俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

親心をくすぐる入江陵介選手

開幕前からその開催に賛否があった東京オリンピック2020は8月8日、その幕を閉じた。

期待通りの活躍ができた選手もいたし、その実力が発揮できなかった選手や競技もあった。

ちなみにオリンピックはおろか、スポーツにあまり興味のない我が妻が一番感心したのは水泳の入江陵介選手である。

入江選手は100m背泳ぎでは全体の9番目のタイムで準決勝敗退。

200m背泳ぎでは決勝に進出したものの7位。

400mメドレーリレーでは日本新記録を出し6位、という成績だった。

そんな入江選手に我が妻はまるで彼の母親のように喜び、拍手を送っている。

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ちなみに妻は外国人。

もともとスポーツには全く興味はなかったのだが夫の僕がオリンピック好きで連日テレビを見まくるものだから日本人選手の名前を自然に覚えてしまったらしい。

なんでも妻の国では「金メダリストはテレビのニュースで紹介されたり新聞に載ったりして注目されるしスターになるが、金メダル以外は相手にされない」のだそうだ。

だから日本のように銀メダルや銅メダルでもちゃんとインタビューを流され、テレビに呼ばれ、ヒーロー・ヒロイン扱いされることに驚いていたし、「日本人初の6位入賞」とか「惜しくもメダルに届かず」といった場合でもちゃんと扱っていることに感心していた。

確かに日本のマスコミは選手に対し、ちゃんと物語を用意してあげるし、これが僕がスポーツ観戦にハマる理由でもある。応戦する家族、選手を支えるスタッフ、補欠になってもサポートを続ける選手から、しまいには外国人選手を受け入れるキャンプ地の自治体スタッフにまで焦点を当て、ストーリーを作る。全てのアスリート(と関係者)にちゃんと物語を作るからこそ、勝っても負けても感動できる。

 

で、前回のリオ・オリンピックのことなのだが、妻にとってとてもショッキングなシーンがあったという。それは200m背泳ぎで8位になった入江陵介選手のインタビューだ。

リオ・オリンピックの前から調子が上がらず、本番でも100m背泳ぎに続き表彰台を逃した入江選手はレース後「賞味期限切れなのかな、と思うこともあった」と弱弱しく語った。そしてインタビュアーに再び世界を目指すのか(それとも引退か)と聞かれ「今すぐには答えられない」と小さく答えたのだ。

妻は「信じられない!」という顔をしながらそのインタビューを観ていた。

「あんな弱気なアスリート、初めて見た!」

「あの人、大丈夫?自殺とか考えちゃうんじゃない?すごい心配」

妻の国ではそもそも敗者の弁をテレビで流すことがないし、それを抜きにしても号泣するでもなく涙をこらえるでもなく、ストレートに打ちひしがれて落ち込んでいるアスリートの姿がショックだったらしい。しかも入江選手の一見細身でなよなよしたイメージがさらに拍車をかけてしまった。

あれ以来、妻は「あんなショックなシーンは人生で一度もなかった」「あの人は元気なの?」とたびたび訊いてくるようになった。

 

普段スポーツを見ない妻の中で、入江選手はいつまでも「弱気で泣き虫でネガティブでうつ病予備軍の男の子」らしい。 

確かにあの時期、入江選手はひどく落ち込み、引退まで考えたそうだがその後見事に復活した。

世界一美しい背泳ぎのフォームを持ち、日本では敵なし。日本選手権では100m7連覇、200m13連覇。オリンピックに4大会連続出場の31歳は競泳代表チームの主将を務めた。

 

しかし妻にとっては入江選手が元気に競技を続けてくれていることがことさら嬉しかったらしい。東京オリンピックを泳ぎ切った入江選手に対し、妻は

「あの陵介ちゃんが・・・良かったわぁ元気になって。本当にあの時心配したんだからぁ」

 

いやいや、入江選手は次回のパリ・オリンピックだって狙えますよ。

34歳でスタミナ、パワーは落ちるかもしれないが、技術は衰えない。相変わらずテクニックやフォームは超一流。体は背泳ぎ用に進化している。

恐怖画像」「もはやホラー」 競泳・入江陵介、腕が信じられない位置にある衝撃写真でファンをビビらせる - ねとらぼ

入江陵介、肩の関節柔らかすぎ!?フォロワーも驚愕「加工されてるのかと思った」 | Best of Influencer

 

