俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

優しく教えるのは難しい・・・

ここ最近、在宅勤務ということもあり、時間がある時に小学校1年生の息子の勉強をみてやっているのだが、つくづく”優しく教える”のは難しいと感じる。

僕も一応は20年以上経歴のある教育者のはしくれだし、やさしくわかりやすく教えることには自信がある。が、息子のあまりの頓珍漢ぶりに気が付くと声を荒げている。

「いかんいかん」と自分を戒め、深呼吸をし、また落ち着いて息子のつまづいているところを考えてもう一度チャレンジするのだが、その呑み込みの遅さに驚く毎日である。

よくテレビやネットなどで子供の勉強を見ながら厳しく叱ってい母親なんかを観て「あ~あ、あんなに怒っても子供が委縮するだけだよ。もっと子供の疑問に寄り添ってやらないと」なんて思っていたが・・・確かにあまりに理解してくれないと・・・ね?

教育ママ】小学生の子供に、習い事ばかりさせた私の失敗例 | それがブラジル!それがブラジル!

 

僕は昨年くらいから在宅勤務が多くなった。

息子は今年小学校に上がったというのに学校に登校できたのは1か月ほどで、あとはずっとオンライン授業だった。7歳の子に1日40分×4~5回のオンラインレッスンは辛かろうな、集中力が続かないだろうなと今でも可哀そうに思う。友だちと教え合ったり、友達のやり方を見て刺激を受けたりすることができないのである。勉強の楽しさ、学校の楽しさをほとんど味わえていないのに教科書はどんどん進む。そんな息子に対し今、厳しく言うのは酷だなと思う。

僕は僕で普段はオンラインでレッスンをする側なので、書斎でパソコンの画面に向かっている。居間からは妻が息子を叱る声が聞こえてくる。「あ~あ~、可哀そうに。そんな頭ごなしに怒鳴りつけなくても・・・。」と心の中で思う。息子はまだ勉強の仕方もわからないし、座って授業を受けるのにも慣れていない。だが妻は真面目に授業を受けない息子にイライラし、授業後の宿題や課題が全然できない息子に愕然とし、教えても全く頓珍漢な答えを返してくる息子に雷を落とす。まあ妻はプロの教員ではないからな、教える技術がないのは仕方がない。息子も勉強が嫌いにならなきゃいいが・・・。

そんな時、妻が急に2週間ほど帰省をしなければならなくなり、僕が在宅勤務の傍ら息子の面倒を見ることになった。息子の授業中、ずっとつきっきりというわけにはいかないが、折を見てネットをつないであげたり、時間の準備を手伝ってあげたりすることは物理的には問題はない。時間がある時に勉強を教えてあげることもできるだろう。僕は息子の学校の先生より経験があるし、わかりやすく教えることには自信がある!息子があまりに急に勉強ができるようになっちゃって、学校の先生がびっくりしちゃうかもしれないな!なんて考えながら子供の勉強を見たときに事件が起きた。

息子は勉強が大の苦手で、ひらがな・カタカナもめちゃくちゃな書き方だし、足し算・引き算も出だしで大いにつまづいていた。指を折って数えさせようとしても指が1本ずつ順番に折れないのだ!1年生くらいだとこういうこともあるのか?

僕は息子のできなさ加減に最初は愕然としたものの、毎日マンツーマンで読み書き・計算を見てあげられたのでここはプロの技術で少しずつ定着させることができた。息子がこれほどできないのはオンライン授業が原因の1つと言っていいかもしれないが、学校のクラス授業ではできない子一人一人に十分な時間を取ってあげることはできない。マンツーマンで時間をかけて、子供の理解できるペースに合わせてじっくり教えてあげられるのはやはり家庭学習しかないと思う。これは息子にとってもクラスに追いつけるチャンス、僕にとっても子供とコミュニケーションが取れて、父親の株を上げるチャンスかもしれない。(ちなみに息子は同年代の子とコミュニケーションを取ることも苦手で、オンライン授業では友達と会話をしたり、わかりやすく説明したり、他の子に質問したりするのがほぼほぼできない。しかしこれは親からの遺伝が原因)

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そしてそれは息子にカレンダーの読み方を教えてあげている時だった。

