俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

そして美人は乳を眺めた

秋葉原へ向かう電車の中に二人の女が座っていた。

一人はかなりボリュームのある体で、あだ名はハム子(俺が勝手につけた)。ハム子はかなり胸の谷間を強調した服を着ていた。ハム子はきつ目のメイクで昔のダンプ松本のようなふてぶてしさを漂わせながら座っていた。

ハム子の取り柄は乳だけだった。

そのハム子の隣に、同じくケバ目のメイクだが、かなり美人のナナ(仮名)が座っていた。ナナは中島美嘉を意識していたようだか、なかなかサマになっていた。ただ一つ、Aカップであることを除けば。


ナナとハム子は他人同士だった。ハム子はふてぶてしく車内に睨みを効かせ、ナナはハム子の胸の谷間を忌ま忌ましそうにちら見した。


僕は斜め向かいのドアに寄り掛かりながら二人の様子を見ていた。

明らかにナナの方が意識していた。

普通に考えれば余裕を持っていいのはナナだ。
合コンで人気が高いのもナナだろう。

しかし、ナナはハム子の胸の谷間をちらっと見ては眉を潜めた。


俺が合コンで選ぶとしたら間違いなくナナだ。
自信満々の美人より、コンプレックスを持ってる美人が俺は好きだ。