俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

チーズ万歳!

先日、本当に久しぶりにピザを食べた。

何年ぶりだろう?

そして改めて「チーズの力」に感服したのだった。

チーズはテンションが上がる


その時、一緒に宅配ピザを食べていた友人はそう言った。

確かにチーズは盛り上がる。

チーズは人を幸せにする。

チーズは神様のスペルマ

とにかく、チーズはすごいのだ。


僕が生まれて初めてピザを食べたのはいつぐらいだろう?

正直、僕が子供の時(30年前)はピザなんてなかなか口に入らなかった。

たまに喫茶店なんかででてくるピザは、小さくて堅くて、具がしょぼくて(サラミ、ピーマン、タマネギ)それほどテンションの上がる食べ物ではなかった。

宅配ピザなんてのも一般的ではなかったし、

スーパーで売っていた山崎のピザパンが僕の知っているピザだった。

あれにケチャップを足してトースターで温め、グリコのカフェオレでやっつけるとちょっとだけごちそうだった。

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が、小学校6年生のある日、僕は衝撃を受けた。

市のドッジボール大会に参加した帰り、友達のお母さんに喫茶店でピザをごちそうしてもらったのだ。

後にそれはピザではなく「ピザトースト」というものだということがわかったが、僕にとってそれはまさしく「ピザ」であった。

僕はその後数日経ってもあの時のピザの味が忘れられず、どうしてももう一度食べたくなってしまった。

そして食パンにバター、ケチャップ、マヨネーズを塗ってぐちゃぐちゃにし、その上にハムを細かく切って載せてトースターで焼いてもみた。

で、それがそこそこ旨いのである。

僕はそれから、暇さえあればピザパンを作り始めた。

冷蔵庫にタマネギやコーン缶、シーチキンなどが残っていたらさらにテンションが上がった。

母親もそのピザパンを「意外に旨い」と褒めたものだから、さらに調子に乗った。


ある日、母親の買い物に付いていき、スーパーでチーズをねだると、母はスライスチーズを買ってくれた。

今なら「なんでピザを作るのにスライスチーズなんだよ!」と怒るところだが、子供の僕はそんなことはわからない。

とにかく、僕のオリジナルピザトーストに、ついにチーズが乗るのだ。

いつものレシピに、細かくちぎったスライスチーズを載せて焼くと、いつもより2割ほど旨くなった。

僕の第一次、ピザブームである。

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その後、ピザ熱はピタリと止んだのだが、生まれて初めて「シェーキーズ」に入ったとき、僕の心は再びはじけた。

だって!焼きたてのピザを!食べ放題ですよ!!

