俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

ベトナム・フルーツの思い出

農水省ベトナム産「ドラゴンフルーツ」の輸入を20日付で解禁したと発表した。害虫のミバエが寄生し国内に持ち込まれる可能性があるとして、1994年以来輸入を禁止していた (2009.10.20【時事通信社】)

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20代の半ば

大学を卒業しても就職せずにフラフラしていた僕は、なぜがベトナムにいた。

同年代の友人達が、普通に就職し、仕事にもだいぶ慣れて”社会人”を気取っていた頃

僕はベトナムでドラゴンフルーツを食べていた。

これがまた、なんとも「ぱっ」としない味だった。

サボテンの実だったような気がするが、味はキウイフルーツから酸っぱさと甘さを抜かしてものすごくさっぱりさせた感じ

だから高い金出してでも食べたくなるようなものではないが、あればいくらでも食べられた。


ベトナムにいた頃は本当によく果物を食べた。

マンゴー、パパイヤ、竜眼、ライチ、パイナップル、グアバ、姫りんご、ランプータン、釈迦頭などなど

いずれも日本では考えられないくらい安い値段で、量り売りをしていた。


日本では果物が本当に高価なので、とてもじゃないが気楽に買うことができない。

が、もし僕がベトナムに行ってなくて「果物とはそういうもんだ」と考えていたら、少しは買えたかもしれない。

でも今の僕は「果物とは(熱い国では)放っておいてもバンバン実がなっちゃうもの」と知っている

マンゴーなんて原産国ではチロルチョコを買う感覚で買えちゃうことも知っている。

だからこそ、僕は日本で高い金を出して果物を買うことが許せないのだ。

意地をはりすぎて、ここ数年、すいかすら買ってない。

日本の果物は世界で一番「旨みが濃くて甘い」ことは知ってるんだけれど・・・

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さて、ベトナムのフルーツの中でも、僕の中で特に印象に残っているものがある。

以下の文は、僕はベトナムにいた20代半ばに書いた文章を写したものである。

思い起こせば、当時は携帯電話はおろか、パソコンすら持っていなかった。

たった10年前なのに・・・・

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「青い体験」

ウフフフフ、エヘヘヘヘへ、アハハハハハハ、オホホホホホホ、ぐぇふぇふぇふぇふぇふぇっ!

僕は今、猛烈にニヤついている。

昔から友だちに「お前の笑い顔をいやらしい」と言われてきたが、今だけは我慢できない。

思い切りエロ親父顔でニヤついてやろう。

うへへへへへ・・・・・・・・。

僕はベトナムに来る前、とても楽しみにしていたものがあった。

それはベトナム紹介の雑誌に載っていたある果物だ。

ベトナムの男性を虜にする魅惑のフルーツ。

それがこの「ミルクフルーツ」

俗称”おっぱいフルーツ”なのだー!!ぎゃ~はっはっはっはー、うっきぃ~!うれしー!はずかし~!きゃーえっちぃ~~!!


おほん。


なんでもこの果物は、中身を食べやすくするために切る前によく揉んで食べるものらしいのだが、その揉み心地が実に本物そっくりであるという。

ベトナム人も実にいやらしい顔で、ニヤニヤしながらこのフルーツを揉みしだくという。

そしてよく揉み終えてから中身をスプーンですくって食べると

嘘か真か、ミルクのような甘い果汁とやわらかな果肉が同時に楽しめるというのだ~~!!

ぎゃ~はっはっはっは!ウッキャー!やらしー!えっちー!チクビーーーム!!


おほん。


このミルクフルーツは冬に獲れるもので、ベトナムにしかないものらしい。

そして、やっとミルクフルーツの季節がベトナムに、ベトナムだけにやってきたのだ。

僕は早速お目当てのものを買いに市場へと向かった。


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うふふふふ。ちょっとドキドキ。

なんだか初めてエロ本を買いに行く中学生みたいな心境だ。

普通の雑誌と雑誌の間に挟んでレジに出したりしてね。

「すみません、そのみかん1個と、りんご1個と、ミルクフルーツ3つください。」

ふふふ・・・。完璧だ。

誰も僕の下心なんてわかるまいて・・・・。

僕は自転車をいつもより早く走らせながら家に帰った。

部屋に鍵をかけ、一呼吸おいて、袋からミルクフルーツを取り出した。

「いくぞ・・・」

僕はゴクンと唾を飲み込んで、まずは一揉み。

「あれ?」

んんんん?なんじゃこれ?全然違う!全然柔らかくない!なんだよ!青すぎたか?それともガセネタか?

やられた・・・・。



なつ草や 兵(つわもの)どもが夢の跡 (芭蕉



僕はその場に崩れ落ちた。

こぼれる涙を拭きながら、仕方なしにミルクフルーツをほぐし続けた。

「バカバカ・・・・こんなにシコリやがって・・・・・お前は乳がんか!」

しかし、揉み続けるうちに、ある異変に気がついた。

ミルクフルーツがみるみるうちに柔らかくなっていくのである。

僕の顔もみるみるうちに和田勉のようにゆがんできた。

おお!ジーザス!

あんたはなんて素敵なものをこの世に思し召されちゃったんだ!

おほ!あああ!うほほほほ!!!


夢のような時間はあっという間に過ぎ、食べごろを告げるブチュブチュという音が聞こえてきた。

されば一口

「ん~、ん?ん~~~む。あれ?」

中身はなんだがパッとしない味だった。

でもいいの!

全然いいの!


僕は窓を開け、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

そして心の中で、そっとつぶやいた。

「また買いに行こうっと!!」

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懐かしいね。

10年前に自分が書いた文章って。

それにしても、今、読み起こしてびっくりすることは

作風が今と変わっておらず、

10年経っても精神的な成長がまったくなされていないことだ・・・・・・


・・・・・・・・・・僕もう、36なのに・・・・・・・・・


そういえば、あの頃は「30までには結婚して・・・」とか言ってたな・・・・

なかなか思い描いていたとおりの未来にはならないものだ・・・・・・・