我が妻は勝手に”育ての母”を気取りつつ、入江選手を応援し続けます。もちろん僕もね。

 

河村市長でわが身を戒め

名古屋市河村たかし市長が金メダルを噛むパフォーマンスをして批判を浴びている問題。

もちろん批判されて当然、謝罪をして当然、弁解の余地もないし擁護する気は1ミリもないのだが、同じ”おじさん”の僕はいろいろ思うところがあって心が痛い。

実はおじさんという生き物は調子に乗ってよくあのような失敗をするものなのだ。

明日は我が身。くわばらくわばらくわばたおはら・・・

河村市長、金メダルがぶり 「無礼」市役所に抗議 選手は冷静対応 | 毎日新聞

 

東京オリンピック2020女子ソフトボールで金メダルを獲得した後藤希友選手は地元の名古屋市役所を表敬訪問、獲得した金メダルを記念に河村市長にかけてあげると市長はおもむろにマスクを外して金メダルを噛むパフォーマンス。

しかしこの行為に対してSNSで批判が殺到、他のメダリストやテレビコメンテーター、後藤選手が所属するトヨタ自動車まで批判のコメントを発表し、市長は謝罪をすることになった。

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もちろん河村市長を擁護する気はサラサラない。

苦労して獲得した金メダルを他人が傷つけていいわけがない。

特にコロナ禍で感染の危険性を考えたら普通に考えて触るのだって遠慮するだろう。

現に東京オリンピックの表彰ではメダルは首にかけてもらえず、自分でお盆から取って首にかけるという方法が取られている。

河村市長のあまりの不注意、無礼は弁解の余地もない。

 

では仮にコロナ禍でなかったらどうか?

「ちょっとメダルを嚙む真似していいですか?一度やってみたかったんです」と断りを入れていたらどうか?

 

それでも批判は来るだろう。

あのパフォーマンスが許されるのはやはりオリンピアの、しかも結果を出した人だけの特権だし、そもそも死ぬほど練習をして獲った価値のあるメダルにおじさんの唾が付くのは気持ちが悪い。本当なら素手で触るのも止めてほしい。おじさんの指紋や手の脂が付くのは不快だ。手袋をつけてほしい。

だがおじさんという生き物は調子に乗るとああゆうことをすることがよくある。

 

ゴルフコンペで優勝カップをもらえば気分はメジャー制覇。とりあえずカップにキスをしておどけて見せるし、居酒屋に大きな杯が飾ってあれば気分は優勝力士、とりあえず口をつけて飲み干す真似をしたがる。バーベキューでだれかがシャンパンを持ってこようものなら気分はF1レーサー。だれかにかけてひんしゅくを買ってしまう。

だけどもちろん悪気はない。おじさんなりのサービス精神だ。

ただおじさんが”こうやったらおもしろいだろう”と考えるほとんどのことは、多くの人にとっては気持ちが悪いし、つまらない。

お父さんが寝癖を直したくて高校生の娘のヘアブラシを使ってしまうのも、職場でお茶でも飲もうと思って間違えて女子社員の私物の湯飲みを使ってしまうのも、飲み会で大皿から直箸でつまみを取ってしまうのも、・・・・おじさんには悪気がない。単に気が回らないだけだ。

 

僕はアラフィフのおじさんだが、なるべく女性に「気持ち悪い」と思われないようにいろいろ気を使っている。こまめに床屋に行き、背広にフケが落ちていないか常に気にしているし、お風呂では耳の後ろをゴシゴシ洗い、加齢臭をセーブ。トイレに行ったら鏡の前で鼻毛が出てないか、歯に食べ物が挟まっていないかをチェック。顔の脂も常に気にしてこっそりゴシゴシ拭いている。

たまに同僚女性のスマホにお客さんから電話がかかってきて、急に代わらなければならないときは本当に気を遣う。手の脂、耳の脂がその女性のスマホにつかないかばかり気になってお客様の話なんてまるで耳に入らない。女性にスマホを返すときは見えないように袖でさっと拭いてみたりする。

