俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

中央線の女子高生

先日、電車できれいな人にあった。

僕の真横に立ったその女性。

年の頃、20代中盤。

すらっと背が高く、黒のスーツでバシッと決めている。

篠原涼子伊東美咲を思わせるビジネスウーマンで、窓の外をまっすぐ見つめる端正な顔立ちは凛としている。

「朝からいい目の保養になるな」とチラ見をしていると、つり革をつかむその手に釘付けになった。



「5000円」



その女性の、その細くて白い手首、そして可憐な手の平。

つり革を優しく包むようにつかんだ、その手の平にペンで書かれた”5000円”。


飲み会の集金を忘れないようにということだろうか?友達に借りたお金を返すのだろうか?それともその女性自体が本当に5000円で相手をしてくれるのだろうか?


というか、いまどき手の平にメモする大人の女性っているだろうか?


その外見の美しさと、ちょい天然のギャップが男ゴコロをくすぐる。


「ああ、いいなあ。こういう人と付き合いたいな」


と心底思う。

なかなかいい朝だった・・・・・


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さて、その日の仕事終わりは、世間一般のサラリーマンよりずっと早い午後4時

この時間帯は高校生が電車の中を席巻する嫌な時間帯だ。


僕が乗るのは中央線下り

新宿から中野、高円寺、吉祥寺、三鷹国分寺、国立、立川、八王子と下っていく。

東京在住以外の皆様にはわかりにくいと思うが(ま、僕も東京出身ではないんだけど)、

東京は中心に23区というのがあって、その周りに三鷹市国分寺市立川市と、「市」ある。


つまり、23区に住んでいる人は「東京都民」というより、”区民”としての誇りがあり、

「市」に住んでいる人は、「都民」というより”市民”としてのコンプレックスがある(ような気がする)

”市民”は、東京には住んでいるが、結構通勤時間が長く、距離的にも精神的にも神奈川県民や千葉県民・埼玉県民ととあまり変わらなかったりする。


さて、閑話休題

僕はなるべく高校生が少ない車両に移る。

そこには5人の、今時珍しい黒髪の女子高生しかいなかった。


おそらくは体育会系の部活仲間であろう、ショートカットでまじめにスポーツやってます、みたいな娘さんだ。


ぎゃあぎゃあ騒ぐでもなく、割と静かに、それでいて楽しそうにおしゃべりしている。


ああ、高校生のときの仲間っていいよな、僕にはいないけど。

なんて思っているうちに国分寺駅に到着。

女子高生のうち2人が同じ国分寺で下りるらしく、ドアの近くに近寄った。


そしてドアが開き、まさに降りようとした瞬間、その2人の女子高生は電車に残っている友達に


「じゃあな、田舎者!」と笑顔であいさつしたのだ。


電車に残った三人も負けじと「じゃあな、国分寺の田舎者」と返す。


このあいさつにはおじさんも笑ったな。

いいな~、こういうあいさつ!。


残った3人はどこまで帰るのかな?

国立?立川?それとも八王子?


3人が同じ駅ならいいけど、一人が国立で降り、一人が立川で降りたら、

同じように「じゃあな、田舎者!」ってあいさつするのだろうか?

すると八王子まで帰らなきゃいけない最後の一人は、どんな気持ちで八王子駅に降りるのだろう。


きっとそこのところをツッコまれたら、

「あっし的には八王子、オニ熱いかんね。」

とでも言うのだろうか。