俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

やっと笑えた堀内健

堀内健が苦手である。

お笑いトリオ「ネプチューン」の堀内健

説明が面倒なので、wikipediaから彼の特徴を引用させてもらうと


・童顔と甲高い笑い声が特徴。

・芸人仲間からは、実生活においてもテレビに出ている時と同様に自由奔放な性格そのままであることが語られている。

・10年来の友人である土田晃之は「テレビに出演している時と全く一緒で欝陶しい」と語り、東野幸治も「永遠の少年」や「ピーターパン」という異名を付けている。

・子供の様にはしゃぎながら全身をバタつかせ、脈絡も無い流れで往年のヒット曲の替え歌や有名コマーシャル内のワンフレーズに乗せて一発ギャグを披露する

・周囲の空気を引かせてそれを笑いにするのではなく、周囲が引こうが番組進行が止まろうが、全くお構いなしにやりたいネタはやりきるというスタイルである。

・堀内にとってギャグをすることの目的は、笑いをとることではなく、ギャグを披露する事自体であるとも言える。

・『ホリペイ』において共演者の有田哲平から堀内のギャグはほとんど、事前に熟考したものをネタ帳にリストアップしていて、それらを本番で披露している事実を暴露される。

・ツッコミ役の芸人が配置されていないと、堀内のやりたい放題を誰も止められず番組がグダグダになることがよくあり、「ホリケンワールド」と称される。

(以上、wikipediaより)

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で、僕は日本テレビ『しゃべくり007』や『ナニコレ珍百景』などで、ホリケンがすべっているのを数多く見ているのだが

「なんで周りの人は彼を放っておくのだろう?」

といつも不思議に思っていた。


彼のやることは、本当につまらないのである。

無計画で、オチがなく、ほぼ100%グダグダに終わるのである。


なのに、彼の周りにいる くりぃむしちゅーネプチューンのメンバーは彼に異様に優しいのである。

まるで従弟のお兄さんのように、優しく彼の暴走を受け止めているのである。

彼が障害をもつ子供で、そこ(テレビ番組)が養護施設ならわかる。

それなら僕らも温かい目で見守ろう。

が、テレビの世界はそうではない。

だからホリケンの行為は、少なくとも”しゃべくりメンバー”以外の共演者を凍りつかせる。

芸人仲間はもちろん、大御所芸人、バラエティアイドル、アナウンサー、女優、全ての共演者を困惑させる。


そして視聴者もまたホリケンが前に出てくるたびに

「あ~・・・あいつが出てくるとつまんねーんだよな~」

「何やりたいんだろうね?」

「時間を使う割にはオチもないしな~・・・だれか止めりゃあいいのに・・・」


しかし、芸人仲間はあくまで彼に優しい。

しまいにはテレビ朝日系『アメトーーーク』では「ホリケンほっとけない芸人」まで組まれる始末。

つまり芸人仲間にとっては彼は「放っておけないかわいい存在」なのである。

ふ~~ん・・・

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と、このように僕はこれまでホリケンで一度も笑ったことはなかったのであるが、

先日、腹を抱えて笑ってしまった番組がある。

それが日本テレビ『ホリケンふれあい旅 にんげんっていいな』である。

これが爆裂におもしろかった。


我が家のDVDは『アメトーーーク』を毎週録画にしているのだがその日は放送がなかった。

その代わりに単発で放送されたのが『~にんげんっていいな』であり、僕も偶然録画されてしまったのを観ただけなのであるが、

本当に久々に腹を抱えて笑った。

そして初めて堀内健の魅力がわかったのである。


この番組は、堀内健が日本全国の良いところを紹介するロケ番組

堀内健が一人でロケをする様子をスタジオゲスト(いわゆるホリケンほっとけない芸人)と共に見るのであるが、彼のあまりの自由すぎるロケに半ばあきれ、やがて大笑いしてしまうのである。


四国では、讃岐うどんやで隣りに座った青年のうどんを「一口いいですか?」と言ってすべて食ってしまう。

ミカン狩りに来ていたおばちゃんとは手遊びに興じ、ミカン農園のおじさんに口に勝手にミカンを放り込む。

千葉ではシシャ売りのおばちゃんと口げんかをはじめ、日向ぼっこをしているおじちゃんとはいきなりチャンバラごっこ

海鮮市場のおばちゃんを抱き上げて遊んだり、バスツアーに来ていたおばちゃんを仕切り始めたり…。

九州の動物園ではホワイトライオンの赤ちゃんと戯れているおじさんをかわいがり、ラマにエサをやっている女子大生の口に草を与える。


とにかく自由。

そして失礼。

無邪気で、なんともばかばかしい。


一言で言うなら、本当に”子ども”なのである。


が、子供にジャレつかれて、怒れる大人がいるだろうか?

「まったくしょうがない子だねぇ・・・」

「本当にいたずらなんだから」

「子供ってバカだよなぁ」

そう言って、笑ってあきれるしかないではないか。

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実際には怒り出す人もいて、スタッフが謝罪をするようなこともあるらしいが、

だいたいの大人はホリケンを笑って許してくれる。

おそらく僕がからまれても、その場は笑ってやりすごすしかない。

だって、相手は子供なんだもん。

しょうがない。


そしてこのレポーターぶりは、決して他の人にはまねができないのである。

レポートが上手いと言われる人のほとんどは

「さわやかな笑顔」

「表現力豊かで、抒情的な描写」

「大げさリアクション」

「温かい人柄」

を兼ね備えている。

例えば食レポの名人、ホンジャマカの石塚さん

彼は誰からも愛されるキャラクターで、彼がロケで訪れた場所には人が集まり笑顔にあふれる。

彼は決して人に毒を吐かないし、喧嘩を売らない。

もちろんいたずらなんかしないし、敵を作らない。

彼が取る笑いは人を傷つけるものではなく、ほとんどが自らの体型に依るものが多い。


しかしホリケンは違う。

ホリケンが素人にしかける行為は、見ている人を冷や冷やさせる。

顔見知りはおろか、家族や友達でもあまりしないくらいの距離感、密着感だ。

「あんなことして、怒られないか?」と、最初は見ているこちらが心配になる。

普通の人なら、ある程度相手を見て様子を伺いながら近づくものだ。

が、警戒しながら近づかれると、逆に警戒するのが人間の性でもある。


だから普通のレポーターはにこやかに近づき、穏やかに話をし、愛想を振りまく。

一方、ホリケンは一気に相手のプライベート空間に踏み込む。

相手の懐に飛び込んでしまう。

だから受け入れる側も、見ている側もまずビビる。

「な、なんだこいつ??」と。

しかしそのタイミングと、当りの強さが絶妙なのだ。

それこそ武道の達人が”先の先”を取るような感じだ。

相手が身構える前にすっと相手に近づいてにこやかに握手をしてしまい、相手の殺気を消してしまう。

相手はすっかり敵意をなくしてしまい、あっさり受け入れてしまう。


その意外な動き、意外な反応に、見ているものはつい頬が緩む。

「え~!なんでそうなるの?」

「なんでそんなことできちゃうの?」

「あんなことできるのホリケンだけだよ。ホリケンじゃなかったらみんな怒ってるよ。すげぇな!」

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ただ一つ残念なのは、

ホリケンがおもしろすぎて、ロケで紹介したものがまったく頭に入らないことである。

これはレポーターとしては致命傷である。

ま、それでも4半期に1回は観たいな、ホリケンのロケ