それほど気を遣う僕でも、まあくだらないギャグを思いついてしまう。

部下を表彰する時には「痛みに耐えて、よく頑張った!感動した!」なんて小泉元総理の真似をしたし、ビリヤードに行けばトム・クルーズの映画「ハスラー」を思い出してできもしない”マッセ”なんて技を「マッセしまっせ~」なんて言いながらやったりした。

今思い返すとゲロが出るほどつまらない。

でも”おじさん”とはそういうことを思いついてしまう生き物だ。

周りにはやし立てられ、おだてられたりするとさらにタチが悪くなる。

「なんか期待されてるな。一発かましたれ!笑かしてやれ!」なんて思ってしまう。

例えばカラオケ。

昔『ものまね王座歌合戦』(フジテレビ系列)で観たモト冬樹の平尾昌晃さんのマネがメチャメチャおもしろくて今でも記憶に残っているのだが、これを令和にしたら完全にアウトだ。セクハラ、パワハラで訴えられ、とたんに謝罪に追い込まれる。でもおじさんの頭の中には”モト冬樹のマネだよ!平尾昌晃だよ!昔、みんな笑ってたじゃん!”という思いが残っている。だからしてしまう。

モト冬樹&斉藤ルミ子「カナダからの手紙」vs コロッケ&森口博子「夏ざかりほの字組」 1991年 - YouTube

 

この「昔、これでウケたんだよ」というおじさんの思い出が多くの若者を混乱させる。

この「昔、これでウケた」という記憶は風呂場のカビのように、換気扇の油のようにしつこくおじさんの記憶にこびりつく。これが多くの人にとって不快でしかないのに、なぜかおじさんは必殺の武器だと思ってしまう。

今思えば女性差別発言でJOC会長を首になった森喜朗おじさんなんかもそうだったんだと思う。

 

もし僕が何かのコンペで優勝してメダルをもらったとして、「写真撮りましょうよ」なんて言われたら・・・まあ、噛むね(自分のメダルだからこの場合はいいのだろうが)。

もし誰かが苦労して獲得したメダルを見せてもらったとしたら・・・まあ、噛むね。というか口の中に入れるねとか、そのままポケットに入れるとかして笑いと取りにいくね。

だって昔『天才たけしの元気が出るテレビ』(日本テレビ系)で高田純次がそうやって金メダリストの小林孝至氏さんをからかってたんだよ。知ってるでしょ?あれ、ウケたよな~。え?知らない?

「あれは最大の愛情表現のつもりでした。迷惑をかけたならごめんなさい」

 

天才たけしの元気が出るテレビ ソウルオリンピック金メダリスト 小林孝至2 - YouTube

 

LINE風Youtube動画にハマる訳

僕が最近ハマっているもの。それはYoutubeのLINE風動画。

「話題のLINE」「ミドリのネタ帳」「100万ドルのライン物語」などなど同じような内容・体裁のものがいくつかあるし、「スカッとツインズ」「スカッとライン」などアニメーション付きのものもある。

初めてその内容を見たときは眠れないくらいイライラ・ムカムカしたのだが、今やチャンネル登録までして毎晩見ている。

アラフィフの僕を見事にハメさせたこのLINE風動画の魅力とはなんなのだろうか。

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その魅力はなんといってもドラマ『水戸黄門』のような定型のハッピーエンドだ。

 

LINE風動画はどれも似たようなストーリー。

浮気にいそしむ妻(夫)に離婚届と慰謝料を叩きつけぎゃふんと言わせるとか、下請け企業だとバカにする大手企業の社員が勝手に契約を打ち切りにしたばかりに会社が大損をするとか、父親をATMとバカにする娘とそれを咎めない妻を捨てる夫の話とか、”中卒””母子家庭”等を理由に家族を結婚式に呼ばない女が最後に村八分にされる話などなど。

 

最初はとにかく主人公が罵倒される。「中卒!」「ニート!」「下請け!」「無能!」「肉体労働者!」などなど、めちゃくちゃに悪役に罵倒される。

見ている僕は「なんで言い返さないんだよ」とか「よくこんな野郎とLINEで話を続けるな。既読無視すればいいのに」とかメチャクチャ頭に血が昇ってイライラしてくる。
が、それでも最後まで見てしまうのは、最後に必ず主人公からの”反撃”があり、悪役は必ずメッタメタに打ちのめされるからだ。これが本当に痛快!

