今年の紅白歌合戦の出場者が発表された。
個人的にはももいろクローバーZの念願の紅白初出場が決まったことが朗報だったが、紅白自体は本当に「どうなっちゃったんだろう?」という人選だった。
僕が子供の頃に観た頃の紅白歌合戦は、そこそこ面白いものだった。
”リビエラ”なんか言われても、国の名前ということですら知らない小学生が、普通に通学路の帰り道に歌っていたのだ。(今でも歌えたりするから子供の時の記憶と言うのは恐ろしい)
だから紅白歌合戦でじいちゃんばあちゃんが演歌に聞き惚れていても、意外に知っている曲が多かったので退屈と言うことはなかった。
ま、そんなに熱心にも見ていなかったし、当時は大晦日に他のチャンネルを見るという習慣もなかった。
また小学生の僕は起きているだけで精一杯だったので、紅白の人選やらにとやかく言うことはなかった。

中学、高校の頃に観た紅白はそれはそれはつまらないシロモノだった。
面白いのは前半に出てくる若手の歌手だけ。
後半の演歌勢は、名前も知らなければ曲も知らない。
「全然有名じゃない人が、どうして紅白に出られるんだろう?」と思ったのはこの頃からだったのかもしれない。
その後、大学生になった僕は年末年始を実家で過ごすこともなくなったため、紅白を見なければいけない状況がなくなった。
アルバイトをしたり、スキー旅行に行ったりして実家の両親を寂しがらせていた時代だった。
その後、ベトナムやマレーシアで5年ほど仕事をしていてまたもや両親をないがしろにしていたのだが、
実はこの時代は紅白を楽しんでいたのである。
12月31日の夜に、知り合いの日本人駐在員さんの家にみんなで集合して見た紅白
あれは楽しかったな。
自分が全く知らない若いアーティストが出てきて「いや~日本では今こんなのが人気なんだ~」なんて偉そうに言ったり
「松田聖子の『Sweet Memory』~!あの歌い方!ここまで来ると伝統芸だわ~」なんて感心したり
「あれ?演歌って・・・こんなに沁みるもんだっけ・・・」なんて己の日本人のアイデンティティを呼び起こしてみたり・・・
あの時僕は「紅白歌合戦はやはり必要。演歌を聴く機会は必要。特に日本に帰れなくて海外で日本を懐かしんでいる人のためにも、紅白は必要なんだな~」
と考え直したものである。

そして2012年
紅白歌合戦には、ずいぶんと若い顔ぶれが並んだ。
初出場には僕の好きなももクロ
これだけでも今年はちょっと見て見たい気もする。
が、それ意外があまりにひどい。
かつての二枠から、今や5つまで枠を広げたジャニーズ勢。
CDの売り上げやメディアの露出、若い人への人気からすれば当然とはいえ、事務所の影響力も大きいという。
NYCって・・・・さすがにないだろう

そしてなによりも演歌がひどい。
演歌の力がここまで落ちたか!と言わざるを得ないのだ。
演歌はもともとテレビの露出が少ないので、一般の人には売れているのか売れていないのかわかりにくい状況である。
また、最近は歌番組も減ったので、活躍の場は地道なコンサート活動に限られてしまう。
にしても、昔なら2~3曲は話題の曲が出てきたものである。
長渕剛が森進一のために作った「狼たちの遠吠え」なんか紅白で初めて聞いたけどかっこよかったな。
今年の演歌勢はなんなの?
人数も少ないし、歌える曲も過去のヒット曲しかない。
「今年ヒットした」「今年活躍した!」「なんとなく聞いたことがある!」と言える曲が1曲も出せない。
せめて「いや~やっぱり演歌を歌う人は歌がうまいな~」とか
「演歌は日本の心だな。初めて聞いたけど、心に沁みるわ~」とか言わせてみろや。
これまでNKH紅白歌合戦を楽しみに見ていた高齢者でさえ、今年の紅白は失望するだろう。
それはアイドルが多くて演歌歌手が少ないわけでもなく
演歌がまるで進歩してないからだ!
と言ったらいいすぎだろうか?

先日、年末恒例の歌番組のもう一つの雄
ほとんどNHK紅白歌合戦の出場者と重なっているのだが、
桑田圭佑、Mr.Children、B’zなどが出る分、紅白よりも豪華な感じがする。
今や50代くらいでも普通にサザンを聞いて育ってきているので「ミュージックステーションのほうが面白そう」というような時代である。
演歌、がんばらないと・・・本当に支持者がなくなっちゃうよ
