俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

日本VSオランダ

コン「なあ、カス、イバラ!今夜俺んちで一緒にワールドカップ観ない?」

イバラ「おお、いいね。なんか飲みながら観ようよ」

カス「まあ、別にいいけど」

コン「なんだよカス、ノリが悪いな~。今日、オランダ戦だぜ?」

カス「は?俺、別にサッカー興味ねーし」

コン「え?そうなの?」

イバラ「うそだよ」

カス「よくあんなのに熱くなれるね?日本のサッカーっておもしろい?」

コン「まあ、そりゃ~ヨーロッパのサッカーリーグに比べたら・・・」

カス「いやね。俺も時々スポーツニュースでメッシのプレイとか見るよ。でもそれに比べると日本のサッカーは下手すぎ」

イバラ「まあ、そういうなよ。」

カス「あの、パブリックビューイングとかいうのも、気持ち悪いね。」

コン「まあまあ、いっしょに日本を応援しようぜ」

カス「ま、暇だから行ってもいいけどね」

コン「じゃ、試合8時からだから、7時ごろうち来いよ」

イバラ「わかった」

カス「なんか、娯楽用意しておけよ。あとビールとお菓子な」

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(コンの部屋で日本対オランダ戦を観ている)

コン「うわ~、緊張するな~」

イバラ「いや、マジ、一瞬も気が抜けねーぞ・・・」

カス「なんで?負けるに決まってんじゃん。」

コン「いや、でもワールドカップは何が起こるかわからないよ」

カス「お前ら楽観的だね~。韓国はアルゼンチンとやって4-1で負けてるんだぜ?日本だって同じだよ」

コン「あれ?サッカー興味ないって言ってたのに?」

カス「あ、いや、たまたまニュースでやってたから」

イバラ「うわっ!やべ~よ!攻め込まれてるよ・・・」

カス「まあ、きっとボロ負けだよ」

コン「頼むぞ~、集中しろよ~」

カス「ま、同点なら大金星って感じじゃない?デンマークが2-0で負けたんだから、1-0でも御の字だよ」

コン「お前けっこう観てるじゃん」

イバラ「サッカー好きだろ?」

カス「別に好きじゃねーよ」

コン「あ、やばい!止めろ!」

イバラ「はぁ~、助かった~」

カス「ロッペンが出てないから、オランダの攻撃もいまひとつ迫力が足りないね」

コン「お前、詳しいな」

イバラ「やっぱりサッカー好きだろ?」

カス「だ、だれがだよ。お前らと一緒にするなよ。」

コン「だって、お前妙に詳しいから」

カス「いや、さっき試合前にテレビで言ってたからだよ。俺はサッカーなんかにいちいち興奮しないよ」

イバラ「でもカメルーン戦も観てたじゃん」

カス「いや、たまたまテレビつけてただけだよ。」

コン「その後のスポーツニュースで本田のゴール何度も観てたじゃん」

カス「いや、あれだけテレビで何回も流してたら嫌でも目に入るよ」

イバラ「いやでも次の日『本田ばっかり褒めてるようじゃみんな見る目がないな』とか言ってたじゃん」

カス「いや、ほら、あれはたまたま1トップだから最後に本田が決めただけで、そこに行くまでの松井のパスとか、大久保のおとりとか、そういうのをね、見てないと・・・」

コン「というか、お前やっぱりサッカー好きだろ?」

カス「だから好きじゃないって。俺をサッカー狂いのバカと一緒にするなよ」

イバラ「いや、そこまでは言ってないけど・・・」

カス「あの、埼玉スタジアムに集まってるやつとか、パブリックビューイングに行くやつとか、気が知れないね」

コン「まあ、あれはあれで楽しいんじゃない?」

カス「いや~、暇なやつはいいね~。わざわざ渋谷に行って騒いでるバカとかね。あんなんではしゃげるやつはうらやましいよ」

イバラ「でもお前もテレビ観てただろ?」

カス「いや、あれはたまたまだから。」

コン「お前だって『カメルーン戦で最高視聴率49.1%』に貢献してんじゃん」

カス「いや~心外だね。サッカー狂いの一員と見なされるのは癪だね。俺のはたまたまテレビがついていただけだから」

イバラ「お前、素直になれよ。」

カス「いや、何が嫌って、あの本田が嫌だね。日本人はね、謙虚を美徳とする民族だからね。ああいう、生意気なやつは好かれないよ」

コン「でも実績もあるし」

カス「なんか、『日本が勝てるかどうかはオレにどれだけ前を向いて仕事をさせるかだ』とか『守備をするために試合に出ているのではなくて、自分の特長は攻撃にあるからできれば守備はしたくない』とかね。」