ちょうど助さん・角さんが「ええい!静まれぃ!この紋所が目に入らぬかぁ!」と印籠を出し、それまで威張っていた悪代官が急に態度を改め、最後もしっかり罰を押し付けられるあの安定の、鉄板のパターンと似ているのだ。

昭和から平成にかけて(1969-2011)ずっと放送されていた日本人が大好きな勧善懲悪のストーリー。最後に悪がきっちり裁かれることで観ている人のストレスが一気に解放されるデトックスドラマ。

僕ももうアラフィフとなり、そんな安心感を求めるようになってきているのかもしれない。そして僕はLINE風動画にあの勧善懲悪の偉大なるワンパターンを求め、ストレスを発散しているのかもしれない。

 

だから多少無理な設定があってももう気にすることはない。

初めてみたときは実話と思って見ていたのでイライラして眠れなかったが、フィクションだとわかると実に面白い。なんだったら最初の悪役の憎たらしい態度や言葉が過激なら過激なほど面白くなる。最後に悪役がみじめったらしく泣きついたりどん底の生活に突き落とされたりしたらサイコーだ。

そしてどの動画のコメントも優しい。「こんなことLINEでいちいち話す奴なんかいない」みたいな揚げ足を取る人はほとんどおらず、みなそれぞれのストーリーに対してまじめにコメントをしている。ほほえましい。

 

僕はコメントを残すことはないが、「俺だったら怒りをためてためて、しっかり証拠を残して、最後に相手を地獄に突き落とすためにあのタイミングを狙って・・・ヒヒヒ」なんてサディスティックな妄想をしながらウォーキングをするのが大好き。

 

あ~あ、俺にも「父親をATMとバカにする連れ子の娘」とか「成績の良い姉だけを溺愛し、妹の自分を家から追い出す母親」とか「中卒底辺の下請け平社員!とバカにしてくる大手企業のエリート新人社員」とかいないかな(笑)。

キリギリスは生き延びる?

小学校1年生の息子が「アリとキリギリス」の絵本を読んでいる。

働き者の石井正則が相方の石塚義之を見捨てて役者としてのし上がっていくストーリー、のほうではなく、夏の間遊んでばかりいて働き者のアリをバカにしていてたキリギリスが冬になってアリに助けを求め”働くこと”の大切さを諭されるあのイソップ寓話のほうだ。

でも2021年現在もあの価値観って正しいのだろうか。

実業家のひろゆき氏や堀江氏はどう思うだろうか?

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ホリエモンこと堀江貴文氏が「すし職人が何年も修行するのはバカ」「センスのほうが大事」といった発言をして物議を醸したのが2015年。堀江さんは今も「修業は時間の浪費」ということを言い続けている。

 

当時は僕もこの発言にイラっとしたものだが、今はなんとなくわかる気がする。(堀江さんの言い方は好きではないが)

 

確かに超一流のすし職人になってミシュランで星を獲得するような名店で高価な食材を使って寿司を握り、毎晩一流の客を相手にするような職人になりたいのならば名店で何年も修行して出世して独立する正規ルートがいいだろう。

でもそこまでの職人になれるのはほんの一握りだ。そしてそんな名店だってコロナ禍の経営に苦しんでいたりする。

名店にまではなれず、地元でほそぼそと店を続けるのも小さな幸せだが、10年もの修業に見合うかどうかは微妙だ。

 

ネットで調べてみたら、今は最短2か月で一通りの技術を教えてくれる学校もあるようだ。

江戸前寿司 集中特訓コース│東京すしアカデミー│寿司職人養成学校 (sushiacademy.co.jp)

寿司職人になるだけならこういったところで寿司を握る技術から簡単な仕入れ・経営・接客まで学んだ上で海外の日本食レストランに就職したり、自分で小さな店を開いて腕を磨いていくことも可能だ。

 

