本当に”今さら?”なのはわかっているが、やっと観ました『崖の上のポニョ』
公開されたのが2008年の夏だから、1年半たってのテレビ初披露
それでも放送が決まった時は「も、もう?相変わらず早いね」という感じだった。
僕が映画館で映画を観なくなってから久しい。
僕が最後に映画館で見た映画は『少林サッカー』(2003年)だが、場所はマレーシアだった。
確か料金がめっちゃ安くて、300円弱だった気がする。
だから仕事帰りにちょっと観る、というのにぴったり。
マクドナルドでコーヒーを買う感覚で映画を観られたのだ。
おそらく日本以外は大抵そんな感じだと思う。
今、日本で映画を観ると1800円ぐらいだが、今の僕は映画に1800円使うくらいなら毎日ワンコインで済ませている昼飯をちょっと豪華にするほうを選ぶ。
それに日本の映画館は男の一人鑑賞に実に厳しい。
別に追い出されるわけじゃないけど、なんとも「場違い」というプレッシャーを与える。
しかも現在の僕はおっさんなのである。
おっさんが一人で観る映画なんて、日活ロマンポルノぐらいだ。
見栄っ張りな僕はどうしても他人の目が気になってしまう。
そしてそこまでして、”大金”を払ってまで観るほど映画に価値を置いていないのが、僕が映画館に行かなくなった理由だ。
実はもう一つ理由があって、それは「待っていればいずれテレビでやるだろう」というものだ。
特に邦画は早ければ1年後にはテレビで見られる。
で、テレビ放映を楽しみにしていた割には、DVDに録画したのに面倒になって観ずに消した例もある。
『踊る大走査線』『デトロイドメタルシティ』『キングコング』などだ。
なんか、普段は1~2時間のゆるいバラエティばかりを見ているので、落ち着いて映画を観るのが面倒なのだ。
バラエティなら細かくコーナーが区切ってあるので休み休み観られるし、そんなに熱心に観なくてもいい。
でも映画は「ちゃんと最初から最後まで観る時間を作って、テレビの前でコーヒーを片手にじっくり観るもの」という意識があるので、なんとなく「あ~、そんな時間ねえや。そんな時間作るくらいなら昼寝したり、ブログ書いたり、AV観たりしたほうがいいや!」なんて気持ちになってしまう。
もう、いいわけばっかりなのだ。
で、『崖の上のポニョ』なのである。
僕は宮崎アニメは「テレビでやっていれば観る」というくらいの浅いファンである。
これといって”作品の背景にある宮崎駿監督のメッセージ”を語ったり、三鷹の森ジブリ美術館に足を運んだりするほどのファンではない。
だから『ポニョ』はDVDに予約録画をしたのだが、「7;56~11:04か。3時間って、結構長い映画だよな~」なんて本気で思っていた。
で、週末見てみたら最初の1時間がメイキング映像なのでずっこけてしまった。
そんなテレビ放送、初めて見たよ。
思わずメイキング映像が終わったところで晩飯を食べてしまったな。
で、本編は100分ほど。これを2時間でもたせなきゃいけないもんだからCM入れまくり。
ま、録画したので早送りできて良かったが、リアルタイムで見ていた人はイライラしただろうな。
この娘のファン以外は
*妙に多かった「フジッコ 海のやさい」のCM。僕的にはストライク!この娘は10年に一人の逸材です。
さて、肝心の『ポニョ』の内容なんだが、
宮崎駿がこだわった「波の描き方」とか、手書きの線とか、
母親リサの強さ、頼もしさ、寛容、そして・・・いじさらしさとか、
グランマンマーレの強烈なキャラクターとか
確かに「すごいな・・・」と思わせるものが随所にあったのだが、
全体的にはわからないところが多すぎて、最後にポニョが宗助とキスする場面で終わったときには
「え?これで終わり?うそでしょ?」
という感じになった。
で、あれだけヒットした映画なんだから、おもしろく感じないのは僕がおかしいのか?と不安になってネットでみんなの感想を見てみたらこれがまた賛否両論
僕と同じように「話のつじつまが合わない」「説明不足でキョトン」「よくわからない」と指摘する人もいるが、多くの人は
「この作品はクトゥルー神話を踏襲して作られたもので・・・」
「最後に宗助とポニョが通るトンネルは『生と死』を輪廻する子宮へと通じる産道。トンネルシーンの直前に赤ちゃんを抱いた女性と遭遇するのはそれを暗示させるため。トンネル=膣であり、宗助は”ここを通ったことがある”と言った。母なる海である子宮に戻る→元の姿の魚の姿になる。クラゲドームの中も水でいっぱいだったのは羊水を暗示してるため。」
「宮崎作品は最初はいつも否定的な感想を持たれる(が、その後ハマる人がいる)。それは彼がいつも新しいからだ。だから自称ジブリファンほど新作を理解できず『宮崎駿衰えたり』と笑う。が、知識と経験のある人ならわかるはず。」
などと、難しく語り合っている。
すげーな。
ジブリが好きな人って、頭いいんだな。
でも「一見さんにはわかりにくく作ってある」ということが確認できただけでも良かった。
昔、あるプロレス本にとても素敵な言葉が載っていた。
”浮沈艦”の異名を持った名プロレスラー、スタンハンセン
強すぎるが上にアメリカでは相手に怪我をさせてしまって干され、ほとんど日本を主戦場にした名物外国人
テキサス出身のブルファイトと、一撃必殺のウエスタンラリアットで日本人レスラーを次々倒していった。
彼は日本マットを愛し、日本のファンは彼を愛した。
私生活では離婚後子どもを引き取り、男手一人、腕っぷし一つで育てる実写版『クレイマークレイマー』だった。
そんなハンセンが、試合の合間に大阪の小さな映画館でアメリカの三流コメディ映画を観て大きな声で笑っている姿がよく観られたという。
字幕より先に、とにかく大声で豪快に笑うので、映画館でも浮いていたらしい。
そんなハンセンの映画観は
「映画を観てどうして暗くならなきゃいけないんだ!映画はハッピーになるために観るものだ!」というものだ。
いかにもハンセンらしい、豪快なポリシーだ。
でもこのハンセンの言葉、僕は大好き。
僕もテレビは楽しくなるために見たい。
難しく考えなきゃ理解できないようなら、見る価値がない。
楽しい映画、感動できる映画を観て、明日を生きる勇気をもらう。
それが僕が作品を観る理由だ。
右手を挙げてロングホーン!
「ウィーーーーーーー!!!」
ちなみに僕の好きなジブリ作品最新ランキングは
1位 隣りのトトロ
2位 もののけ姫
3位以下はみな一緒、となりました。