イバラ「お前、めちゃめちゃ詳しいじゃねーか。やっぱサッカー好きだろ?」

カス「好きじゃねえって言ってんだろ!」

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コン「はあ、前半終わって0対0か。いい感じじゃない?」

イバラ「まあ、攻め込まれてたけどね。でも守ったね。」

カス「カメルーン戦でさえ前半は1点取られてもいいって気持ちだったからね。オランダ戦で前半0点ってのは大きいよ」

コン「・・・うん。そうね」

カス「別に好きじゃねーよ!」

コン「何もいってねえだろ」

カス「そうか。空耳か。とにかく、後半も同じ調子でいけば引き分けになれるかもよ。あわよくばフリーキックでももらって本田に蹴らせれば」

イバラ「勝てるってこと?」

カス「いや、可能性はあるよな。日本が得点を奪えるって、それぐらいしか」

コン「でもファールを奪うためには攻撃しないと」

カス「まあ、松井あたりがドリブルでかき乱してくれるとオランダもあせってくるだろうしね」

コン「そ、そうだな。ところで・・・」

カス「好きじゃねーよ。おれ、野球少年だったし」

コン「いや、そうじゃなくて・・・」

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(オランダが1点先制)

コン「あ~。やられた・・・」

イバラ「あれ?川島、手、触れてなかった?」

カス「いや、ワールドカップの公式ボールって揺れるんだよ。だから手で弾こうと思うとすりぬけちゃうんだ」

コン「・・・・よくご存知で・・・」

カス「はあ?別に。常識ですけど?」

コン「・・・・・・ところで本田って、かっこいいよな」

イバラ「日本人にはいないタイプだからね。でもああいう選手も必要だよ」

カス「まあ、目も大きいし、ヘアスタイルもすっきりしてるし、CM栄えするんじゃないかな。」

コン「だろ?だろ?」

カス「まあ、性格に問題ありだけどね。あとファッションセンスも。なんで腕時計二つやねん、と。そんでそれを言われると『誰が時計は片腕って決めたん?』とか、『時計が一つだとバランスが悪い』とかな。そんなんで『特別な存在』になってどうすんだよ(笑)」

イバラ「お前、本田フリークだろ」

カス「バ、バカ言ってんじゃねーよ。大嫌いだって言ってんだろ!オレは横柄なやつは嫌いなんだよ」

イバラ「熱くなるなよ」

カス「なるわけねーだろ。サッカーぐらいで!」

コン「あ、日本、チャンス!」

イバラ「行け!」

カス「・・・!・・・!・・・!」

コン「シュート!ああっ!あ~~~」

イバラ「くっそ~・・・。あれ?カス、今、力入ってなかった?」

カス「別に」

コン「いや、いま、すっごい手、握ってた」

イバラ「体も乗り出してたし」

カス「はあ?なんです?屁~こいてただけですけど?」

イバラ「汚ねぇ~な・・・」

コン「あ、やばいボール取られた!」

イバラ「まずい!相手の方が多い!」

カス「・・・・っ!!」

コン「お~~!川島ナイス判断!」

イバラ「やっぱりカス、すっげーホッとしてない?」

カス「まだ!ほら!」

コン「まずい!止めろ!」

イバラ「川島!よし!あっ」

カス「クリア!よし!」

コン「危ね~~~」

カス「いや、まじ、危ね~~」

イバラ「・・・・お前、めちゃあせってたな(笑)」

カス「・・・・・・・・・・・」

コン「お前、脇汗すごいぞ・・・」

カス「・・・お前んちが暑ぃ~からだよ・・・」

イバラ「もう、そろそろ認めろよ」

コン「サッカー好きだろ?」

カス「・・・どっちでもいいよ・・・」

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(試合終了)

コン「あ~~~、負けた!」

イバラ「惜っしいな~」

カス「ま、当然っちゃ当然だね」

コン「でも後半、結構攻めてたよな?あんまりオランダと変わらないぐらいだったよ」

カス「甘いね。オランダはまだ余裕があったよ。オランダは引き分けでも全然問題ないし。カメルーンに勝つから」

イバラ「ま、そうだな。なあ、カス、デンマーク戦っていつ?」

カス「24日木曜日」

イバラ「今度、カスのうちで観ねえ?」

カス「はぁ?なんで?試合深夜3時からですけど」

コン「ほんとにカスは詳しいな」

カス「べ、別にっ!じゃ、オレ、先に寝るから」

コン「え?早くね?」

イバラ「負けた試合はスポーツニュース見てもつまらないしね」

カス「ふん。オレは別にサッカーどうでもいいし」

イバラ「ま、いいや。とにかくまた集まって観ような」

コン「おう!」

カス「別にいいけど・・・・・・お前ら、サッカー好きだね~」

コン・イバラ「・・・・・・・・・お前もな・・・」

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