「そんな寿司、食いたくない!」と思う人もいるかもしれない。

でも海外ならそれで十分だし、舌バカの僕はスーパーのパック寿司でも普通においしく食べてしまう。そういう人は僕以外にもたくさんいるのではないか。

なぜなら平成・令和のほとんどの日本人は「回転寿司育ち」だからだ。

昭和生まれの僕でさえカウンターのすし屋は生まれて2回くらいしか行ったことがないし、最近は専ら回転寿司だ。死ぬ前に一度くらい高級なお寿司というものも食べてみたい気もするが、とりあえず今のところ月1回くらい回転寿司に行けたら十分贅沢。

今の時代、回転寿司のほうがよっぽど儲かるし、たくさんの人に食べてもらえるし、多くの人を幸せにできる。機械で作ったシャリに切り身を載せるだけのチェーン店もあるが、それ以外にもその日獲れた地魚を店内で捌いて出す絶品の回転寿司屋もある。そうした店はちゃんと職人の腕が評価される。明朗会計、品数豊富、その上(回転寿司育ちの多くの日本人には)味も十分満足できる。

 

”一流の寿司職人になりたい!”というのは、子供が「プロ野球選手になりたい」「人気アイドル、歌手、お笑い芸人になりたい」というのと同じくらい大きな夢だ。

でも寿司職人になるだけなら、そこまで時間をかける必要はないし、あとは自分の努力とセンスでいくらでも自分の店を「売れるすし屋」「人気のすし屋」にできる。

邪道と言われても「インスタ映えする寿司」「中国人受けする中華寿司」「インド人受けするインド寿司」「イスラム教徒向けハラル寿司」などを開発したほうが莫大な利益を生むような気がするし、伝統にとらわれないことこそが現状を打開する秘訣なのかもしれない。

 

アリのようにコツコツと努力をしなくたって、センス次第でキリギリスだって億万長者になれるのだ。そしてそのセンスは”人生を楽に、楽しく過ごしたほうが磨かれる”場合がある。

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キリギリスはアリが地道に働いている夏の間、大好きなボイパの練習をしてネットにあげしていました。

キリギリスはアリが雨の日も風の日も外で労働している間、ゲーム実況をしたり友達にどっきりをしたり、その日買ったものを紹介したりした動画を部屋で編集してネットにあげていました。

そして冬がやってきました。

アリはがんばって蓄えたなけなしの食料を切り崩しながら冬を越しました。

キリギリスは・・・

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7月31日はジョニーエースの誕生日

Youtubeで昔のプロレス動画を観ていた時に見つけた「三沢光晴VSジョニーエース戦」

かませ犬と思われていたジョニーエース選手が絶対王者三沢光晴選手に嚙みついたあの一戦の、あの一瞬の輝きは、23年たった今も僕の心に刻み込まれている。

ジョニー・エースよ永遠に・・・

 

ジョニー・エースことジョン・ロウリネイティスは今やアメリカ最大のプロレス団体、WWEの副社長になるほど大出世を果たした人物だが、1990年代の全日本プロレスにおいてはやや”しょっぱい”レスラーだったように思う。

当時の全日本プロレスにはスタン・ハンセンやらスティーブ・ウィリアムやらゲーリー・オブライトら凶暴で無骨でパワフルな外国人レスラーがたくさんいた。日本人レスラーはその圧倒的なパワーをいかに跳ね返すかに注力し、ファンもその攻防に手に汗握った。が、その中においてジョニー・エースはやや迫力不足に見えた。身長こそ190センチを超え、「金髪の暴走狼」なんて仰々しい煽り名を持ってはいたが、どうしても他の外国人レスラーに比べるとパワー不足、迫力不足な感じは否めなかった。三沢選手のエルボーに吹っ飛び、川田選手の蹴りに悶絶し、小橋選手のラリアットにのびてしまうエースは全日本の四天王の脅威になるようには見えなかった。むしろタッグマッチなどで日本人レスラーを痛めつけていたスティーブ・ウィリアムがジョニー・エースにタッチするとファンはちょっと安心していたりした。本人はがむしゃらに攻めてはいるのだが、その暴れっぷりもハンセンやウイリアムに比べると「おお、エースもがんばってるな」と上から目線で褒められる感じだった。

 