息子は未だに自分の誕生日も言えないし、今日が何曜日かもわからない。だから子供用の、ひらがなで読み方のついたカレンダーをリビングに貼ってカレンダーの読み方を教えることにしたのだ。

 

父「1月、2月、3月って順番に言える?」

子「言えるよ。きのうもやったし。いちがつ、にがつ、さんがつ、よんがつ・・・」

父「”しがつ”ね。もう一回1月から!」

子「え~。しょうがないなぁ。いちがつ、にがつ、さんがつ、よんがつ・・・」

(このやりとりがもう2回繰り返される)

父「じゃ、ついたち、ふつか、みっか・・・これは難しいから、カレンダーのひらがな読んで」

子「ついたち、ふつか、みっか、よっか、いっか、むっか、なのか、よっか・・・」

父「よく見て読んで。もう1回!」

子「え~、しょうがないなぁ。ついたち、ふつか、みっか・・・」

父「じゃ、げつようび、かようび、のところも読んで」

子「え~、しょうがないなぁ。げつようび、かようび、すいようび・・・」

父「今日は何月?」

子「え?14日?」

父「ううん。今日は何月?」

子「・・・14にち?」

父「ちがうちがう。”なんがつ”? 1月、2月で答えるんだよ」

子「1月、2月、3月、4月・・・」

父「じゃなくて、今日は何月?」

子「?」

父「今日は何月?わからない?」

子「・・・うん」

父「(まじ?)これ、この紙は全部1月、この紙は全部2月、これ3月、で、今日はここでしょ?何月?」

子「・・・14日?」

もうここまでくるとさすがに冷静さが保てなくなっている。

父「”なんがつ?”って聞かれたら”がつ”で答えるの!今は9月!じゃ、今日は何日?」

子「・・・14日?」

父「そう!なんようび?」

子「・・・じゅうよんにち?」

父「なんでそうなるんだよ!”なんようび”?」

子「・・・9月・・・じゅ」

父「”なんようび”って聞いてんの!”なんようび”って聞かれたら月曜日、火曜日、水曜日で答えるの!」

子「(涙目)・・・」

父「なんようび?」

子「・・・わからない・・・」

 

いや、これでも僕、20年以上キャリアのある教育者なんですよ。

子どもが目で見てわかるようにいろいろ準備して視覚化して、流れの中でわかるように練習した上で質問して、ヒントを出して出しまくって・・・これ以上ないってくらいやさしい質問をしているんですよ?おそらく学校の先生はここまで付き合ってはくれないんですよ。

もしかしたら他の教育評論家は僕のやり方を見て「いやいやお父さん、そんなに大声を出したらお子さんが委縮してしまって本来の力が出せませんよ。勉強は楽しいものだって思わせなきゃ」なんてしたり顔で言うかもしれない。

いや、やってみろや!

自分の子があまりにできなかったらそりゃ声も荒げるっつーの。もしかしたら親子だからこうなってしまうのかもしれない。他人の子だったらもう少し冷静になれたかもしれない。

まあ、僕は今のところ子供に手を上げたりはしていないし、モンスターペアレントでも教育パパでもないとは思っているけど・・・僕を含め、まじめな親ほどその予備軍なのかもしれない。子供に優しく勉強を教えるのは本当に難しい。冷静さを保つのが本当に難しい。今度妻が息子を叱っていたらどっちにも同情しよう。街中で親が子を叱っている場面を見かけたらどちらにも「わかる・・・辛いよな・・・思うようにいかないんだよな」と心の中で泣いてあげよう。

 

ちなみに僕の好きなMr.Childrenの曲で『横断歩道を渡る人たち』という歌がある。最後はこの歌でお別れ。

イライラした母親は物分りの悪い息子の手を引っ張って~
「もう何個も持っているでしょ」と、おもちゃの前で声を上げてる
ほしがってるのは愛情で 拒んでるも我慢を教えるための愛情で
人目も気にせず泣いて怒って その親子は愛し合っているんだ
ああ、横断歩道を渡る人たち 僕はフロントガラス越しに見ている
昨日の僕が 明日の僕が 今、目の前を通り過ぎてゆく~♪
昨日の僕が 明日の僕が 今、目の前を通り過ぎてゆ~く♪
 
(上の歌詞は2分20秒くらいから)