俺よ、男前たれ

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マツコの知らない世界 物欲がとまらない2時間SP

TBS金曜深夜24:50~25:20放送「マツコの知らない世界」のスペシャル番組がゴールデンタイムに放送されていた。

この番組は、それぞれの世界のスペシャリストがマツコを相手にその世界の魅力を紹介するもので、深夜に観るとなかなか面白い番組であるが

それにしてもマツコ・デラックスである。

近年の活躍は本当にすごい。

現在、民放各局はほとんど”マツコ頼み”なのだそうだ。

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ゴールデンタイムのバラエティ番組によく見る顔と言うのはたくさんいて、たとえばリアクション大きく、大騒ぎするのを役割とする女性タレントや若手芸人は多い。

俗にいう「ひな壇芸人」「リアクション芸人」「ワイプ芸人」「バラドル(やや古いか?)などだ。

2012年で言えば芹那鈴木奈々平愛梨、Shelly、はるな愛クリス松村、ローラあたりがそれに当るだろうか。

しかしマツコの場合はそこに留まらない。

ゴールデンタイムならご意見番扱いだし、深夜ならメインパーソナリティだ。

僕が知っているだけでも、マツコと男性タレントがお題を与えられてトークをしたり、VTRを観ておしゃべりをするような番組がいくつもある。



例えば「マツコの知らない世界」(日本テレビ 24:00)はもともと くりぃむしちゅーの有田さんと一緒にやっていた番組だし、

今でも「シルシルミシルさんデー」(テレビ朝日 日曜7時)ではくりぃむしちゅーとからんでいる。(所属事務所が同じということもあるだろう)

また深夜には有吉弘行と「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日 23:15)があり

関ジャニ∞の村上信吾と「月曜から夜更かし」(日本テレビ 24:00)も他の番組と全く同じスタイルだ。

今年もナインティナイン矢部と「アウト×DX」(フジ 木曜23:00)が始まるとあって

一部では「またマツコ??」という声もあるらしいがそれでもマツコに頼らざるを得ない。

あれだけ頭の回転が速く、自分が求められている役割をしっかりこなせる人も珍しいし

トークの上手さ、毒の濃さも実にちょうどいい。

攻めるときは攻め、そして受けるところを受ける。このバランスも絶妙。

「ここはマツコに怒らせたいな」という番組制作側の狙いも、いい意味で裏切ったりするところも旨い。

今や視聴者はもちろん、番組共演者、番組制作側もマツコの手の平の上で踊らされている。

バラエティ番組は今やマツコのコメントでオチをつけてもらい、番組を締めるのが定石となっているし、

今後はマツコと番組を組むことが芸人のステータスになる、なんてことにもなるかもしれない。

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そんな中で見た「マツコの知らない世界」のスペシャル番組であるが、これが驚くほどシンプルな演出だった。

本当に深夜の放送をそのままゴールデンタイムに持ってきた感じ。

これまでも深夜の放送で評判が良かったものをゴールデンタイムに持ってきた例は多い。

ただその際は、ゴールデンタイムにふさわしく飾り立てるのが通常だ。

意味のない女性ゲストやひな壇芸人、巨大なセットに女性観覧客。

こうしたものでいかにもにぎやかに、華やかに飾り立てるのが常であったが、「マツコの知らない世界」は本当に深夜のまま。

出演者はその道のプロとマツコのみ。

その道のプロが、素人らしい静かな喋りで一つ一つ商品を紹介し、マツコが一人で「すごい!」「ほしい!」とリアクションを取るのである。

僕は最初、「これはさすがに地味じゃないか?」「ゴールデンタイムでこの静かさはなんなの?」と驚いた。

番組があまりに静かなので、外で鳴いている猫の声がはっきり聞こえる。

虫が鳴いても聞こえただろう。

それくらい静かに、静かに番組は進行していくのである。夜の9時なのに。


やってることは「おすすめキッチン家電」「おすすめ文房具」「お取り寄せ食品」等の紹介と、朝や昼のワイドショーと違いはない。

なのに朝のフジテレビよりも地味

昼のワイドショーよりも淡泊。

通販番組よりはるかに静か。


しかし、深夜放送をゴールデンタイムに観る奇妙な感じがだんだん心地よくなってくる。

余計なリアクションや、無駄なバカ騒ぎがなく、実に潔い。

今やゴールデンタイムの視聴者はF1・F2層(20~40代女性)が中心らしいが、本当にその人たち向け。

主婦や一人暮らしの女性には実にありがたい。

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まだ視聴率がどうなるのかはこの時点ではわからないのだが、

もしこれでもちゃんとスペシャル番組が成立するならば、これまでゴールデンタイムをにぎわしていた女性タレントや若手芸人が全く意味のないものになってしまう。

マツコだけでいいのだ。

マツコと組むメインパーソナリティもいらないし、マツコをアシストする局アナすらいらない。

マツコだけでいいのだ。

企画さえしっかりしていれば、にぎやかしの芸人やタレントはいらなくなり、経費も節約できるのだ。



今回のスペシャルは「深夜の番組を本当にそのままゴールデンに持って行った」という実験的なものだと思うが、この試みが成功した暁には無能な芸人さん・タレントさんたちは次々と仕事を失っていくだろう。

ガヤ芸人よ、さらば

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