だから来日10年目(1998年)にして三冠ヘビー級王座の三沢選手に挑戦できることになっても、三沢選手に勝てると思っていた人は一人もいなかったはず。最悪、一方的にやられてしょっぱい試合になってしまうのではないかとも思っていたし、「いや、三沢さんは最初はエースの技を受けてあげて、最後はボコボコにして終わるだろう」と予想する人もいただろう。いずれにせよ「ジョニー・エースは三沢さんの防衛記録に貢献するためだけのかませ犬。いつも同じ挑戦者(小橋・川田・田上・秋山)だけだと三冠戦も飽きられてしまうのでちょっと趣向を変えただけ、と思われていた。

しかし世の中でただ一人、ジョニー・エースの勝利を信じている人がいた。それがほかならぬジョニー・エース本人だった。エースは本気で三沢さんに勝とうとしていた。世間の誰もが「無駄な努力だ」「お前には無理だ」と思っていようが、エースだけは本気だった。

エースは自身の必殺技「エース・クラッシャー」のバリエーションを驚くほどたくさん用意していた。通常の「エース・クラッシャー」に加え、①トップロープに座らせてから②場外への③ロープ越しに④リフトアップ式(メキシカン)⑤ネックブリーカー式、⑥ランニング式と、通常とは違う動きからのエース・クラッシャーで三沢選手を大いに混乱させ、首へのダメージを蓄積させた。

そして合間、合間にエルボーやチョップ、ラリアット、前蹴りを入れ、⑦ギロチン式エースクラッシャー、⑦コブラクラッチスープレックス(2パターン)を挟んで三沢を追い詰めた。最後はムーンサルトプレスで決めるプランだったのかもしれないが、そこまでは持って行けなかった。三沢さんからの最大の賛辞はよほど信頼できる相手にしか出さない危険技「タイガースープレックス’91」で仕留めてくれたこと。エースが一流の挑戦者であったことを認めた瞬間でもあった。

プロレス 三沢光晴 vs ジョニー・エース (三冠ヘビー級選手権試合) - YouTube

元々長身で男前、ヒール役を演じるにはスマートすぎたエースは後年、小橋選手と再び行動を共にしベビーフェイスになった。日本人レスラーのようにガッツを前面に出し、倒れても倒れても何度も立ち上がり男気を魅せる、日本人好みのど根性レスラーになった。最後のほうは僕も含め日本人ファンから「エースがんばれ!」と応援してもらえるようなレスラーになったが、2000年の全日本プレロスの選手大量離脱を機に選手を引退、アメリカに戻り大手プロレス団体でキャリア組になった。

おそらくあの三沢戦こそジョニー・エースの”キャリア・ハイ”。レスラー人生でのベストバウトであろう。多くのプロレスファンはそう思っているはずだ。

今でも日本のプロレスをリスペクトしてくれ、日本人選手を招聘してくれたりパイプ役になってくれたりしているらしい。

アメリカではレスラーとしてさほど大きな戦績を残せなかったが、全日本プロレスでの実績、経験、日本での努力がアメリカに帰って認められたようで嬉しい。日本で愛された”あの”ジョニーエースがアメリカで成功したことが嬉しい。

 

周りが止めるような無謀なチャレンジに挑むとき、僕は若き日のジョニーエースの姿を思い出す。自分を信じ、最大限の努力と準備をし、高すぎる山に果敢にチャレンジしたあの姿。

今のWWEでは見られないストーリーだろうね。

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親も子供も~小学生のデジタルデバイス利用時間について~

我が家には小学校1年生の息子がいる。

現在、夏休みの息子は朝8時に起きて朝ご飯を食べると、そこから昼までスマホタブレットでゲームをしっぱなし。1時間くらい宿題をした後はまたYoutubeでゲーム実況動画を観っぱなし。夕方6時ごろに僕は在宅勤務を終え、家族とウォーキングに出かける。息子にはそこでタブレットを取り上げるのだが、それまでに5~6時間はタブレットを観ていることになる。

これではさすがにいかんと思っているのだが、そこには不都合な真実がある。

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Amazonさんが2021年に調べた調査(子どもたちはデジタルデバイスを1日どれくらい利用しているか?|@DIME アットダイム)によると小学校低学年のデジタルデバイスの利用時間は平日で58.9分、休日で92.4分だそうである。