最初は修学旅行の京都で、次に大学近くの駅前でシェーキーズに行き、

僕はまたピザにはまった。


ピザというのはなんとも不思議である。

冷めたピザはパンも固く、チーズも固く、冷や飯を食わされているような哀愁を漂わせるが

熱々のピザはまるで加速装置がつけられているかのように何枚でもペロリといける。

「ああ、腹一杯、もう食えない・・・」と思っても、熱々のピザなら意外に入る。

昼にシェーキーズでたらふくピザを食べると、30分後にとんでもなく後悔することになるのだが、若さは同じ過ちを何度も繰り返させた。

はちきれんばかりの腹を押さえ、苦痛に耐えながらベッドでうなっていると、知らないうちに寝てしまい、知らないうちに日が暮れて、気づくと晩飯が食いたくなっている。

若さは人をバカにさせるのである。

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その後、僕は長い長い潜伏期間に入る。

ピザはもちろん大好きなのだが、

まずシェーキーズに行く仲間がいなかった。

一人で行ってもいいんだろうけど、一人で行く食べ放題ほどむなしいものはなかった。

宅配ピザならほかの人に見られることはないんだろうが、宅配ピザを一緒に食べてくれる仲間がいなかった。

もちろん、彼女もいなかった。

一人暮らしのアパートで一人で宅配ピザを食べることほど悲しいことはなかった。

当時はタチの悪いことに、変なプライドも持ち合わせていたので、「一人で宅配ピザを頼むようになったら終わりだ」なんて思っていた。

だから、一人でコンビニ弁当を食べていた。

コンビニ弁当はもともと哀愁の漂うものなので、一人飯にマッチしていたのである。


さらに、30代になると、次第にメタボの恐怖が襲ってきていた。

学生時代は運動部だったので、いくらピザを食べてもすぐに消化してくれたのだが、運動をしなくなった30代の腹には、冗談のように簡単に脂肪がたまっていくのである。

そんな僕にピザのチーズは大敵だった。

毎日のように郵便受けに入ってくる宅配ピザのチラシをなるべく見ないようにしてゴミ箱に捨てた。

経済的にも2000円弱のピザをかなりの贅沢品と思うようになり、僕はますますピザから遠ざかった。


そんな折に、友人から「うちに発泡酒がいっぱいあるから飲みに来い」と声がかかったのである。

僕は、これまた不思議なのだが、人に誘われると途端に財布の紐がゆるむのである。

自分一人のために贅沢はしないが、友人等と飲みに行ったりする時は、3000円でも5000円でも払ってしまうのだ。

僕は返す言葉でこういった。

「じゃあ宅配ピザを頼もう」


そんな友達がいるなら、ピザを食べるチャンスはこれまでいくらでもあったろうにと思うかもしれない。

僕もそこが不思議なのだが、高校時代から20年来の友人のうちに行くのはこれが初めてなのだ。

会うときはたいがい外で飯を食って終わり。

そんな友人のうちに初めてお泊まりなのだ。

久しぶりにピザを解禁し、あこがれの宅配ピザを注文することにした。


郵便受けに入っていたピザーラのチラシの中から、なんとかクオーターとかいう4分の1ずつ味の違うピザを頼む。

ついでにポテトとエビのフリッター、サラダなども注文。

パスタは悩みに悩んだ末にパス。

その代わりピザのLサイズを頼むことにした。

二人ならこれで十分だろう。

僕の記憶では1時間以内に届かなければ罰金・・・・

かと思ったら、30分ほどで到着するという。


ほぇ~今は、そんなに早いのか。

ピザを焼くのにそこそこ時間がかかるだろうに。

「どこでもドア」でも使うのかいね。


僕らがくだらない話をしていると、「ピンポ~ン!」という妙に響くインターホンの音。

この「ピンポーン!」が実にいい!!

うちなんて最近は新聞の勧誘すら来なくなっちゃって、インターホンすら鳴らないからね。

宅愛ピザの「ピンポン」はなんともテンションが上がる。

事実、鳴った瞬間、二人で「来た!」って声を出したもの。


友人が恭しくピザの箱をテーブルに載せる。

箱から漏れる匂いからして旨い!

もわ~っと漂ってくるピザソースの匂い!

箱から伝わる熱気!

いやん!もう!


箱を開けるとさらにいい!

焼きたてから、運んでいる間に少し蒸されて、ピザがなよっている。

それがなんとも艶(つや)やかで、艶(あで)やかで色っぽい。

なんか湯上がりの熟女のような色気がある。

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友人が冷蔵庫から発泡酒を持ってくるのを奪い取り、あわただしく乾杯をして、まずはピザの一切れを取り上げた。

そして鋭角にとがったピザの先を口に入れ、ゆっくりと口を閉じた。

「ジュワ~~~~~」っとやわらかなチーズが口の中に広がっていく・・・・・

かすかにトマトソースの酸味とコク・・・・

ピザの一口目はチーズが旨い!


二口目になると俄然、具がやる気を出してくる。

肉が「オイラを忘れちゃ困るぜい!」とばかりに歯ごたえで対抗してくる。

旨い。


二切れ目はホワイトソース。

口の中にチーズとホワイトソースが広がるのだが、このハーモニーが絶妙・・・・

どこからがチーズでどこからがソースかわからないくらい

もうどっちでもいい!

旨けりゃいい!

二切れ目もペロリ!!


三切れ目はまたトマトソース!

四切れ目はクリームソース!

とにかくピザは熱いうちが旨い!

ピザは熱いうちに食え!


ビールを飲むのも忘れ、ピザを頬張り続けた。

そして、至福のピザタイムは終了した・・・・。


「ああ~もう一枚頼めばよかったな」


友人はまだまだ食いたらなそうだったが、僕は久しぶりのピザなので腹は十分だった。

その後、スルメを肴にビールやワインを飲むのだが頭の中は先ほどのピザの余韻でいっぱい。

友人が出した「裂けるチーズ」もチーズなのだが、

僕の脳がチーズを食べていると判断しない。


チーズは熱いうちに限る。

チーズはピザに限る。


生まれ変われるなら・・・僕はとろけるチーズになりたい・・・

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