャラクターなんだ~(笑)あたしサマンサタバサ」と嘲笑し

僕が武井咲なら「へ~前田さんってg.uのイメキャラになったんですか。さすがAKBのエースですね。よくお似合いですよ。え?あたしですか?あたしはGUCCIですけど、事務所の力ですから(笑)あたしなんて全然!」と上から目線でバカにするだろう。


で、そんなg.uの”ゆるパン”のCMを見ているうちに、なぜかわが嫁もそれをほしがり出した。

妻は今月のお小遣いはもう使い切っているはずなのだが、来月分の小遣いを前借してでも買いたいという。

そこまでの品か?

で、今日、近くのダイエー三階にあるg.uに行ってきたんだけど・・・これがまた実物がどえらいチープなパンツなのだ。

990円という安さなのでしょうがないのだろうが、記事が薄くてガラもまた趣味が悪い。

が、わが嫁は「あ!これかわいい!」と目をキラキラさせ、

試着をしては「すごい!楽!まるで履いてないみたい!」と大阪のおばちゃんのようにはしゃぎだす。

結局5000円分のお買いものとなったのだが、g.uで5000円っていうのは結構なアイテム数である。

ま、自分のお小遣いで買う分には構わないし、

高いブランドに興味を持たないのは非常にありがたいのだけれど、

さすがに「見て見て見て!いいでしょー!これ~~!」と訊かれたときだけはコメントに困った。

だって、

どっからどう見ても”もんぺ”なんだもん!


でもとりあえず僕の答えは

「うん、いいんじゃない?・・・」

我が家が平和なら

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