今は夏休みで休日と同じなので、大体1時間半だ。意外に少ない。

我が家はまだデジタルデバイスに関するルールを作っていないのだが、それにしても平均から大きく外れている。

子どもが朝から晩までスマホタブレットを観ている姿は正直気持ちが悪い

が、質の悪いことに、我が家は嫁もスマホ中毒なので二人とも一日の大半をリビングでデジタルデバイスと共に過ごしている。

僕が出勤していればそれらは目に入らないので気にならない(?)のだが、今は在宅勤務なので否が応でも目につく。さて、どうしたものか。

ちなみに僕はスマホはそれほど気にしないほうだ。ゲームもしないしSNSもそれほど利用しない。だからスマホ中毒ではないと偉そうにしているが、よくよく振り返ってみると

テレビ4時間(朝1時間、昼1時間、夕方1時間、夜1時間)

スマホ1時間(SNS、連絡、メモ等)

PC8~9時間(仕事+趣味)

読書30分

(+食事、睡眠、運動etc.)

なので、目を酷使しているという点ではあまり変わらない。嫁や子供がスマホを見る代わりにテレビやPC、本を見ているだけだ。

もっと言えば、息子の世代は仕事も勉強も、娯楽(動画視聴・番組視聴)もゲームも、読書もお絵描きもブロック遊びも全てタブレットでできるのである。

よくよく考えたら息子は1学期はほとんどオンライン授業ですでに毎日4時間くらいはタブレットを観てるもんな。

だから今後ますます「ゲームばっかりしてないで」とか「スマホばっかり見ていないで」と言いにくい状況になるだろう。

目に悪いのはブルーライトをカットするように工夫をすればいいんだし。

というかデジタルデバイスの使い過ぎってなんでダメなんだっけ?

目が悪くなるとか、脳に影響を与えるとか、人の話を聞かなくなる、想像力が弱くなり思いやりがもてなくなるとか、いろいろ言われているけど・・・どこまで立証されてるんだろう?スマホを使いすぎた子供が大人になってどうなったかなんて研究はまだないだろうしね。

 

でもなあ・・・やっぱり子供と嫁がスマホタブレットにかじりついている姿は・・・嫌だなぁ・・・。

うちの子も鉄道とか恐竜とか、他に夢中になれるものがあればいいのに。

ちなみにベネッセの調査(小学生みんなの勉強時間はどのくらい? (benesse.jp))によると小学校低学年の1日の平均勉強時間は1時間くらいだそうである。それ以上は集中力も続かず、効果も望めないとのことなので「もっと勉強しろ!」とも言えない。

 

困った。

週末なら僕も子供の遊びに付き合ってやれなくもないが、夏休みの平日はどうしたらいいのだろう?奥さんも家事があるし、近所のスーパーは小さい子供の連れ込みを遠慮している。さらに運悪く2021年の夏休みは緊急事態宣言が出されている。外に遊びに行くこともままならない。近所の図書館も閉鎖、公園も閉鎖、子供だけの外出も不安なご時世だ。

こうなったら毎日やることのリストでも作って、ノルマとしてやらせるか?

読書30分

なわとび30分

お絵描き30分

粘土30分

お手伝い30分

積み木・ブロック30分

散歩(午前・午後)

歌・ダンス30分

 

なんか・・・せっかくの夏休みなのに学校っぽいな・・・

あ~あ、GAFAの創業者とかどっかの頭のいい人が「デジタルデバイスは好きなだけ使って大丈夫だよ~」って言ってくれないかな~

段ボールベッドで大はしゃぎ

東京オリンピックでちょっとだけ話題になっているのが選手村にある”段ボールベッド”

選手村に入った選手たちは競技そっちのけでこの珍しいベッドで遊んでいる。

そしてはしゃぎすぎて壊してしまったことでSNSで叩かれ謝罪をするなど、修学旅行生のような甘酸っぱい思い出を作っている。

実に微笑ましい。

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このベッドは寝具メーカーのエアウィーヴが提供したもので、一般的な木製やスチール製のベッドフレームより丈夫で、200㎏までは問題なく利用可能だとのこと。またフレームばかりが話題になっているが、3つに分かれたマットレスが表裏で反発力が違うので選手が自由にアレンジできるという優れもの。価格も19万円ほどする高級なものだそうだ。

今流行のSDGsにも則っているし、オリンピック終了後はリサイクル可能、感染対策の意味でも段ボール製というのは理想的であろう。

 

だが見た目の安っぽさと、オリンピックに来たという高揚感、SNSで発信したいという承認欲求が爆発したのであろう。段ボールベッドは選手たちの格好の餌食となってしまった。

アメリカの陸上競技選手、ポール・チェリモはツイッターに「段ボール製のベッドは選手同士が親密な関係になるのを避けるためである」「誰かが僕のベッドに放尿したら、段ボール箱が濡れてベッドから落ちるだろう」と投稿して茶化した(アメリカの報道機関もそれに悪乗りして「アンチ・セックスのためのベッドだ」と報道をした)。

ま、日本人の感覚からしたら、オリンピック選手がベッドを見てすぐ「セックスできねーじゃん」って思うのが考えられない。「お前、何しに来てんの?」という感じだ。また「誰かが僕のベッドに放尿したら」って、「誰だよ?!ベッドの心配よりそのイカれた奴の心配をしてやれよ!」と思うだろう。

ポール・チェリモ・・・僕はこいつの名前を忘れないし、なんとなく将来日本のバラエティ番組に呼ばれそうなお調子者だ・・・。

まあ、オリンピックでは大量のコンドームを配っているらしいし、外国人選手はオリンピック中だろうが選手村だろうが4人部屋だろうがセックスをするつもりなのかもしれないな。

 

さらにイスラエルの野球チームは「ベッドについての質問が多いから」とチームメイトと何人でジャンプしたらベッドがつぶれるかの実験をし、見事9人でベッドの破壊に成功。その様子をTikTokに投稿した。

他にもあきれるほど多くの選手がベッドの上で跳んだり跳ねたりヨガしたり友達と並んで座ったりして耐久性を検証し、SNSに投稿している。

みんな同じことするんだな。Bottle cap challengeとかIce buckets challengeと一緒。

いやむしろ「メントスコーラ」のノリと近いかな?

「オリンピック選手といっても結構バカなんだな」と思う一方で、「若いから仕方がないか」「SNSに面白いものを投稿してフォロワーを増やしたり、高評価をもらったりするのは今やメダルより大事かもしれないな。」とも思う。

日本人選手団は”品格”とか”日本代表の自覚”とかにうるさいのでそういうことはしないと思うが、修学旅行とか初めての海外旅行とかではしゃいじゃう気持ちはわかる。日本のYoutuberでも検証するやつとか出てきそうだしね。

しかし結局イスラエルの野球チームは悪ふざけでベッドを壊したことで謝罪に追い込まれた。SNSはバズったようだが後々に残る傷を背負ってしまった。いいんだか悪いんだか・・・。

きっと他にもはしゃぎすぎてベッドを壊してしまった選手はたくさんいる。選手の中には「ベッドがすぐ壊れてしまった」なんて投稿しているやつがいるが、おそらくごまかしだ。絶対にはしゃいでベッドの上で飛び跳ねている。

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*本文とは関係ありません

とにもかくにも、今回は日本が珍しいものを用意したもんだから選手がはしゃいでしまった。SNSに投稿するネタを提供してしまったのが失敗と言えば失敗。

でも話題になったという点では良かったのかも。もし普通のベッドだったら選手も検証なんてしないし、ベッドで飛び跳ねない。ポール・チェリモも「誰かが僕のベッドで小便をしたら」なんて心配しない。

エアウィーヴ社も選手が耐久性を検証してくれてSNSに投稿してくれるのでいい宣伝になっただろう。8人がジャンプしても大丈夫なのだから、500㎏~600㎏は耐えられるのかもしれない。最後は壊れてしまったがそこはご愛敬。オードリーの椅子破壊事件みたいなものだ。

【放送事故】でた!オードリー春日椅子破壊爆笑 - YouTube

 

心配なのはオリンピックのあとで絶対にAVメーカーがこのベッドで作品を撮るだろうということ。

「”あの”ベッドが壊れるまで~」みたいな企画ものが作られたら・・・借りてみようかな。